COLUMN コラム

2025.05.21
クラウドサービスにご用心

クラウドサービスにご用心

DXの文脈で必ず登場する「クラウドサービス」。しかし、その実態は意外と曖昧なまま使われているのではないでしょうか。本記事では、クラウドサービスの歴史や定義を紐解きながら、その本質に迫ります。従来のITサービスと何が違うのか? なぜ今、クラウドサービスが注目されるのか? 疑問を解消し、クラウドサービスへの理解を深めましょう。

DXを調べてみると、必ずと言ってもいいほど出てくる「クラウドサービス」という言葉。

特にクラウドサーバーが誕生してから耳にするようになったと思う。

文脈的に最新技術の1つであり、それを取り入れたサービスのことを指しているように思う。

そこで、今回はクラウドサービスとは何か?と見ていきたい。

こっち方面の専門家ではないので、多分に間違いもあると思う。

なので、以下に述べる内容が正しいとは限らないことを先に断っておく。

そもそも何なのか?

クラウドサービスとは何か?を確認したい。

クラウドサービスとは、クラウドコンピューティングという仕組みの元で提供されるサービスのことである。

よく分からない。

もう少しかみ砕いてみよう。

総務省の「クラウドサービスの仕組み」にはこのように書かれてある。

クラウドサービスは、従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するものです。利用者側が最低限の環境(パソコンやスマートフォンなどのクライアント、その上で動くWebブラウザ、インターネット接続環境など)を用意することで、どの端末からでも、さまざまなサービスを利用することができます。

なるほど。

自分たちのパソコンで管理している内容をインターネットを通じて管理する仕組みを提供しているサービスのことを意味しているのだろう。

たとえば、東京にオフィスがあって、自宅は大阪にある人がいて、大阪で仕事をした後何も持たずに東京に行った時、東京のパソコンで仕事を再開できる、ようなものだろうか。

だが、この仕組みは随分昔からある。

別に取り立てて最新ではない。

クラウドだ何だと騒がれる前から存在していた。

続いてこう言っている。

これまで、利用者はコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分で保有・管理し、利用していました。しかし、クラウドサービスを利用すれば、機材の購入やシステムの構築、管理などにかかるさまざまな手間や時間を削減でき、業務の効率化やコストダウンを図ることができます。

なるほど。

自分たちでサーバーを買ったりシステムを開発したり保守メンテナンスしたりする必要がない、というのがクラウドサービスのことなのか。

待て。

そうなると、随分昔から「クラウドサービス」が存在したことになる。

自分たちでサーバーを用意してシステム開発する手間を省いて、どこかの企業が作ったサービスを利用することがクラウドサービスである、とするなら、別に普通のことではないか。

そもそもの歴史を深掘りしていこう。

クラウドの歴史

NTT東日本のコラム「クラウドの歴史とこれからの未来について徹底解説」とITmediaから『「クラウド」とはそもそも何か? 今あらためて学ぶ歴史と基礎知識』を参考に概略だけまとめてみた。

詳しくは、両コラムを参照いただきたい。

 

さて。

 

背景にあるのは、インターネットの爆発的な普及と継続的に蓄積されるデータを処理する必要性から、対応可能なシステムが求められたことにあるようだ。

1997年ラムナト・チェラッパ氏によって「クラウド・コンピューティング」という概念が提唱されたが、当時はそこまで注目されなかったようだ。

その後、Googleの当時CEOであったエリック・シュミット氏は、2006年8月9日に開催されたイベント「サーチエンジン・ストテラジーズ」にて、

そのモデルは、データサービスとアーキテクチャがサーバ上にあるべきだという前提から始まっています。私たちはそれを『クラウドコンピューティング』と呼んでいます。それは『クラウド』上のどこかに置かれています。そして適切なブラウザやアクセス権さえ持っていれば、手にしているのがPCなのかMacなのか、はたまた携帯電話なのかBlackBerryなのか、あるいはこれから開発される新しいデバイスなのかに関わらず、クラウドにアクセスできるのです

と述べたことにより注目されることとなった。

それからというものクラウドサービスと呼ばれるサービスが多く誕生することとなったようだ。

 

別に普通のことだ。

右折は右に曲がること。

このレベルだ。

むしろこれをアピールポイントとしてたのか?って思えて、驚き慄いている。

NTT東日本のコラムでは

このサービスの画期的なところは、開発者が本来集中すべき仕事に集中できることです。それまで開発者はシステムの保守運用など、ビジネスに直接結びつかない仕事に大きな労力をかける必要がありましたが、本サービスを使用することでその仕事から解放され、ビジネスに集中することができるようになりました。

と続けているが、開発者ではなく「企業」の間違いではないだろうか?

開発者がAWSというクラウドサーバーを使って開発したとして、システムの保守運用は避けることができないし、ビジネスに直接結びつかない仕事ばかりが開発者の仕事の多くを未だに占めている。

クラウドサービスはよく分からない。

対義語としての「オンプレ」

じゃあ、対義語を調べてみよう、ということで調べてみた。

すると、オンプレミスと出てきた。

オンプレミスとは、社内にサーバーや通信回線、システムを構築して自社で運用を行う形だそうだ。

なるほど。

社内サーバーを設置して、自前の開発部隊を用意して、運用すればオンプレと言うのか。

じゃあ、社内サーバーをAWSというクラウドサーバーにした場合は、オンプレと言うんだろうか?

AWSはクラウドサーバーでクラウドサービスなのに、システム開発や保守運用は自前でやる。

ハイブリッドといえばカッコいいが、ハイブリッドは聞いたことがない。

クラウドサービスを提供している側がこういうケースに当てはまるが、この場合はどうなんだろうか?

オンプレなのだろうか?

・・・謎は深まるばかりだ。

まとめ

私がエンジニアになったのは今から15年くらい前なので、その時にはクラウド・コンピューティングという概念は存在したことになる。

その頃はDX、DXと叫ばれていなかった。

IT化を推進していた頃だ。

クラウドサービスという言葉も世の中に広く使われていなかったし、「クラウドだから安心!」みたいな意味不明な広告が世の中に巡ってもいなかった。

20年くらい前からある概念を最新技術のように取り扱うのは、どうだろうか?

Gmailもクラウドサービスだし、ノーションもクラウドサービスだし、Facebookもクラウドサービスだし、世の中にある大抵のものはクラウドサービスだろう。

もうITサービスとまとめてもいいんじゃないだろうか?

変に「クラウド」と付けるから最新のように聞こえて、紛らわしい。

横文字使えば、意味不明だけど何かすごそう効果がある。

本当に止めて欲しい。

 

というわけで、結論として、別に普通のこと、という風に覚えておけばよさそうだ。

 

そういえば、DX人材にエンジニアとデザイナーがいるということは、オンプレを推奨しているということなのか。

クラウドサービスを利用するのではなく、自前で頑張ってシステム開発をするようになれ、ということなのだろうか。

ハードルが高いなぁ。

 

今回のコラムが気づきや学びになった方は、シェアをしていただけると嬉しい。

また次回のコラムでお会いしましょう。

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