COLUMN コラム

2025.02.19
デジタル化をスキップして「いきなりDX」はアリか?

デジタル化をスキップして「いきなりDX」はアリか?

「DX=デジタル化」は誤解。DXの本質は「企業の質的変化」であり、デジタル化はあくまで手段の一つに過ぎません。DX実現にはデジタル化を省いても影響はありません。その理由を3つご紹介しつつ、最初に取り組むべき対策についてもご紹介します。

ズバリ結論から言います。

 

アリ。

 

むしろ、デジタル化は別に不要ですらある。

3つ理由があるので、今回はこのことについて伝えていきたい。

世の中で言われているDXはIT化のこと

今世の中で言われているDXは、元々目指していたDXとはかけ離れている。

本質的なDXは「質」の変容のことである。

よくAmazonが例に出る。

ECサイトの会社なのに、データセンターに宇宙事業に薬局もやっている。

これがDXだ。

なるほど。

では、日本のDX事例は何だろう?

  • バックオフィスDXの事例:何時間も効率化できました。
  • 建築DXの事例:デジタル化してどこでも指示を確認できるようになりました。
  • 営業DXの事例:お客様の情報を確認できるようになったので、提案しやすくなりました。

何か違うのがお分かりいただけるだろうか?

商品開発ができた、とか

新しい事業を作った、とか

家を建てるだけではなく庭を作るようになった、とか。

そういう話ではない。

Amazonを例にすれば、上記のようになってもよさそうだ。

だが、

効率化できた、とか

指示内容をどこでも確認できるようになった、とか

提案しやすくなった、とか。

どれもIT化の領域である。

ということで、1つ目の理由は、「IT化をしたいなら、別にデジタル化は不要だから」となる。

日本で言われているDXの事例を実現したいなら、デジタル化は別にあってもなくても実現できるのだ。

デジタル化はIT化の一部

多くの人が勘違いしているんだが、「DXをするならデジタル化」という構図は成り立たない。

DXが「デジタル・トランスフォーメーション」となっているので、言葉の響き的にこのように捉えてしまうのだろう。

だが、DXが叫ばれる前はIT化しようという取り組みが盛んだった。

この時もデジタル化という言葉はあった。

このことから分かるように「デジタル化」はIT化の一部に過ぎないのだ。

よって2つ目の理由は、「IT化の一部なので、省いてもDX化に影響がないから」となる。

 

デジタル化のことを「IT化より狭いが、ほぼIT化」と言っている専門家もいる。

何をバカなことを言っているんだろうと思う。

特撮というジャンルで、仮面ライダーという1つのシリーズがある。

「仮面ライダーは特撮の1つだが、ほぼ特撮」なんて言った日には、ゴジラやウルトラマン、メタルヒーロー、スーパー戦隊などのファンからお叱りの言葉を頂戴するだろう。

仮面ライダーファンからもお叱りの言葉を頂戴するかもしれない。

 

では、1ジャンルに過ぎないデジタル化は何を指しているのか?

デジタル化に似た言葉に電子化があるので、そちらも併せて説明する。

電子化は紙媒体を電子媒体にする。

例:

紙の契約書をPDF化する

説明書をPDF化する

デジタル化はアナログ業務をデジタル業務にする。

例:

契約書の締結を電子契約にする

対面会議をオンライン会議にする

もちろん、電子化をカタカタにしたのがデジタル化であるとも言えるので、明確に差をつける必要はないかもしれない。

こう見てみると、IT化の一部を一生懸命取り組んだとして、DXを成し遂げる原動力になるのか?というと怪しい。

本来的なDXにおいてもデジタル化は不要

そもそもDXとは、質の変容である。

冒頭にAmazonの事例を紹介したが、あそこまでいかなくても、

  • 商品開発ができた
  • 新しい事業を作った
  • 付加価値の提案ができるようになった

といったことがDXなのだろうと思う。

ジャストアイデアに過ぎないが、たとえば着物の買取をしていた業者がリメイクをする事業を始める、といったのもDXだろう。

リメイクだけではなく、それを教える教室を作るのもDXになるだろう。

そして、これが思い付きではなく、確かなデータから導き出した根拠があることである。

この取り組みにおいてデジタル化は必須だろうか?

IT化は必須と言えるだろう。

だが、デジタル化はどうだろうか?

どうも必須とは言えそうにない。

何だったらアナログ業務バリバリでもできそうだ。

よって、3つ目の理由としては、「デジタル化しても質の変容において直接的な効果はないから」と言える。

まとめ

まとめてみよう。

デジタル化をスキップしてDX化に進むのはアリか?

という質問への回答は「アリ」だった。

その理由として

  • 世間的に言われているDXはIT化のことだがら、スキップしても問題ない
  • IT化の一部であるデジタル化をスキップしても、本来的なDX化には影響がない
  • 仮にデジタル化したとしても、その後のDX化に直接的な影響はない

という3つの理由を挙げた。

そもそもIT化したいなら、さっさとIT化した方が早い。

回りくどくウロチョロして、お金ばかり無駄にするくらいなら、さっさと取り組んだ方が適切だろう。

このように考えるため、私は「アリ」と回答した。

最後に ~本当に必要なのは社員教育~

最後になるのだが、そうは言っても結局扱う人が扱うことができなければ無意味である。

ミシュラン3つ星シェフの使う包丁を料理をしたことがない人が手にしても無価値である。

そもそも論ではあるが、日本のITリテラシーは低い。

スイスのIMDという研究機関が出しているレポートを見ると、日本のITリテラシーは63か国中の62位で、ビッグデータの活用は最下位である。

そんな日本がIT化してもIT技術を扱いきれるだろうか?

答えはノーである。

 

私も苦い思い出がある。

私は子どもの頃、形から入る子どもだった。

野球のルールも知らないのに、野球をするとなったら野球道具一式を購入した。

1週間後、それらは全て倉庫の肥やしになった。

子どもなら許されるが、企業は投資活動である。

何百万、何千万という資金を投資して、結果「お蔵入りしました」では話にならない。

しかし、こういった話はよく聞く溢れたエピソードである。

年配者が使いきれなくて、若い人を小間使いさせている、という話もよく聞く。

 

こうした状況を回避するためには何をすべきだろうか?

それこそが社員教育である。

この社員教育を徹底して、V字回復を実現しデータ経営を実行されている企業がある。

これがワークマンである。

是非ワークマンの取り組みを調べてみて欲しい。

みなさんの参考になるはずである。

 

今回のコラムが何か気づきや学びになった方はシェアをしていただけると嬉しい。

また次回のコラムでお会いしましょう。

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