COLUMN コラム
今回はとある記事を読んだので、その件についてコラムにしようと思う。
その記事とは、「西武ライオンズが“あるツール”で脱Excel タスク管理の沼を整備して成し遂げたこと」である。
最近流行の「脱Excel」である。
よく聞くのは「Excel管理を止めてノーコード(ローコード)にしませんか?」というものだ。
馬鹿じゃねーの、って思うわけだが、まぁ、その点はまた今度コラムにしようと思う。
今回は上記記事について私の意見を述べていきたい。
結論として、なぜタスク管理をExcelでしようと思ったのか理解不能である、ということだ。
目次
記事はなんと書いてあるか?
簡単にこの記事の内容をまとめると、「広報チーム内でタスク管理をExcelでやっていたが、人数も業務も増えたのでExcelで管理しきれなくなったので、タスク管理サービスを使うようになりました」、ということである。
なぜ管理しきれなくなったのか?
その原因は、「メンバーが増えて業務が増えたので、タスクの抜け漏れが増えてマネジメントしきれなくなった」としている。
そして、最終的に「Backlogを使ってタスクの可視化ができたし会議時間の短縮やノウハウの蓄積もできて、いい感じやで」っていう感じで締めくくられている。
簡潔に説明すると、こんな感じの内容だ。
詳しくは記事を見て欲しい。
タスク管理を行うと、どういう効果を得ることができるのかが詳しく書かれてある。
私としては必読の記事だと思う。
そもそも論に頭痛がする
だが、である。
そもそも論なのだ。
Excelでタスク管理をしていること自体が誤りである。
管理しきれなくなるのは普通だ。
当たり前だ。
問題にするのはExcelの方ではない。
使用者の方である。
なぜExcelでタスク管理をしようと思ったのか?
問題視するのは、こちらである。
Excelは何のためにあるのか?
そもそもExcelは何を目的としたソフトなのか?
知っている方もいるかと思うが、「表計算」である。
表計算とは、集計用紙のように並んだマス目に表示された計算するためのソフトである。
数値を入力して計算することもできるし、数式を入力することで自動計算することもできる。
また、「表」とある通りデータを入力することで、表を作成することもできる。
Excelに似たサービスは他にもある。
- Google スプレッドシート
- Numbers
- Apache OpenOffice
- WPS Spreadsheets
などだ。
これらもまた計算ソフトなのだ。
確かに表計算ソフトはマス目になっている。
このマス目が何かを管理する時に使いやすいのも分かる。
私も計算ソフトを他の用途で使うことがある。
簡易的に共有したいことがあれば、まるで方眼紙のように使えるExcelを使って見た目を整えて情報を共有することもある。
だが、あくまでも計算ソフトなのだ。
計算ソフトとしての使用以外で使用して、「なんか限界なんです」っていうのはおかしな話だ。
もし自分のサービスや商品だったら、どう思うか?
このように伝えても、実際にExcelはいろんな管理に使えるので「だから?」って思う人もいるかもしれない。
だが、想像してみて欲しい。
もし自分が椅子を作る職人だとして、お客様から壊れたとクレームが入ったとしよう。
確かに椅子の足が折れている。
だが、何に使ったのかと聞くと、高いところの荷物を取るのに脚立代わりに使った、と聞くと、そのクレームは適切だろうか?
もしかしたら椅子が耐えられないほど重い荷物を置いたかもしれない。
もしかしたら椅子を投げたかもしれない。
もしかしたら椅子を高いところから落としたかもしれない。
もしかしたら椅子の取り合いをしたかもしれない。
それで壊れて、「使い物にならない」と言われたらどうだろうか?
これと同じことが起きているのだ。
適切なツールの利用を心掛けるべきである
確かにExcelは便利だ。
方眼紙のように見えるし、実際そのように使うこともできる。
だから、Excelで何かを管理したい気持ちも分かる。
事実として、小規模の内はExcelだけで管理できてしまうことも少なくない。
だから誤解されてしまうのだろう。
だが、Excelはあくまでも表計算ソフトなのだ。
タスクを管理するためのソフトではないのだ。
簡易的に管理する分にはまだいい。
だが、本格的に管理するつもりであるならExcelの活用は控えるべきである。
また、Excelで管理されるのは何もタスク管理だけではない。
会計ソフト、顧客管理、製品管理、受発注管理、勤怠管理、労務管理、契約管理などなど多岐に渡る。
マンパワーで何とかなるレベルの内は何とかなる。
だが、いずれ何とかできなくなる時が来る。
ある程度の規模になったら適切なサービスの利用を検討すべきである。
適切な専門サービスを使うことでより正しく管理ができ、最適な業務運用ができるようになるのだ。
私が提示した記事のタイトルに「脱Excel」と書かれているのだが、むしろ西武ライオンズほどの企業が今までExcel管理でやっていたことが驚きである。
「脱Excel」ではない。
誤った利用をしたExcelから適切なサービスへの乗り換えをしただけなのだ。
この点を間違ってはいけない。
むしろある程度資金力のある企業で「脱Excel」の事例に挙がってしまうことは、とても恥ずかしいことであるのだ。
タスク管理サービスについて
さて、少し話は変わるが、記事にはBacklogに移行したとあった。
そこで、タスク管理を行うサービスは他にもあるので、その一例をご紹介しよう。
本当に多くのサービスがあるので、現在の運用ルールや移行時の運用ルール、作業者のITリテラシーなども踏まえた上で検討することをオススメする。
- Trello
- Backlog
- Jira
- Todoist
- Notion
- Google Tasks
ガントチャート機能をちゃんと使っているところを見たことがないので、検討から外してもよい。
こういっても、「でもなぁ」って言う人がいる。
正直に言うが、本当にマジで全く全然見たことがない。
「2つのサービスの内、どちらも選ぶことができない!」となった時に決め手としてもいいかもしれない。
だが、改めて伝えるが、本当に使っている人は見たことがない。
ガントチャートは見栄えもいいし、使う自分を想像すると仕事ができる人っぽく感じる。
だから、欲しいと言う人は多い。
だが、再三にわたりお伝えするが、いざあっても全く使わない無駄な機能になる可能性が非常に、大いに、とても、メチャクチャ高いという点を留意しよう。
重要なのは
- ちゃんと運用できるのか?
- ちゃんとマネジメントできるのか?
- ちゃんとフォローができるのか?
という3つだ。
役に立てれば幸いだ。
最後に
最後になるが、「脱Excel」というセールストークをする人について物申したい。
本当に不親切だと思う。
そもそも間違った使用をしている事実がある。
間違った使い方をしているのに、そのサービスそのものを否定する。
これを不親切と言わずして何というのだろうか。
たとえば椅子を脚立代わりに使っていて壊れて困っている人がいたとする。
その人に向かって「椅子は役に立ちません。脱・椅子です!この脚立をお使いください!」なんてセールストークをしている人がいたら、どう思うか?
「何言ってんだ、こいつ」となるはずだ。
そもそも間違った使い方をしている人に何を言っているんだ?と思うはずだ。
椅子は脚立ではない。そもそも使い方が間違っていることを指摘してあげるべきだ。
また、Excelが重いから「脱Excel」と言う人もいる。
その原因は関数を無駄に使用しまくっていることが多い。
ちょっと知っているだけの素人に起きがちな現象である。
適切に使えば、こんなことは起きない(正しくは起きにくい、だが)。
素人がDIYで作った棚が壊れたからといって、「脱収納」・「脱棚」とは言わないだろう。
もしいたら、「何言ってんだ、こいつ」となるはずだ。
素人が作ったから棚として機能していないのであって、プロがちゃんと作った棚なら100年も200年も機能することも少なくない。
私の感覚はこれである。
確かに「脱Excel」と表現した方が早いかもしれないが、この表現ではExcelを「悪」と定めてしまいかねない。
「脱Excel」だけ聞くと、Excelそのものが悪く、使用してはいけないように聞こえてしまう。
じゃあ、そんなことを言っている御社はExcelを一切使っていないのですか?と聞くと、そんなことはない。
使う時は使っているのだ。
むしろバリバリ使っている。
もう笑えるくらい使っている。
「脱・Excel」なんて言うんだったら、すべての表計算ソフトを社内から一掃してから言ってみろと言いたい。
できるわけがない。
だからこそ、「脱Excel」と叫ぶ人は不親切だし、何だったら悪質とさえ思えてしまうのだ。
話が変わるが、機動戦士ガンダムという作品でアムロ・レイという主人公がいる。
主人公の成長に主役ロボットのガンダムが付いていけないシーンがある。
最新ロボットであるガンダムに乗っているのに、そのガンダムに「遅い!」と言って怒るのだ。
何が言いたいか。
会社として、事業として、部署として、成長したならExcelで管理していたものを適切なサービスに乗り換えることが大事である、ということである。
Excelを使っている限りは追加費用がかからないのは確かだ。
だが、成長に合わせて適切なサービスを使用するのは一種の投資である。
子どもの成長に合わせて服や靴を変えていくのと一緒だ。
ケチるのではなく、適切なITツールの使用を心掛けるべきなのである。
今回のコラムが何か気づきや学びになればシェアをしていただけると嬉しい。
また次回のコラムでお会いしましょう。