COLUMN コラム

2025.06.16
日本はなぜ生産性が低いのか

日本はなぜ生産性が低いのか

「日本の労働生産性が低い原因は単純なIT化だけでは解決できない」という指摘に着目し、経営者の責務と従業員のモチベーションの観点から、生産性向上への道筋を考察

ある記事を読んでいて、思ったことがある。

その考えをここに1つコラムとして残しておこうと思う。

元になった記事を紹介しよう。

「日本の労働生産性はなぜこんなに低いのか」論を考える

 

労働生産性が低いことを様々な観点から考察されているので、一度読んでみることをオススメする。

さて、日本はなぜ生産性が低いのか?

みなさんは考えたことがあるだろうか?

もしなければ、このコラムがそのきっかけになれば嬉しい。

日本の生産性はどれくらい低いか

「時間当たり労働生産性」がどの程度なのだろうか?

OECD加盟国38か国を対象にした調査がある。

そこで日本は30位程度をキープしている。

下位にあるのは、

  • エストニア
  • ニュージーランド
  • ハンガリー
  • 韓国
  • ギリシャ
  • チリ
  • コスタリカ
  • メキシコ
  • コロンビア

である。

日本の生産性は56.8と評価され、OECD平均は71.3。

平均から約15ポイントも低い。

また、スイスのIMDが出している67か国を対象にした調査結果では、日本はパソコンが使えない国として評価されている。

つまり、67か国中67位である。

日本企業の特徴がヤバい

このようにデジタル社会において日本はデジタル技術の取り扱いに後れを取っており、生産性の低い国となっている。

これは私見であるが、日本は未だに70年代のアナログな働き方を好んでいるのではないかと思うのだ。

効率化のお話をするたびに紙文化やFAX至上主義、PDF最高といったお客様を目にする。

そこで発生する手入力を何とかしたいが、「FAXは最高なのでFAXは外せません」とリクエストされる。

FAXを電子で受けて、PDF化したものをRPAでコツコツやるしか方法はないが、そんなことをするくらいなら抜本的な解決をした方が絶対的にハッピーになれる。

たとえでいうと、

骨折しました

でも、ギブスは格好が悪いから付けたくありません

湿布で何とかしてください

と医者に言っているようなものだ。

ちゃんと治療ができるわけがない。

このようなことが日常茶飯事である。

 

もしこうした企業が多いのであれば、日本の生産性が低いのも納得である。

日本企業は20名以下が80%以上と言われている。

その20名以上の企業の内、90%近くがDXに興味がないと答えている。

このように日本はITに疎く、取り入れることもしない企業が多いのが特徴だ。

根本的な原因はパソコンではない

だが、もしIT化を100%できたとしても、日本の生産性の低さは改善されないはずだ。

なぜか?

それは日本人の働き手が働くことに対してネガティブだからだ。

働いたら負けであると言わんばかりだ。

できる限り最大限努力をせずに楽をしながら、お金を儲けたい。

自己投資はしたくない。

このように思っている人が多いのではないだろうか?

そうでなければ、日本の正社員のモチベーションの低さを説明できない。

そして、このモチベーションの低さが生産性の低さに関係していると私は考える。

 

逆に考えて欲しい。

モチベーションが高いことであれば、頑張らないか?

何でもいい。

好きなテレビでもアイドルでもゲームでも何でもいい。

好きなこと、モチベーションを高くできるものであれば、集中できないだろうか?

これだ。

つまり、働くのが退屈なのだ。

この退屈が日本を停滞させてしまっている最大の原因である。

退屈からの脱却は、経営者の責務

ここから私にとっても自戒の意味も込めて、コラムにする。

従業員のモチベーションを高く維持することは、経営者の責務である。

このように言うと、すぐに賃上げの話になるが、そうではない。

賃上げは結果として行うべきことである。

つまり、1つの結果に過ぎない。

何もないのに単純に賃上げします、というのは中小企業にとって悪手である。

ちなみに、大手がやっているからという理由もよくない。

大手の賃上げは裏がある。

「給与30万にしますが、賞与は実績ベースです(つまり0円です)」という風にすることもある。

賃上げニュースだけを見て、焦る必要はない。

 

では、どうすべきか?

 

それこそ経営者としての責務を果たすのだ。

つまり、

  • 70年代の働き方を辞めること
  • 評価をすること
  • 解雇すること

の3つである。

70年代の働き方をやめること

いつまでアナログか。

アナログでなければならない業務もある。

だが、だからといって、未だにFAXとか意味が不明だ。

こういうと現場を知らないと言われるのだが、たとえばある企業さんの事例だ。

基本的にメールで注文が来るが、FAXが1割で高齢者の方が多い。

売上構成はFAXは微々たるものだという。

この段階で効率化ルートは決まった。

メールで注文していただいている方にはMicrosoftフォームを使って注文していただくようにする。

FAXの方にもMicrosoftフォームでの注文を案内しつつ、FAXを継続利用の場合は人件費が発生するために10%の追加請求を行うよう提案した。

結果、どうなったか。

「かわいそう」の一言で見送られた。

「パソコンができない人もいるから、その人たちを置いてけぼりにするのは可哀想」ということらしい。

意味が分からない。

手入力でミスも多く、発注ミスが起きてクレームになっている現状をどうにかしたいというのが最初の要望だった。

この時点でお客様に失礼であり、お客様にとって「かわいそう」な現実が発生しているのに気が付いていない。

また、会社にとっても大きな損失を出していて、自らが無責任な対応を行っているのかを理解していない。

効率化することで、お客様に対する失礼な行動を減らすことができれば適切な対応が可能になる。

日本人あるあるだが、弱者に対する思いやりが強すぎて、いつまでも手作業のままとなる。

別に弱者を見捨てろとは言っていない。

10%の追加請求が嫌なら、10%割引を他のお客様にすればいいだけではないか。

このように最小の努力で最大の成果を出せる仕組みを作ることへの挑戦を忘れてはいけない。

評価すること

働いても働いても評価されない。

認めてもらえない。

感謝されない。

このような状況下でいったい誰がモチベーションを高く生産性の高い行動をしてくれるだろうか?

我々経営者はスマートフォンゲームに勝たないといけない。

スマートフォンゲームは何をしても褒めてくれる。

認めてくれる。

感謝してくれる。

SNSもそうだ。

なぜ流行るか。

現実世界では感じられない評価を実感できるからだ。

 

よって、我々は従業員を正当に評価し、常日頃から感謝をする必要がある。

 

ここに出てくるのが賃上げである。

賃上げは意味もなくやっても効果がない。

物価高だしね、で終わる。

違う。

その人だから賃上げするのだ。

評価しているから賃上げするのだ。

このままずっと活躍して欲しいから賃上げするのだ。

 

この原理原則を忘れてはいけない。

賃上げありきではなく、評価ありきなのだ。

解雇すること

日本企業は毛嫌いする解雇。

雇っている従業員は家族だ、と言い放つ経営者のなんと多いことか。

ご立派である。

だが、それは正しくない。

 

私は両親を家族だと思っているし、両親も私を息子と思っている。

あなたは家族だと思っていても、従業員は家族と思っていないかもしれない。

この乖離があることを理解する必要がある。

 

その上で、従業員は2つに分類される。

1つはコストであり、もう1つは資産である。

分かるだろうか?

経費と感じる従業員と育成したいと感じる従業員の2つである。

ここでいう「育成」は社員教育レベルではなく、投資しているかどうかのレベルだ。

日本は世界的に見て人材投資にお金をかけないことで有名だ。

それほど「人」を大事にしてこなかった。

従業員は家族であると答える経営者も人材投資にお金を使っていないことが多い。

 

考えてみよう。

もし子どもが生まれたら投資しないか?

お稽古事に通わせたり、やりたいと言い出したことをやらせてみたりしないだろうか?

従業員が家族ならば、子どもと同じく投資しているはずだ。

だが、投資活動はしていないことが多いのは、口だけではないかと思ってしまうのだ。

 

そこで、従業員は2つに分類されるという考えを徹底されることを推奨する。

コストであるという人は解雇の対象である。

資産であるという人は人材投資の対象である。

10人規模の会社でコストと思う人が2人いる。

1人当たり30万円とするなら、毎月60万円も吹っ飛ぶ。

税金や他の人がフォローしていることも考えると、100万くらいは吹っ飛んでいるだろう。

12ヶ月あれば、1200万円だ。

その分のお金があれば、広告に回すことも人材投資にお金を回すことも賃上げの原資にすることもできる。

 

人手が足りないと言われるかもしれないが、それならば効率化や仕組み化をすればよいだけの話だ。

効率化を徹底すれば10人業務を1人で対応できるようにすることも可能である。

 

経営者はとにかく従業員を解雇することも仕事であると考えるべきである。

それが他の従業員を守ることにもつながるのだ。

最後に

生産性が低いというのは経営者の責務であるところが多いように思う。

誰だって評価されたいだろう。

面白いと思えば、自然とやる気に満ちる。

そのため、できる限り退屈な業務は排除するようにするのが得策である。

そのためにも効率化が有効である。

もし相談したいという方は下にフォームがあるので、そこから連絡をください。

 

ちなみに、GDPという言葉があるが、あれって、高齢者の多い国と若者の多い国とで単純比較できないのでは?と思うんだが、実際どうなんだろうか?

専門家の意見を聞いてみたい今日この頃である。

 

さて、今回のコラムはどうだっただろうか。

何か気づきや学びになれば幸いである。

最新情報はスタンドエフエムで投稿している。

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といった方は是非スタンドエフエムを覗いて欲しい。

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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。

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