COLUMN コラム

2025.10.01
もう採用に頼るな!人材教育こそ中小企業の最強戦略

もう採用に頼るな!人材教育こそ中小企業の最強戦略

中小企業の採用の悩みを解決する鍵は「教育投資」にあります。高コストと不確実性を避け、既存社員を育てることで業務効率を向上させ、離職率を低下させましょう。効率的な教育こそが企業成長の鍵です。

最近、「採用がうまくいかない」という嘆きをよく耳にする。

この嘆きは中小企業経営者や人事担当者と話す中で最も多く聞く悩みの1つだ。

「人手不足なので採用したいのに、思うようにいかない」
「応募があってもスキルや能力が基準に達していない」

よくよく話を聞くと、以下のような傾向が見えてくる。

  • 人格面での不安
  • スキルが不足している
  • 仕事への意欲が乏しい

そして、採用コストも年々増加。

大手企業の年間採用広告費が平均1600万円を超える時代である。

この現実を前にして、中小企業は「採用に頼る戦略」から脱却する必要がある。

採用に頼る企業が抱える落とし穴

大前提の話をすると、中小企業が採用活動で広告媒体に依存するのは得策ではない。

だが、求人媒体の活用を行ってしまう企業は後を絶たない。

求人媒体の活用はなぜ得策ではないか?

中小企業にとってあらゆるコストが大きすぎるからだ。

 

まず費用面だ。

その広告宣伝費は決して安いものではない。

加えて採用活動自体にかかる時間と労力は膨大だ。

求人原稿の作成、スカウト文の作成に送信、求職者のチェック、応募が来れば面接調整など。

もし1時間2000円の時給換算で、毎日3時間の作業を3か月やるとしたら、どれくらいになるだろうか?

毎月12万円も吹っ飛ぶことになる。

複数人で対応していれば、その分加算される。

採用活動費は、中小企業にとって非常に大きな金額なのだ。

しかも、このコストに見合う成果が保証されていないのが採用活動におけるリスクなのだ。

コスト意識が会社の首を絞める

そもそも採用は多くの不確実性を含む。

求人を出しても応募が来なければ意味がない。

ようやく応募がきても、スキル面・能力面・人格面で問題があれば採用すること自体難しい。

だが、先に挙げた費用が発生しているため、どうしても「勿体なく」感じてしまう。

すると人はどういう行動に出るだろうか?

「折角お金をかけているのだから、元を取らないと!」

となるのだ。

ランチバイキングで普段よりも食べ過ぎてしまうのと似ている。

無料で採用できるとしたら絶対に採用しないだろう人を採用してしまう。

この冷静さの欠如が採用における最大の落とし穴である。

「私なら教えられる」「教えたら変わる」は幻想

教えたら成長できるというのは傲慢であり、理想論だ。

本人に成長意欲がなければ、何を言ったとしても意味がない。

我々の力で目の前にいる人をどうにかできるなら、もうすでにどうにかなっているのだ。

「教えて何となる」は何ともならない。

この事実を私は身をもって経験してきた。

重要なのは、「誰を教育するのか」である。

教育こそが最強の人材戦略

私は声を大にして言いたい。

それは、「採用よりも教育に投資すべきだ」ということである。

言っていることが違うように思うかもしれない。

しかし、落ち着いて聞いて欲しい。

私が伝えたいのは、「新しく採用するよりも、今いる社員を育てた方が圧倒的に効果的である」という事実なのだ。

 

今あなたの目の前にいる社員は、すでに企業文化を理解している。

あなたのことも知っている。

あなたや会社との信頼関係もある。

新しく採用した人であればここから始める必要があるが、その必要性が全くない。

下地が出来上がっているのだ。

このような状態だからこそ教育による成長スピードも早く、業務効率を向上させることができるようになるのだ。

しかも、教育によって得られるのはスキルだけではない。

従業員とのエンゲージメントを高めることもできる。

その結果、離職率も下がるという副次的な効果も得ることができるのだ。

世界とのギャップを埋めるためには「教育」に力を入れる

我々は世界的に見て、人材教育を行わない傾向にある。

失われた30年という言葉をよく耳にするが、それもそのはずだろう。

世界の企業は人材投資を行って、教育に力を入れている。

だからこそ、ITスキルやノウハウについてもキャッチアップしている人が多いし、AI技術についても学習する傾向にある。

一方で、我々はどうだろうか?

日本企業の実に17%しかAI活用をしていないというデータがあるし、日本人の約半数近くは自己投資をしないとも言われている。

パソコンスキルも67か国中67位と判断されるほどパソコン音痴が多い国である。

そんなアナログ業務ばかりやっている企業が今後生き残っていけるだろうか?

世界企業が日本に進出してきた時でも生き残っていくためにも、我々は今からでも対策していく必要があるのだ。

ワークマンの事例に学ぶ「育てる強さ」

私はいつもワークマンを事例に出す。

ワークマンは、全社員にExcelを徹底的に教え込んだ。

パソコンの基本操作から教えていき、Excelを共通言語のように扱った。

データを見える化してデータ経営を行ったことにより業績は過去最高を記録した。

ここで重要なのは「IT人材を採用した」のではなく、「社員を教育した」という事実である。

教育に本気になった瞬間、会社全体の未来が変わる。

  • パソコンの基本操作を覚えるだけ
  • ブラインドタッチを覚えるだけ
  • Excelを使えるようになるだけ

たったこれだけでも大きく業務効率は向上する。

この基本を押さえることが重要だ。

「DX人材を育成しよう」は無責任な発言と知れ

最近、「DX人材を育成しよう」という記事を目にする機会が増えた。

国も一生懸命頑張っているのは理解できるが、多くは失敗している。

その理由は実態を把握せずに、突き進もうとするからだ。

そもそもパソコンが使えないのに、一足飛びで教育しようとしても無理な話だ。

小学生に大学生の勉強を教えても意味はない。

段階に合った学習を施すべきである。

この当たり前のことを意識しないから失敗する。

現状のスタート地点を把握した上で、しっかり対策することが大事だ。

そんな大それたことはしなくてよい。

日本においては、パソコン活用人材の育成から力を入れていくべきだ。

教育はコストではなく、未来への投資

業務を行っている中で教育を実施するのは難しい。

だから、安直な人材採用に走りたくなる気持ちもわかる。

だが、思い出して欲しい。

人件費は膨大なコストなのだ。

月給30万円なら360万円の年間コストだ。

これに社会保険料などのコストがかかる。

しかも、その人を育てるコストもかかる。

 

おや?

「新人を育てる」余裕はあるのに、「今いる人材を育てる」余裕はないなんて、あり得るのか?

という事実に気づいただろうか?

 

そうだ。

時間がないから教育できないのではない。

教育する気がないから教育しないのだ。

10人でやっていた業務で1人当たり3時間分の工数削減ができたら、どうだろうか?

10人8時間ということは、80時間分のお作業だ。

10人5時間になったら、50時間だ。

1か月だと、1600時間と1000時間の違いになる。

もし時給2000円なら120万円分の節約になる。

小さな違いも積み重なると大きな違いとなるのだ。

 

これが教育投資の回収率である。

教育は投資対効果の高い投資なのだ。

終わりに

今回のコラムはどうだっただろうか。

「優秀な人材が欲しい」という願いは、どの企業にもある。

だが、その答えは意外にも近くにある。

目の前の社員を育てることで、あなたの会社の未来は大きく変わる。

採用よりも、教育に目を向けよう。

今いる人材を信じ、投資すること。

それが最も堅実で、最も確実な成長戦略なのだ。

 

今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。

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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。

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