COLUMN コラム
DXだのITだのなんだの記事を読んでいると、「〇〇人材」という言葉に出くわす。
デジタル人材
IT人材
DX人材
AI人材
などなど。
もうよく分からないと思う方もいるだろう。
そこで、簡単にそれぞれどういう意味かを見ていこう。
デジタル人材:デジタル技術を活用して業務を実行できる人材
IT人材:ITを活用するスキルを持った人材のことで、IT導入の企画・推進・運用も可能な人材
DX人材:デジタル技術を活用して業務や事業モデルの変革を推進する人材
AI人材:AIに関する知識やスキルを身に付け、ビジネスに活用できる人材
ざっくり書いてみると、全部デジタル人材でよくないか?って思ってしまう。
それぞれの言葉の定義については、また後日コラムとしたい。
今回はデジタル人材にフォーカスをあてて見ていこうと思う。
目次
デジタル人材とは何か?
デジタル人材について国はもちろん、各社もコラムで紹介している。
そういった記事を参照してデジタル人材について見ていこう。
経済産業省のレポートから見るデジタル人材
経済産業省がみずほ情報総研に委託して作成されたデジタル人材政策に関する調査の調査報告書を読む限りでは、デジタル人材はこれまで存在していたIT人材とは区別するものとしつつも、明確な定義はなされていなかった。
この調査報告書を読む限りでは、どうやらIT人材が先に存在していて、その上位互換としてデジタル人材と言うものが作られたようである。
また、デジタル人材はDXを推進するカギとなる人材であるようである。
こうなると、ますますDX人材とデジタル人材の区別が不透明である。
同じ存在のように見える。
紙とペーパーの関係性なのか?と思ってしまう。
デジタル人材育成情報というサイトから見るデジタル人材
「デジタル人材とは?」DX人材育成に関する基本情報と今後の動向を解説
人材育成・教育というコラムがある。
そこで、どのように定義されているのだろうか?
この記事内では経済産業省が行っているデジタル人材の定義をこのように紹介している。
世界的な規模の急激なデジタル化の中で、最先端の技術を理解し、活用する能力を持った人材
または
AIやデータ分析などの最新技術を活用して、業務効率化や他社との差別化を実現し、企業に貢献してくれる人材
とより詳しく説明していた。
規模がデカすぎて、チンプンカンプンだ。
この後、同記事内では「デジタル人材」ではなく、「DX人材」も混同して記事がどんどん進んでいく。
どうやらDX人材もデジタル人材も同一の存在らしい。
三菱総合研究所のコラムから見るデジタル人材
「DXの推進を担う、多様な人材のスキル習得・育成を支援します」という記事にデジタル人材について記載されていたので、紹介したい。
記事内でデジタル人材をこのように紹介している。
デジタル人材とは、DXの推進を担う多様な人材の総称です。エンジニアやデータサイエンティストだけがデジタル人材ではありません。
DX推進に必要なスキルには、データサイエンスやエンジニアリングといった技術系スキルと、ビジネス系の「ビジネス・サービス設計」「組織・プロジェクト管理」のスキルがあります。また、デジタル人材の役割も一つではありません。役割によって、求められるスキルの濃淡・内訳が異なります。
例えば、プロデューサーは組織・プロジェクトマネジメント領域を主に担い、自身で事業の業務設計を行ったり、プログラムを書いて実装したりするといった、ビジネスやエンジニアリングの専門的な役割は想定されません。しかしチームとしてDXを円滑に推進するには、プロデューサーには注力するべき事業や技術領域を発掘し、担当者から上がってくる提案を判断するためのスキルが求められます。すなわち、ビジネス・サービス設計、データサイエンス・エンジニアリングの領域についても、「事業理解」や「技術動向把握」レベルのスキルが最低限必要となります。
読む限りDX人材と同じということでよさそうだ。
パーソルのコラムから見るデジタル人材
「デジタル人材とは?不足する背景や必要スキル、育成方法を解説」という記事を紹介しよう。
パーソルは少し違った定義をしているように見える。
デジタル人材とは、企業のDX推進に必要不可欠な人材で、IoTやAIなど最先端のデジタル技術を活用して企業に「新しい価値」を提供できる人材のこと
この定義のあとに求められるスキルとして以下を挙げている。
- ソフトウェア開発スキル
- プログラミングスキル
- セキュリティ技術
- ビジネスを変革する発想力
- 論理的思考力
- データ活用スキル
- プロジェクトマネジメントスキル
- 対人関係スキル
- 思考スキル
いや、無理やん。全員エンジニアやんけ、って言いたい。
IT人材との違いでは、以下のようにまとめている。
IT人材:情報技術の活用や情報システムの導入に特化した人材
デジタル人材:デジタル技術に関するスキルや知識を身に付けており、新たな価値を生み出せる人材
なるほど。
デジタル人材がデジタル技術を活用するためには、IT人材がどのITサービスを導入したらよいかを企画して導入しないと、デジタル人材は活躍できないってことらしい。
パーソルの記事では、デジタル人材とDX人材はイコールではないものの多分に重なっている部分が多い印象を受けた。
TalentXのコラムから見るデジタル人材
「デジタル人材とは? 必要なスキルや採用・人材育成のポイントを解説」というコラムを紹介したい。
ここでは以下のように定義していた。
デジタル人材とは、企業や社会DX推進を担う人材であり、最先端のデジタル技術を活用して企業や社会に対して新たな価値提供ができる人材
現時点で言う最先端技術とは、「IoT」「AI」「生体認証」「クラウド」「5G」「ビッグデータ」などを指し、これら技術を使いこなすスキルを持っている人材のことであるそうだ。
ディジタルグロースアカデミアのコラムから見るデジタル人材
「経済産業省が定めるデジタル人材とは?スキル標準についても紹介」では、どのように紹介しているだろうか。
デジタル人材に求められるスキルを
- デジタル技術に関する知識・スキル
- データ分析・活用能力
- ビジネス理解力
- コミュニケーション能力
- チームワーク能力
であるとした上でIT人材と以下のように比較している。
IT人材:情報技術(IT)分野で活躍する人材
デジタル人材:デジタル技術を活用して、企業や社会に新しい価値を創造する人材
IT人材は、「情報サービス業やITソフトウェア・サービスの提供事業に従事する人、また企業の情報システム部門の従業員も」含むとし、デジタル人材は更に広義でIT人材を内包するだけではなく、「マーケティングや営業など、幅広い職種の人材も含まれる」としている。
その後、記事ではDX人材に必要な「DX推進スキル標準」について紹介していることから、DX人材とデジタル人材は同じ存在であると読み取れるかもしれない。
デジタル人材=DX人材
今までデジタル人材とはいかなるものかを見てきた。
私としては、デジタル人材と聞いた瞬間にイメージすることと実際が違い過ぎる印象である。
これまで各社の投稿を見ると、間違いなくデジタル人材はDX人材のことだ。
デジタル人材とだけ聞くと、
デジタル技術を活用できる人材のことではないか?
って思えてしまう。
これは非常に危険である。
なぜこのようなことになっているのか?
DXは「デジタル・トランスフォーメーション」なので、この「デジタル」を取っているのだろう。
それならば「DX人材」と「デジタル人材」の2つを用意するという愚行に走らず、1つにまとめるべきだったのだ。
「デジタル人材」が本当に「デジタル化」の意味を持っているとしたら、余計に危険である。
もし「デジタル化」を推進する人材のことを指していると仮定するならば、各社の投稿内容の通り誤解が横行していることになる。
そもそも「デジタル化」の「デジタル」のことであれば、IT人材よりも狭義の意味合いになってしまうので、今さらそんな人材なんて必要なのか?と恐怖すら感じる。
スポンジも苺もないショートケーキはただの生クリームの塊である。
デジタルトランスフォーメーションと1つだから意味を成す。
「デジタル」だけ取るのは混乱のもとである。
本当にITってこういうのばかりだ。
嫌になる。
では、DX人材とはどういった人材だろうか?
「世界的な規模の急激なデジタル化の中で、最先端の技術を理解し、活用する能力を持った人材」なんて言われた日には、絶望しかない。
結局どんな人なのか?
不透明にもほどがある。
他の記事を読むと、どうやら「IT業界の最先端技術を理解し活用することでDXを推進する人材」のことらしい。
その最先端技術とは、「IoT」「AI」「生体認証」「クラウド」「5G」「ビッグデータ」などだそうだ。
まとめ~本当にDX人材は必要なのか?~
DX人材にエンジニアを含んでいる時点で、なんか違う感がすごいある。
どうせキントーンだのジョブカンだの既製品を使うのに、開発するエンジニアを用意して一体何に使うのか?
DX人材の定義自体も問題のように思うが、最新技術を理解し活用するというのは非常に難しい。
日常の業務を行っているのに、更に業務に関係のない知識や技能を学ぶ必要があると言われても、給与に反映されないのが目に見えているので、頑張る気にもなれないだろう。
正直、専門知識は専門家に任せるべきだ。
専門家は専門領域でお金をもらっている。
だからこそ最先端技術を追いかけているだろうし、専門的なノウハウを提供してくれるだろう。
逆に従業員が5GとかIoTとか生体認証とか、詳細に知っていないとDXできないのだろうか?
そんなはずない。
覚える必要はなく、専門家に任せるのが一番いいのだ。
それが一番早い。
IoTだけを取ってみても、理解するのにどれだけ時間がかかるか。
理解して活用するのにも大変な労力がかかる。
全部自分で賄うのは時間もお金も膨大にかかり、身動きできない。
商品ライフサイクルは年々短くなっている。
そんな勉強をしている暇があれば、専門家に依頼してしまった方が効率的なのだ。
そういうのは大手の戦略である。
中小企業は中小企業の戦略がある。
とはいえ、1つだけ言えることがある。
それは、パソコンが苦手と言ってしまうのはNGだということだ。
全てシャットアウトしてしまうと、そこから先はいけない。
まずはパソコンへの苦手意識を克服しよう。
本コラムが学びになった方は、ぜひSNSでシェアしていただけると嬉しい。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。