COLUMN コラム
コロナ禍以降、リモートワークが注目を浴びている。
世界でもリモートワークが普及し、日本でも取り入れている企業も多い。
日本の大学生も約半数はリモート授業に満足しているというレポートもある。
しかし、世界的な企業は続々とリモートワークを廃止している。
メリットだらけなら継続すべきなのに、なぜ廃止が続くのか?
そこで今回は、リモートワークついて考えてみたい。
現状を確認しよう
日本の現状
まず日本の現状について確認したい。
日経BP総合研究所がレポートをまとめている(在宅勤務率下落も一定水準 「働き方改革に関する動向・意識調査」を総合研究所 イノベーションICTラボが発表)。
これを見ると、週3日以上のリモートワークは約34%で、週1日以上だと約54%となる。
思ったよりも低い数値だ。
世界の現状
では、世界はどうだろうか?
世界に比べて日本は遅れている、リモート比率が低すぎる、とよく耳にするが、どうなのだろうか?
「海外のテレワーク事情!普及率や生産性&日本との比較データも紹介」という記事から見てみよう。
この記事では、アメリカの在宅勤務率は約35%、ヨーロッパの平均は約36%となっていた。
週何日のリモートなのか?は書かれていないため、純粋な比較はできない。
週3日以上なら日本と同じレベルだし、週1日以上も含めてよいなら日本の方が上である。
そこで、別の記事を見てみよう。
「世界のテレワーク事情~2023年 最新データを読み解く~」という記事である。
これは、「Working from Home Around the Globe: 2023 Report」という34か国を対象に調査したレポートを元に書かれた記事だそうだ。
こちらの記事によると、終日フルタイムのリモートワークは週に何日あったか?という項目で調査されていた。
5か国だけピックアップする。
世界平均:0.9日
アメリカ:1.4日
ドイツ:1日
フランス:0.6日
イギリス:1.5日
日本:0.5日
これを見る限りだと、日本はそこまで悪くない。
そんなに言うほどではない。
多くの国が3以上の中、日本だけ0.5だったら「確かに」と思うが、明確な優位性は認められない。
世界的な企業ほどリモートワークを廃止または縮小する
では、なぜ世界的な企業、特に世界的なIT企業は続々とリモートワークを廃止または縮小しているのか?
2024年12月13日にITmediaに掲載されたニュース(LINEヤフーがフルリモート縮小 事業部門は原則週1回、それ以外は月1回出社に)はSNSで大きな話題になったのも記憶に新しい。
他にもGoogle、Apple、Amazon、Teslaはリモートワークの廃止をしていて、Metaは縮小を決定している。
特にイーロン・マスクは「道徳的に間違っている」とインタビューに答えるほどで、公務員のリモートワークを廃止する案を今出しているほどリモートワークを嫌悪している。
日本でも、ホンダ、GMOは廃止、楽天は縮小となっている。
このようにテレワークを廃止・縮小する動きは世界的に見られる。
何故このようなことが起きているのだろうか?
このような動きになっている理由について考察していきたい。
理由①:組織力が低下する
リモートと言うのは画面側の外と内の世界を作ってしまう。
組織運営をする際に、会社はこう考えている、こういう未来を作っていきたい、といったことを社内に発表する。
その機会が失われる。
質疑応答もしにくい。
だから、一生懸命対策する。
だが、効果は薄い。
何故なら画面越しだからだ。
思い出して欲しい。
リアルで会った人と画面越しでしか会えていない人。
どちらの方が親密になりやすいか。
前者であるはずなのだ。
存在を空気で感じることができるのだ。
私たちはこれまで何万年もリアルで生活してきた。
仮想空間は本当に数十年しかない。
そんな私たちがちゃんと信頼関係を構築できるわけがない。
人間関係の構築が難しい、寂しいという学生が多いのも、ここに原因があると思う。
だからこそ、組織力が低下する原因となるのだ。
理由②:評価ができない
オンラインで仕事をすると、アウトプットの量や室に偏りが発生する。
会議で1度も話さない人もいる。
頷いていても分からない。
常にミュート。
それで正当に評価しろと言われても無理な話だ。
従業員をしっかり判断・評価できない。
これは従業員にとっても不利だ。
声が大きい人だけが得をする。
優秀だけど、オンライン会議だと声だけが大きい人に邪魔されてアウトプットできない人は損をするのだ。
理由③:人の管理ができない
人は何をするのか分からない。
だから、管理ができない。
本当に仕事をしているのか不明だ。
洗濯をしているかもしれない。
ネットサーフィンしているかもしれない。
アニメを観ているかもしれない。
デートに行っているかもしれない。
でも、「仕事をしていた」と言えるのだ。
特にエンジニアはとにかく無駄なことをしたくない面倒くさいことが嫌いな人種の集まりである。
つまり、人の目がないところでは仕事をしないのだ。
アニメなんて見放題なら、アニメを一気見する。
もちろん個人の見解だ。
全員がそうだとは言わない。
だが、こういう人は多いと思う。
ところで、リモートで何も発信しないのにフォローして欲しいと言われても絶対無理だ。
姿があって、何か困っている感じが見て取れるから何も言わなくても「どうした?」って言える。
負のオーラが出ていたら、「話聞くよ?」と言える。
だが、リモートの世界でそれができるはずがない。
逆の立場ならできるのか?って言いたい。
理由④:業務の管理ができない
家で仕事をするのでも喫茶店で仕事をするのでも、その人が実行している業務は果たして情報管理の面から大丈夫と言えるのか?
角川がハッカーに攻撃されたのは有名な話だ。
ニコニコ動画が見れなくて悲しかった。
では、個人宅は安全なのか?という話である。
サイバー攻撃だけのことを言っているわけではない。
子どもやパートナー、親、隣人や友人。
これらが仕事を盗み見てしまって、それを外部に漏らすかもしれない。
もちろん、本人にそのつもりはないかもしれない。
だが、それがきっかけで重大な機密情報が漏洩してしまうかもしれないのだ。
コンプライアンス違反をしているかもしれない。
それを注意することができないというのは、組織としても危険な状況である。
たとえば、何でも口に入れてしまう頃の赤ん坊の目の前に、口に入れてはいけないものを置いておくだろうか?
自分の管理できないところに赤ん坊がいて、どうなるのか目に見えなくて、時々連絡があるだけだったら、どれだけ不安か。
居ても立っても居られないだろう。
そういう状況下にあると考えれば分かりやすいかもしれない。
まとめ
これまでリモートワークについて見てきた。
リモートワークを廃止・縮小している世界的な企業があったが、なぜそういう決断をしているのかを私なりに考えてみた。
これは私個人の見解であり、各企業のオーナーの発言から考えた内容ではない。
だが、従業員の評価にコミュ力を重要視する風潮が高まってきていることから、今後リモートワークを廃止・縮小する企業は増えていくだろう。
その方が真面目で頑張り屋さんの従業員にとっては有利に働くのではないかと期待する。
声が大きいだけの人が何故か評価されるのは、本当に理不尽だ。
さて、リモートワークについて考察している記事の中でもよくまとまっている記事があったので、シェアしたい。
「今、リモートワークについて思うこと」という記事だ。
実際にリモートワークを取り入れた企業で、その結果について体験談のシェアである。
多くの企業にとって価値のある記事ではないだろうか。
今回の記事が気づきや発見、学びに繋がれば幸いである。
シェアをしていただけると嬉しい。
また次回のコラムでお会いしましょう。