COLUMN コラム

2025.02.03
採用活動はもう時代遅れ

採用活動はもう時代遅れ

中小企業の採用活動は、上昇し続けるコストと大手企業との圧倒的な待遇差により、企業の成長を阻害する要因となっています。本記事では、採用戦略の見直しについて考察します。

今後の日本社会を考えると、中小企業は採用活動を実施するべきではない。

採用活動に一生懸命になればなるほど業績は上がらず、疲弊していき、会社の成長が止まり、最終的には倒産という悲劇が起きるだろう。

そんなバカな話があるかと思うだろう。

そこで今回は採用を止めるべきと主張する理由について1つシェアしていきたい。

上がり続けるコスト

そもそも採用活動費はいくらだろうか?

様々な媒体で採用費について紹介されていた。

その中でも分かりやすかった記事を4つご紹介しよう。

 

採用コストの平均は?一人当たりの相場・削減のコツを解説

採用単価とは? 削減方法6選|新卒・中途採用の平均相場も紹介

中途採用コストの平均相場・費用から削減ポイントまで徹底解説!

採用コストの平均相場や推移は?気になる数字を徹底解説!

 

これらの記事に紹介されているが、各年度ごとに平均単価に変動が見られる。

2014年353万円(enによる統計データ)

2015年426万円(enによる統計データ)

2016年693万円(enによる統計データ)

2017年761万円(enによる統計データ)

2018年774万円(enによる統計データ)

2021年484万円(マイナビによる統計データ)

2022年573万円(マイナビによる統計データ)

2023年629万円(マイナビによる統計データ)

 

21年から3年間が減少しているのは、コロナ禍の影響が強いかもしれない(2020年~2023年)。

だが、落ち込んだものの2015年と同等であり、2023年には2016年と同じくらいまで回復している。

この10年で2倍のコスト増である。

 

この平均コストも問題だが、規模別の平均が更に問題である。

マイナビによると以下のようになる。

従業員数 予算平均 実質平均
50名以下 109万円 86万円
51~300名以下 350万円 299万円
301~1000名以下 593万円 550万円
1000名以上 1638万円 1290万円

 

絶対無理やん。

パワーゲームだ。

どう戦えって言うのか?

予算に限りがある中で取り組んでも大手はネームバリューにブランドに資金でタコ殴りにしてくる。

ごそっとかっさらっていく。

媒体も多いだろう。

SNSも活用しまくるだろう。

CMも打てるだろう。

会社に魅力もある。

福利厚生もいい。

給与もいいだろう。

 

では、こんな負け戦に挑むのが得策だろうか。

しかも、業界によっては更に厳しい。

私たちIT業界だと、1000万を普通に超えてくる。

メーカー、金融・保険・コンサルティングも1000万を超える業界だ。

このように業界によって厳しいところもある。

 

さらに痛いのは従業員を雇い続けるコストだ。

大手企業の間で初任給の引き上げ競争が激化している。

新人で30万円を超える金額を支給される。

これは物価高の影響も強いが、この競争に参加できる中小企業は少ないだろう。

そして、社会保険料の高騰である。

1人当たりの社会保険料が上げることで、実質的な給与が下がってしまう。

それを受けて人材流出を恐れる企業が下がった幅を計算して昇給する、という事例もある。

このように従業員を雇用するコストは年々向上していっているのだ。

 

採用活動および従業員の雇用は、パワーゲームである。

資金力のある企業に圧倒的に優位な戦いである。

このようなパワーゲームである戦場に挑んでも敗北するのは目に見えているのであれば、さっさと撤退するのが得策であると考えることができる。

優秀な人材は思った以上に少ない

以上のようにパワーゲームである、というのが理由の1つだ。

本当にこんな戦いから早く脱出した方がいい。

だが、採用活動を止める企業も少ないだろう。

そこで、これは私自身が統計を取ったわけではなく、採用活動を受託している会社の担当者から聞いた話をシェアしよう。

これは私自身、すごく大きな気づきになった内容です。

それは、優秀な人材の比率である。

みなさんをさらに追い打ちしようと思う。

 

さて、みなさんは優秀な人材は何人に何人いると思うだろうか?

20人に1人?

30人に1人?

50人?

100人?

 

その方によると、300人に1人の比率だそうだ。

なるほど。

じゃあ、私も漏れなく299人に該当しそうだ。

 

話が逸れた。

 

私が言いたいのは、どの企業も少なくても100人の募集をしないと優秀な人材が採用できない、ということである。

毎月100人の応募が来て、12か月やれば1200人。

300で割ると、4人。

この計算で年間4人の優秀な人を採用することができる「可能性」がある。

もし応募してきてくれる人が数人だったら、その中に優秀な人材がいる確率は絶望的だ。

 

では、毎月100人も募集を集めることができるだろうか?

 

実際に集めることができている企業もいるので、不可能ではない。

だが、一般的に考えると難しいだろう。

そこにかかっている広告費、人件費などを計算すると、眩暈がしそうだ。

採用の前にやるべきこと

100名の募集を集めることが大事という人もいる。

しかし、そもそも採用活動とは何だろうか?

採用活動とは、求職者に会社を選んでもらうことに他ならない。

会社を選んでもらうということは、つまり商品を選んでもらうことと同じだ。

お皿に無造作に並べられた同じような形をしているチョコレートを見て、どれがいいか?と聞かれたら選びにくい。

だが、もしブランド名や商品名が分かったら、安心して選ぶことができるだろう。

これと同じである。

お客様に安心して選んでもらえるかどうか。

これは商品でも採用でも同じである。

 

今回最も言いたいのは、採用費にかけていたコストと時間と労力を会社を成長させることに費やすことで、会社という商品価値を向上させ、求職者というお客様に選んでもらいやすくする努力に注力すべきではないか?ということである。

 

あれもこれもそれもこれも、と資金力のある企業ならできるだろう。

だが、中小企業の多くは常に選択を迫られる。

それならば、会社をより成長させる方に投資した方が最終的な利益は大きいはずだ。

最後に

今回は、採用がもう時代遅れである理由についてシェアした。

今回シェアしたのは、採用コストの高騰とパワーゲームだけである。

この他にも理由があるが、それらについてはまた今度コラムにしようと思う。

 

採用だけではないのだが、特に採用活動は資金力とブランド力、知名度をぶん回している企業を相手に我々は戦わないといけない。

急がば回れとよく言ったものだ。

正面から戦っても敵わない相手には、中小企業の持つ強みを活かして戦っていくしかない。

そのためにも採用活動の廃止を検討してみてはいかがだろうか?

 

今回のコラムが皆さんの気づきや学びになれば幸いである。

もしよければシェアをしていただけると嬉しい。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。

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