COLUMN コラム
ある記事を読んだ。
「デジタル化とIT化はほぼ同じで、少し狭いのがデジタル化のこと」だという記事だ。
IT化しよう!って言っていた時は同一視されなかった。
だが、DXが重要視されるようになってから、デジタル化とIT化を同一視される方が多くなったように思う。
専門家も同一視している人が多く、これが余計に混乱のもとになっている。
もっと明らかにすると、IT化のことをDX化と思い、デジタル化のことをIT化と言っている人が多い、ということだ。
DX化のことをIT化だと思っている人が多いのは理解していたし、「そんなもんだよね」と思っていた。
しかし、デジタル化のことをIT化である、と誤解しているのは流石にどうかと思った。
確かにDX化がIT化となるなら、IT化は何なのか?となるだろうと思う。
だが、その空いた席にデジタル化が入るのは違うだろうと思うのだ。
言うに事を欠いて、「デジタル化とIT化はほぼ一緒で、デジタル化の方が少し狭いくらいかなーって感じです」なんてよく言えたなと思うわけである。
ほぼ一緒で、少し狭いって何だ?と思うのだ。
そこで、今回はデジタル化とIT化について考察していきたい。
そもそもDXとは何か?
始まりからズレているので、DXとは何なのかを見ていきたい。
DX化とは、デジタル技術とビッグデータの活用を前提として企業としてあらゆるものを変容することで顧客体験価値を向上させて、競争優位性を確立する取り組みのことである。
重要なのは、デジタル技術とビッグデータの活用である。
よく「業務フローの改善」がDXであると言う自称DX専門家がいるが、これはIT化である。
「変容」とは、改善でも変化でもない。
今ある姿から全く違う形に変わることを変容と言う。
分かりやすい例なら、トランスフォーマーという映画がある。
車からロボットに変化する。
もっと自然のもので言うと、昆虫である。
幼虫から蛹になり、蛹から成虫になる。
幼虫の時は緑のウネウネした気持ち悪い虫が、美しいアゲハ蝶になるなんて想像できない。
ここまで変わることがDX化である。
そのため、業務のやり方や流れを変更するくらいのことを「DX」とは言えないのだ。
しかし、世の中の大半のDXサービスは、この領域でしかない。
よって、DX化=IT化という構図ができてしまうのだ。
IT化とデジタル化の違い
空いたIT化の席にデジタル化が座ってしまった。
まさに悲劇である。
では、IT化とデジタル化は何がどう違うのだろうか?
特撮で説明しよう。
IT化とは、特撮のことである。
デジタル化は、ウルトラマンのことである。
ウルトラマンは特撮の1つであるが、特撮の全てではない。
少し狭いわけでもない。
ただの1つのシリーズに過ぎない。
「特撮がウルトラマンだ、ウルトラマン以外は特撮じゃない」と言い出すと、他のシリーズの特撮ファンが黙っていないだろう。
このような暴論を自称DX専門家が言っていたのだ。
IT化はいくつかの要素が含まれる。
効率化(自動化は効率化の一部)、システム化もある。
デジタル化はこれらと同じくただのシリーズなのだ。
なぜデジタル化がIT化と勘違いされたか
デジタル化とは、デジタイズとも言われ、アナログ業務や紙媒体をデジタルに変更することを指す。
業務の効率化はお構いなしで、業務量が増えようが関係なく、アナログ業務をデジタルに変更する。
これをデジタル化と言う。
SaaS製品の導入やノーコード・ローコードの導入は、原則的にデジタル化に含まれる。
システム化の中に入れてもいいと思うが、アナログ業務をデジタルに変換することなので、デジタル化になると私は考えている。
そのため、デジタル化の範囲が広くなり、IT化との区別がつかなくなってしまうのだろう。
結果、IT化≒デジタル化という構図が出来上がってしまった。
ちなみに、とにかく効率化だの生産性の向上だのいうが、基本的にそういうのは効率化の領分である。
デジタル化やシステム開発は基本的に生産性の向上を目的としていない。
よって、「デジタル化で効率化UP!」というのもおかしな話なのだ。
まとめ~専門家でも間違えることが多いDX~
これは私も含めての話だ。
どうか私の話も全て鵜呑みにしないで欲しい。
その上で、私はIT専門家、DX専門家の言っていることも全て正しいと思って鵜呑みにしてはいけないと言いたい。
言葉の定義を1つ1つ丁寧に調べて理解して、自分なりの答えを持って専門家と話をするスタンスを持っていただきたい。
そうすることで、相手の言葉に矛盾や違和感があるかどうかをチェックできるようになる。
DXは一部のコンサルティング会社とIT企業の儲けるためのワードとなっている。
全てのコンサルティング会社やIT企業が悪いわけではなく、一部の企業がそのようになっていることを理解した上で、対策をしていただきたい。
今回のコラムが何か気づきや学びになった方はシェアをしていただけると嬉しい。
また次回のコラムでお会いしましょう。