COLUMN コラム
総務省の暴走が止まらない
IT技術者「ら」と複数形なので内訳は不明だが、暴走でしかない。
正直言うと、IT技術者はデジタル人材ではない。
デジタル技術を活用して仕事をしているが、案外「パソコンが苦手」と思っているIT技術者は多い。
すごく簡単な話をすると、IT技術者に経理や事務を任せると「ポンコツ」になる、ということだ。
ということで、IT技術者だからデジタル人材というのは暴論だ。
デジタル人材とは何か?
デジタル人材とは何か?
これが明確でないと、何がいけないのか分からない。
私が考えるデジタル人材とは、デジタル技術を活用して業務を遂行できる人材のことである。
つまり、オフィス製品を満足に使って業務を行える人である。
この認識を持っている方は多くいるだろう。
だが、ご存知だろうか?
実はこの認識。
間違っているのだ。
調べてみると、上記の認識は「IT人材」と呼ぶそうだ。
他にも「AI人材」はAIを活用して業務にあたる人のことを言うらしいが、パソコンを使って業務をする人を「パソコン人材」と言わないし、Excelを活用して業務をしている人を「Excel人材」と呼ばないのに、AIだけ「AI人材」と呼ぶのは金儲けをしたい人たちの思惑なのだろうな、と個人的に思わずにいられない。
おっと、話が逸れた。
では、デジタル人材とは何だろうか?
それは、DXを推進する能力・知見・ノウハウを所有する人材のことである。
はい、出た。
無理無理、と私は思ってしまった。
そもそもデジタル人材とはどういった人材のことだろうか?
経済産業省が出している「デジタルスキル標準」というところで解説されている。
このページを見てもらうと分かるのだが、まぁ無理だ。
- ビジネスアーキテクト
- データサイエンティスト
- サイバーセキュリティ
- デザイナー
- ソフトウェアエンジニア
が必要らしい。
大手や資金力のある企業であれば、用意できるかもしれない。
だが、一般的に上記の人材を揃える必要性が皆無だ。
たとえばネジを作る工場でこんな人を雇い続ける必要があるのか?育てる必要があるのか?と聞かれると、私は全くないと答える。
こんなことにお金を使うなら、もっと別のところに投資した方が絶対よい。
そもそも人材を見極める目がない
専門職でない以上、その人がよいか悪いかの判断ができない。
私はエンジニアである。
だから、営業の良し悪しをどう判断すればよいか分からない。
それで採用した営業はやっぱり期待外れだった。
だが、採用した人が悪かったわけではない。
弊社の環境がフォローしきれなかったのも問題だった。
営業の「え」の字も知らないから、どうフォローしていいのか不明だったのだ。
これと同じことが容易く起きる。
マッチングサービスがあろうがなかろうが、別に関係ない。
マッチングサービスならリクナビもエン転職もDodaも転職マッチングサービスである。
その人が会社にとって有意義な結果をもたらすことを保証するなら別だが、そんなサービスは聞いたこともない。
サービスを使って採用して結果、お金をドブに捨てたとあっては、辛いを通り越して笑えてくるだろう。
IT人材はDXに必要か?
そもそも論だが、DXにおいてDX人材は必要なのか?
私は一切不要だと考えている。
この件についてはまた別の機会にお伝えしようと思うが、デザイナーがいる・エンジニアがいる、だからDXができる、というわけではない。
私はソフトウェアエンジニアである。
では、私にDXができるのか?その助けができるのか?と聞かれると、答えに困る。
このDXが世の中で言われているDXのことで、ただのIT化であれば私でもできる。
だが、Amazonやテスラ、ネットフリックスなどの企業に代表されるDXのことを言っているのであれば、難しいだろう。
DXコンサルタントはこんな難しいことをよくもできると言えたもんだなと思うばかりである。
そんなに「できる」と言うのなら、御社は最近どういう変革を自社内で行われ、顧客体験価値の向上に努めたのですか?と聞いてみたい。
また逸れた。
デジタル人材の前にIT人材の育成を
私が考えるデジタル人材についてはまたの機会にお伝えするが、そもそも一足飛びにやるからいけないのだと思う。
日本のデジタルスキルはかなり低い。
パソコン苦手なのって言えちゃう人がかなり多いのが現状なので、そんな現状を放置してしまうのはよくない。
分かりやすく伝えようとするため悪意はないが
たとえば幼稚園児に明日東京大学の受験に行ってこい、って言う親がいたら、どう思うだろうか?
ということである。
無理やん、って思う人が多いだろう。
パソコンが苦手、という意識がなく、オフィス製品を使って業務を行うことができる人材を育成する必要があるのだ。
IT人材を外から採用しても、もし社内全員がアナログ人材だったら無意味である。
たとえば車の運転免許を誰も持っていない従業員数100名の会社があったとする。
いつも目的地まで徒歩で行っていることが課題と感じて、この度運転免許を持っている人材を1名採用したとする。
その人が運転できるのは普通車だとすれば、どうなるだろうか?
答えは簡単だ。
折角採用した運転免許保有者も徒歩で移動することになる。
組織にいる人たちがアナログ人材なのに、外からIT人材を採用しても無意味である。
だからこそ、今いる人材をIT人材に育てる必要がある。
そんなこと難しいし、誰もやっていない!って思う人もいるだろう。
しかし、事例がある。
しかも、日本にある。
実はワークマンなのだ。
ワークマンは社内の人材をIT人材に育成し、徹底してExcelを活用した。
これによってV字回復を実現したのだ。
ワークマンは本当にすごい。
さらに様々な顧客ニーズに応えるように事業展開をしている。
これが日本のDX事例であると私は考えている。
総務省はワークマンから学ぶべきである。
まとめ~デジタル人材がいてもDXは別物~
デジタル人材は主にIT関係の職業である、とするならば、全く不要である。
また、別で資料を拝読して「こういうスキルを持っている人です」となっていたが、どれも実現不可能に見える。
むしろ言っている側の人たちに、「じゃあ、ここに挙げたスキルをお持ちなんですか?」とお聞きしたい。
それほど夢の人材であるのだ。
地に足のついた資料の提示を国には心掛けていただきたい。
資金力のある企業しか無理なDX方法論では、無意味なのだ。
DXは全く別物だ。
エンジニアやデザイナーがDXに貢献できるわけがない。
DXとは何か、どうやったら実現できるのかを把握されてから実行に移すべきだ。
とはいえ、地方自治体がパワーアップするのはとても喜ばしいので、本件が少しでも成果を出すのなら、それは嬉しい。
今回のコラムが何か学びや気づきになればシェアしていただけると嬉しい。
それではまた次回のコラムでお会いしましょう。