COLUMN コラム
内製化、内製化とうるさい最近である。
タイトルのように「多くの企業が内製化に取り組んでいます」というセールスには、本当に飽き飽きする。
こうした悪徳企業が多いものだから日本はデジタル技術において世界最下位をマークするのだ。
いい加減にして欲しい。
第1回目のコラムはこちらからチェックしてみて欲しい。
内製化についてやそのメリットについて伝えている。
さて、第2回目の今回は
- 内製化が難しい理由
- 内製化の手段としてどういったものが注目されているのか?
について語る。
目次
内製化は高難度すぎる件
第1回で散々否定してきたので、もう内製化をする意欲を失った読者もいるかもしれない。
だが、まだ甘い。
まだ付き合っていただきたい。
もっと内製化の現実を世に示したい。
ここからは内製化を実現しようと挑戦したものの断念せざるを得なかった企業が多発した理由について考えてみたい。
理由は3つある。
- 採用できない
- 維持費が高すぎる
- 社内のITリテラシーが低すぎる
これらの理由について見ていきたい。
1:採用できない
そもそもエンジニアの採用は年々難しくなっていっている。
ただでさえ人材獲得の課題は多くの企業にとって非常に大きな問題である。
それなのに、エンジニアの採用ができるはずがない。
大手企業は1600万円も採用広告費にお金をかけている。
中堅企業は600万円程度もかけている。
では、中小零細企業はどうか?
100万円から300万円である。
勝てるわけがない。
多少賃上げをしても無意味である。
エンジニアがその会社に入りたいと思う理由がないと無理だ。
もし仮に応募が来ても、その人が適切なエンジニアかどうかをどう見極めるのか?
ほぼ不可能に近い。
エンジニア採用は困難でしかないのだ。
維持費が高すぎる
エンジニアの単価は非常に高い。
他の従業員と比べて高給である。
しかも1人ではできることも少ない。
チームで取り組む必要がある。
そうなってくると、一般的な企業にとって圧迫でしかない。
しかも、色々とライセンス費用がかかったり高性能のパソコンが必要だったりする。
たとえば、1台20万円以上のパソコンが必要で、人数分揃える必要がある。
他にも、サーバー費用やドメイン費用、開発に必要なツールにかかるライセンス費用などがかかる。
思った以上に維持費がかかるのだ。
維持費は金銭にかかるものだけではない。
組織として部署が追加されるので、管理工数もかかる。
専門性がバラけるので、組織の統一感も失いやすい。
こうしたマネジメントの面倒くささも維持費として換算できる。
ともかくこうした維持費は高額になりがちなのだ。
社内のITリテラシーが低すぎる
昔だが、「エンジニアだからプリンター、直せるよね?」と言われたことがある。
しばらくすると、それをキャッチコピーにした転職サイトのバナーが世の中に流通した。
失笑したが、そんなことが日常だった。
ITリテラシーが低すぎると、エンジニアとコミュニケーションすらできない。
外注化した時はコミュニケーターがいる。
だから、エンジニアに分かる言葉に翻訳してくれる。
だが、社内に内製化すると、その役目の人がいなくなる。
つまり、認識のズレが発生しやすい状況になる。
とりあえずエンジニアだから言えば何とかできるだろう
みたいな感覚で言ってくるのは、本当にキャッチできないので止めて欲しい。
質問すると、「なんなの、コイツ、仕事できねー奴だな」みたいな目で見てくる。
ちゃんと言語化できないなら依頼すべきではないが、社内にいるから気楽に言ってしまうのだろう。
それでは意思疎通ができない。
意思疎通ができていないまま進めると、とんでもない結果になる。
あなたのオーダーが「卵料理」だった場合、私が卵焼きやゆで卵やだし巻き卵やベーコンエッグなどを作っても問題ないはずだが、あなたの思っていたのは茶碗蒸しだった。
みたいなことが起きる。
こういう状態はITリテラシーの欠如で発生することが多い。
内製化を成功に導く方法はない
改善策として2つの方法を紹介していることが多い。
1つは「ノーコード」「ローコード」の利用で、もう1つは外注スタッフの利用である。
ノーコード・ローコードは救世主になり得ない
前者は業務時間中に業務の傍らにツールの利用方法を学習し、適切にツール開発を行うことなどできやしない。
ツールであってもある程度はエンジニアの知見が必要である。
ない状態で作ると、とんでもないことになる。
今までそういった企業を多く見てきた。
「文系で50代の俺でも簡単に作れる」は嘘だ。
また、これは「内製化」ではなく、単純にクラウドサービスを利用しているだけだ。
クラウドサービスを利用することが内製化であるなら、タスク管理サービスを使うことすらも内製化していると言えてしまうだろう。
だが、こういったツールはアプリを簡単に作れるといった意味合いで「内製化」ができると主張する。
この場合、ブラックボックス化は絶対に避けられないし、ノウハウやナレッジはツールの利用方法に限られる。
肝心なデータ活用は生のデータを活用できないので、制限されるため柔軟なデータ活用は不可能に近い。
このようにツール利用は内製化の救世主になり得ないのだ。
ノーコードやローコードでシステム開発企業の倒産が増えたとする記事がある。
だが、それは事実ではない。
ノーコードやローコードで潤っているのは、そうしたSaaS製品の開発および販売を行っている企業またはITコンサル(DXコンサル)である。
全く役にも立たない中途半端なノーコード・ローコードで何とかしようと思う企業は後を絶たないが、結局自分たちで何ともできずにコンサルティング企業に頼んでしまって、余計にキャッシュを圧迫している企業の多いこと、多いこと。
これでは本末転倒である。
内製化ではない。
外注化である事実に目を向けるべきである。
外注スタッフの活用は内製化と言えるのか?
次に外注スタッフの活用である。
SESと言える分野である。
これは確かに内製化に近い。
社内にスタッフを抱えて業務を遂行するというパターンである。
ひと言いいだろうか?
メッチャ人件費かかるけど、大丈夫?
本当にコストがかかる。
たとえば月給40万の人を外注すると、120万くらいになることがある。
3人いたら?
360万円もする。
年間だと?
4320万円となる。
内製化する意味がない。
しかも、全員外部の人間だと、いつ契約が解除になるのか不明である。
内製化でやりたいことは、エンジニアを安い金額で好き勝手使いたいということだろう。
だが、それを外部のエンジニアに同じことをやると、さっさといなくなってしまう。
その組織に対する感情もなく、帰属意識もなく、文化に対して特に意欲もない。
会社と同じ立場で業務を遂行しているので、嫌なことがあれば辞めてやる、と思っている人が多い。
また、1年いればキャリアを積むために別の会社に移動したいと考える人も多い。
このような状況だと、内製化を実現しようにも難しいのだ。
次回に続く
今回のコラムはどうだっただろうか。
内製化の難しい理由3つと内製化をする手段として期待されているサービスについて言及した。
正直、1回目と2回目だけでも内製化をやりたいと思う気持ちを挫くことができると思うが、まだまだ言い足りないので、3回目に続く。
3回目では、75%の企業が内製化に取り組んでいるアンケート調査報告に対してメスを入れたい。
さて、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。
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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。