COLUMN コラム
これまで
と続いた。
第3回では、データ次第で何とでもなることを示した。
今回は、第1回・第2回で否定してきた内製化を成功に導くステップについて語っていこうと思う。
3つのステップがある。
目次
内製化を成功に導く3ステップ
ステップ1:業務理解を行う
第3回でも伝えたが、業務理解は依頼者にとって義務であり責任である。
なのに、業務理解をしっかり行えている人は数少ない。
もう一度言う。
業務理解をしっかりできている人は本当に一握りである。
毎日業務を行っているのに、業務を理解していない人が圧倒的多数なのだ。
そんなバカな話があるはずがない
と思うだろうか?
それならば、なぜ引継ぎに問題が発生するのか?
それならば、なぜシステム開発で7割も失敗するのか?
業務理解を行っているならば、このようなことは置き得ない。
起きているということは全ての証明である。
ということは、逆に言えば、業務理解をしっかり行うことができれば内製化のスタートを切ることができるということである。
内製化とは適当に始めることではない。
逆である。
しっかりと準備をして行うことであるのだ。
簡単ではないことを肝に銘じておく必要がある。
ステップ2:ITリテラシーを高める
これをやろうとしない。
ノーコードやローコードは簡単で誰でもできるからITリテラシーがなくても大丈夫!
なわけがない。
「誰でも簡単」には前提条件があることを理解すべきだ。
料理をしたことがある人ならば、ハンバーグは簡単だ。
面倒だが、簡単だ。
だが、包丁を握ったことがない人にとってはどうだろうか?
簡単だろうか?
そんなはずがない。
どういう工程でハンバーグが作られているのか想像すらできないはずだ。
前提となる知識が欠如しているからだ。
ITリテラシーはパソコン業務に必要不可欠である。
なくても業務を行うことができるが、内製化を行う以上は必要不可欠なスキル・ノウハウになる。
というか、現代のIT社会においてパソコンに対する耐性が低い人は淘汰されるべきである。
のんびりと「パソコンが苦手」でも大丈夫な環境下で業務を行っていては、内製化なんて夢のまた夢である。
したがって、内製化をしたいならば、社員全員のパソコンスキルを向上させる必要がある。
ステップ3:企業規模を拡大させる
元も子もない話をする。
会社の規模が小さい内はアナログで業務をした方がいい。
年商規模で言うと5000万円以上でようやくIT投資を検討できる。
だが、この段階ではまだ効率化を行うくらいでクラウドサービスの導入などは基本的にしなくてもよい。
そういったことがしたければ、年商規模が5億円規模になってからだろう。
それくらいIT投資はしなくてもよいのだ。
どうせIT投資をしても使いきれない。
そうなるとコンサルなどのサポートを必要とすることだろう。
サポートを依頼するのに耐えることができるくらいのキャッシュがないといけない。
キャッシュがない状態でIT投資をするのは愚策である。
よって、内製化をしたいのであれば、その分キャッシュに余裕がある必要があるのだ。
この点はシステム開発と同じである。
何事も結局お金で解決することになる事実を再認識し、企業規模を拡大させることが内製化の成功につながっていくのだ。
まぁ、そうなると外注化と何も変わらないので、内製化の意味はゼロに等しい結果となるのは言うまでもない。
内製化すべきかどうか?
これまで4回にわたって内製化について見てきた。
そこで、結論をお伝えしようと思う。
内製化をすべきかどうか。
答えは簡単だ。
内製化はすべきではない。
2つの理由がある。
中小企業こそ専門性に特化すべき
1つは、専門性が薄れてしまうことである。
人の時間は有限である。
たとえばだが、営業代行の会社があるとする。
その会社は営業代行としてどんな商品でも営業成績を残すことが求められている。
では、ここにシステム開発の知見やノウハウを学習する時間を使うのは会社にとって有意義だろうか?
専門職に任せればよくない?って思う人は正常である。
内製化は、適材適所をやめて全部自分たちで何とかしようとする動きである。
これは本当に正しい選択なのだろうか?
特に中小企業は専門性を特化してサービス提供を行う必要がある。
そうでなければ大手との競争に勝てない。
価格競争で競うのではない。
専門性の高さやフットワークの軽さなど大手にはない強みで戦う必要がある。
もし仮にその専門性を損なってしまう行動をしてしまっていたら、どうだろうか?
それは中小企業にとって悪手ではないだろうか?
専門家に依頼した方が何でも早い
2つ目の理由は、極論の内製化は1人社長に戻ることであるということだ。
1人社長の時、ありとあらゆる業務は一人ですべて担当していた。
社員を雇い、分業した。
もし専門性のある業務を外注するのではなく社内でやることを内製化と言うのであれば、内製化の究極形態は1人社長状態に戻ることであると言える。
社員もまた極論したら、自分以外の外部の人間に業務を外注している状態と言えなくもないからだ。
だが、これは非現実だと分かるだろう。
時間的・身体的に限界があるからだ。
会社を大きくしたいのならば、自分よりも特定領域において優秀な人を雇う必要がある。
その人に業務を任せる必要がある。
社員として社内にいるか、専門性を持ったパートナーとしているかの違いである。
窓ガラスの工事を内製化するよりも外注化した方が満足のいく仕上がりであり、適切な仕上がりになるのは明らかである。
何でもかんでも内製化するのは余計に時間と費用の無駄になるのだ。
それでも内製化したいなら別会社の設立を
もししたいなら、別会社を作って専門性を高めた方がよい。
その方が組織の運営も分かりやすいし、メンバー間の問題も発生しにくい。
判断基準は、給与体系が異なるかどうかである。
異なる場合は別会社にしてしまった方がよい。
その方が「あの人は云々」と文句も出にくい。
こうしたことは大手でもやっている。
大手はグループ会社にシステム開発を担当する会社が存在することがある。
企業としての専門性を高めるために雑音を社内に取り込まないことと給与体系を統一したものにするための2つの理由からだと、私は推測している。
このようにいくつか専門企業を設立して双方に依頼し合う関係性を作るのがより良い選択だろう。
何でも自分たちでやるのは時間の無駄であり、身を滅ぼしかねない愚策であると心掛けよう。
最後に
今回のコラムはどうだっただろうか。
ようやく最終回を迎えることができた。
これまで4回と長くシリーズに付き合っていただいた読者の皆様には感謝でしかない。
今回のシリーズが何かお役に立つことができれば幸いである。
さて、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。
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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。