COLUMN コラム
「うちにはデジタル人材がいないんですよねぇ」
このような言葉を何度も聞いてきた。
特に中小企業の経営者からよく聞く嘆きである。
これは弊社だけではない。
帝国データバンクや中小企業庁、経済産業省などのデータ上からでも読み取れる嘆きである。
まるで「人材」さえいれば、すべてが解決できるかのような言いぶりである。
だが、冷静になって考えてみて欲しい。
本当に「人材」さえいれば、DXができるのか?
もし人材を用意したとしても、そういった企業にDXは実現できない。
なぜか?
非常に簡単である。
「人がいない」ことが原因ではなく、「人が活きる環境がない」ことが原因だからだ。
今回は、デジタルを活かせない組織が問題であるということについて語っていきたい。
人材は「魔法の存在」ではない
そもそもメディアやセミナーで
「デジタル人材がいればDXが進む」
「デジタル人材の採用が勝ち組になる秘訣」
みたいなことを日々ばらまかれているが故に、そういった話を信じてしまうのも無理はない。
だが、もし仮にGoogleで働いていたトップエンジニアを採用できたとしよう。
では、あなたの会社は劇的に変化するだろうか?
答えは
「NO」である。
たとえ優秀な人材がいたとしても、それを受け入れる環境が整っていなければ、人材の能力を発揮することができないからだ。
以下のような環境が1つでもある組織であれば、優秀な人材を採用できても腐らせてしまうことになるのだ。
- 変化を受け入れない文化
- 曖昧な意思決定
- 現場の人と経営陣との間の断絶
たとえば、社内でツールの導入を検討したとしよう。
稟議が山のように必要で、現場からの反対に社長の意志が揺らぐ。
すぐに「うちでは無理」の一声に社長も共感する。
そんな環境で優秀な人材を活用することは可能だろうか?
「デジタル人材がいれば何とかなる」説に振り回されるな
最近は生成AIの利活用が求められてきている。
デジタル人材はIT人材、DX人材、AI人材の総称のようで、
- ITリテラシーの高い人材
- ITツールの導入に確かな判断力を持っている人材
- AIを活用して業務を遂行できる人材
- データ分析や活用ができる人材
- ビッグデータを活用して新しい価値を生み出せる人材
を意味している節がある。
こんなスーパーマンにお会いしたことがないのだが、どこにいるのか教えて欲しい。
しかも、コミュニケーション能力もセールス力も高く、組織をまとめることができる人材という。
余計にファンタジー小説に存在しそうなキャラクターに近い。
リアルとかけ離れている。
だが、こういった人材を求める企業は多い。
もしいたとしよう。
仮にいたとしよう。
だが、上記のようにすぐに「うちでは無理」と言ってしまうような環境では、その人材は活躍できない。
人材を活かす土壌を用意する必要がある
折角優秀な人材が入社したのに、その人に任せている作業は誰でもできる仕事。
そんな環境であれば、すぐに退職するだろう。
何も成果を残すこともない。
ムダ金である。
だが、ムダ金にしたのは、優秀な人材が原因ではなく、人材を活かす土壌を用意できなかった会社側に原因がある。
そもそも組織として「変わる覚悟」を持っていたかどうかである。
たとえば
- 現場から自発的に意見が出せる環境を作っているか
- 社員一人ひとりが安心感を感じているか
- 仮説と検証を行う余白があるか
- 失敗を許容する文化があるか
- 意思決定がスピーディか
といったことである。
これらの要素があるのとないのとでは、大きく違う。
優秀な人材を採用して活用したいならば、こうした環境を整えるべきである。
そもそも経営者の意志が重要
といっても、難しいだろう。
そこで、たった1つ行うだけで優秀な人材を活用できる方法をお伝えしよう。
それは、経営者の確固たる意志を持ち、変化を押し通すことである。
たったこれだけだ。
今いる社員は反発する。
「前例がない」
「うちには無理」
「パソコンが使えない人がいて可哀想」
これらを免罪符のように使おうとしてくる。
これに対して迎合してはいけない。
確固たる意志を持って、変化を推し進める必要がある。
場合によっては退職者も生まれるだろう。
今いる環境が居心地よく、変化することで自分の評価が下がりそうだと思う人は退職する。
だが、それの何が悪いのか?
大きく変化する時に小さな変化が発生することはよくある。
この覚悟がなければ、組織は変化しない。
「なあなあ」な「仲良し経営」のままでは組織は強くなれない。
組織として強くなるためには、人材の活用が重要である。
優秀な人材を活用するためには、その人材の絶対の味方であるべきなのである。
まぁ、デジタル人材と呼ばれる人ほど引く手あまたなので、「合わない」と思ったら即退職も可能だし、それができるだけの自信がある。
そういった人材を活用するのが社長としての腕の見せどころではないだろうか?
最後に
今回のコラムはどうだっただろうか。
人がいたらDXができる
ツールを導入したらDXできる
というのは幻想だ。
「人がいたら」「ツールがあれば」と言っている経営者ほどIT化が全然進んでいないし、IT化に興味もない。
そもそもDXはIT化を基礎としていることすら知らない。
そのような状態ではDX化なぞ夢のまた夢である。
とはいっても、今回お伝えしたいのは人材の活用についてである。
優秀な人材を最大限活用したいなら、会社全体の姿勢と環境作りが必要不可欠である。
その中でも社長の意志こそが最大の要になる。
このことを理解して行動されることをオススメする。
さて、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。
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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。