COLUMN コラム
最近、顧客の省人化をお手伝いする際に、ローコードツールを活用することが多くなった。
我々はお客様の環境をお聞きした上で、最適な方法で省人化・自動化・効率化を実施する。
だからこそ、業務効率は劇的に向上するのだ。
たとえば10人で行っていた業務を1人でできるようにしたり、10時間かかっていた業務を10分で終わるようにしたりすることも可能である。
ローコードツールを使って効率化を実施するたびに、ある思いを強くする。
それは、世間で言われているほどノーコード・ローコードツールは簡単ではない、ということだ。
なぜ誰もが簡単にできると宣伝するのか?と疑問に思うほど、高度な論理的思考とプログラミング的センスが必要だと感じる。
そもそも前提となるパソコンの基本スキルや適応性も不可欠なのだ。
今回は、普段からローコードツールを活用して実感していることから、ノーコードやローコードが中小企業に本当に貢献できるのか、その真実を伝えていきたい。
目次
甘い誘惑とリアルの格差に気を付けろ
ローコードやノーコードの宣伝文句を見ていると、
- 誰でも簡単
- 文系でもできる
- 50代でもできる
- 即戦力
- アプリを作ってDX
といった文言を目にすることが非常に多い。
しかし、実際に触ってみると、「誰でも簡単」には作れないことを思い知らされる。
たとえ作れたとしても、専門家である我々からしたら不十分すぎるほどのものしか作れないのが現実だ。
- 特定条件でしか動かないアプリ
- 特定条件が揃うと、動作しなくなるアプリ
- 自分専用過ぎて汎用に使えないアプリ(ガンダムか?)
こうしたアプリが大量に作られてしまうのが実情なのだ。
こんな状態が、果たして理想と言えるだろうか?
そんなことは断じてないはずだ。
まるで中小企業の救世主のように言われるサービスではあるが、「脱・Excel」を謳いながら、その実態は新たな「負の遺産」を生み出す可能性が極めて高いのだ。
「ツールを導入するだけで全て解決する」という丸投げ思考を続ける限り、根本的な問題は何も解決しない。
ここに非常に大きな疑問がある。
Excelの管理すらできないのに、なぜ別のツールに乗り換えたら管理できるようになると思うのか?
僕は学生時代、劣等生だった。
どんなに良い塾に変更しても、成績に変化はなかった。
そもそも学ぶ意欲が欠けていたのだ。
これと全く同じく、そもそもパソコンスキルもなくExcelの管理もできない者が、乗り換えただけでできるようになるわけがない。
管理できない者に「誰でも」「おっちゃんでも」「文系でも」「簡単」にできると伝えるのは、顧客に対して誠意がないように思うのは私だけだろうか。
基本がない人に「簡単」はない
もう1つ、私が問題視したい宣伝文句がある。
それは、「プログラミング不要」もしくは「エンジニアのスキル不要」といったものだ。
ここに大きな落とし穴がある。
確かに「プログラミング不要」かもしれない。
だが、「プログラミングに必要なセンス」や「パソコンの基本スキル」、「ITセンス」などは間違いなく必要である。
業務全体を把握できず、設計も満足に考えられず、不測の事態を考慮しない。
そんな状態でアプリを開発する。
もうどうなるか分かるだろう。
まともに動かないものしかできないのだ。
だからこそ、プログラマーという専門職に就いている人が、ローコード/ノーコードのプロジェクトに呼ばれることがあるのだ。
「ノーコードツール(具体的なサービス名)を使ったアプリ開発をお願いします」といったプロジェクトを探すと、日本中ゴロゴロしているのが現実だ。
それほどに操作が難しい、あるいは高度な知識が求められるのである。
この事実を知ると、先に挙げた宣伝文句には「前置き」が隠されているようにしか見えないのだ。
つまり、「(前提知識がちゃんとある人にとっては)簡単です」という前置きだ。
この重要な前置きがあることを理解した上で、導入を判断すべきである。
中小企業にとってのローコード/ノーコード
そもそも目的を果たせない
Excelを管理できていないブラックボックス化していることを問題視して、導入を決断する企業が多い。
しかし、実は導入しても大して変わらないという事実を、こうした企業は知らない。
そもそもExcelを管理できていない状態で乗り換えても管理できないのは、あまりにも明らかである。
その上でExcelを活用したツールが乱立することを懸念しているのだと思うが、ノーコードやローコードにしてもツールの乱立を防ぐことはできない。
その乱立を防ぐためには、体系的なルールを敷く必要があるからだ。
管理体制がないことが根本原因であり、導入する手段が原因ではないのだ。
導入しても失敗が続く
できるかもしれないと思って、導入を決断する企業が後を絶たない。
その後、すぐにサービス運用を断念してしまう。
その結果として以下のような理由となって表れる。
- クラウドサービスを導入したが、使いきれなかった
- 元の業務プロセスに戻った
- 業務に合わせられなかった
この背景にあるのは、前提知識や前提条件の欠如がある。
大手企業や中堅企業はお金で解決するという手段を選択できる。
しかし、リソースに限界がある中小零細企業ではこの選択肢を採用できない。
そのため、断念するという選択肢になる。
では、どのようにして中小企業はこういったサービスを活用すればよいだろうか?
それこそ「急がば回れ」大作戦である。
「できるかもしれない」と期待を抱いて、導入を決断する企業が後を絶たない。
その後、すぐにサービス運用を断念してしまうのが実情だ。
その結果として、以下のような理由が表れてくる。
- クラウドサービスを導入したが、使いこなせなかった
- 元の業務プロセスに戻った
- 業務に合わせられなかった
この背景にあるのは、やはり前提知識や前提条件の欠如である。
大手企業や中堅企業は、お金で解決するという手段を選択できる。
しかし、リソースに限界がある中小零細企業では、この選択肢は採用できない。
そのため、導入を断念するという苦渋の選択になるのだ。
では、どのようにすれば中小企業は、こういったサービスを有効活用できるだろうか?
それこそ「急がば回れ」大作戦である。
導入したい企業に勧める3ステップ
これまでも伝えた通り、前提条件を満たしていないことが根本原因である。
ゲームでは特定の武器を装備するために必要な条件がある。
これをクリアしないと、その武器を装備できない。
これと全く同じで、ノーコードやローコードを扱いたければ、やはり条件を満たす必要があるのだ。
その満たすべき条件を伝えていこう。
- パソコンの基本スキルを強化する
- 元祖ローコードツールを活用する
- ノーコードやローコードを選定して導入する
この3つのステップで解決に導くことができる。
1つ目は、パソコンの基本操作をできるようにすることだ。
ネットサーフィンができることが「使えること」だと思っている人もいるが、それは違う。
- ショートカットキーやフォルダ操作ができること
- Office製品(と同じようなものでも可)を悩まずに使えること
- 表計算ソフトの関数を使って業務ができること
こういったことを、業務として滞りなく実行できるかどうかが重要である。
キーボードを見ながら指1本でポチポチやっていて、「パソコンが使える」などと言ってはいけない。
パソコン教室で何とでもなるレベルなので、基本スキルはしっかり身に付けた方が良い。
2つ目は、元祖ローコードツールを活用することだ。
「元祖」とは、ローコードツールやノーコードツールという言葉がなかった頃に存在し、言葉が誕生してから思い返してみると、「これってノーコードやん」って思ったツールのことである。
そのツールとは、なんとExcelだ。
Excelはローコードツールなのだ。
あまり知られていないが、その仕組みを考えてみると「元祖」ローコードと言える。
なので、Excelを活用することで、ノーコードやローコードを活用する際の最低限の条件を満たすことができるようになるのだ。
わざわざお金を払って、痛い目に遭いながら導入するよりも、今使っているExcelを活用した方が遥かに効率的でお得である。
3つ目は、ようやくサービス導入だ。
1つ目と2つ目で条件を満たしているので、ようやく3つ目の出番だ。
正直言うと、2つ目までで恐らく業務は最高に効率的に回すことができるだろう。
わざわざノーコードやローコードを活用するほどでもない。
むしろ、Microsoft365を使っているならPowerApps、Google workspaceを使っているならGoogle Appsなどのローコード・ノーコードツールを活用することができるので、もし使ってみたいならこうしたツールの活用を検討した方がキャッシュ的にも最適だろう。
3つ目は、ようやくサービスの導入だ。
1つ目と2つ目で条件を満たしているので、ようやく3つ目の出番となる。
正直なところ、2つ目までで恐らく業務は最高に効率的に回すことができるだろう。
わざわざノーコードやローコードを大々的に活用するほどでもないかもしれない。
ちなみに、もし使ってみたいなら、無料で使える製品の活用を検討すべきだ。
- Microsoft 365を使っているならPower Apps
- Google Workspaceを使っているならGoogle Apps Script(旧称Google Apps)
などのローコード・ノーコードツールを活用することができる。
こうしたツールの活用を検討した方がキャッシュフロー的にも最適だろう。
中小企業にとって救いとなるのか?
結論として、中小企業にとって、これらのサービスを導入すべきかどうかという視点で見ていこう。
個人的な見解ではあるが、正直、導入しなくても何とかなるので、無理に導入しなくてもよいとは思う。
ワークマンがExcel1つでIT化とDX化を実現したという事例もある。
大企業でもExcel1つでやれたのだ。
中小企業であれば、なおさら可能だろう。
だが、効率化や自動化という観点で言うならば、専門的な知見があることを前提として導入することは、非常に有効な選択肢となる。
そうでなければ、私たちのような専門家がお客様のご支援で選ぶことはないだろう。
私たちだからこそ「簡単に使えて」「効果的な効率化」を実現することができるのだ。
専門家に頼ることができるならば、導入も検討に入れてよいだろう。
最後に
今回のコラムはどうだっただろうか。
読者の皆様にとって、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。
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それでは、また次回のコラムでお会いしよう。