COLUMN コラム

2025.03.28
世間的なDXでは、本来的なDXができない

世間的なDXでは、本来的なDXができない

デジタル技術を活用した企業変革(DX)の本質と誤解を解説。世間で言われるDXを推し進めていても、DXを実現することはできません。そこで本稿では、DXを実現することができない理由と背景を解説します。

世間的なDX。

つまり、日本社会でよく言われているDXのことである。

この「世間的」なDXでは、いつまでも経ってもDXを実現することができないと考えている。

では、なぜDXを実現できないのか考えてみよう。

そもそもDXって何か?

簡単に言うと、デジタル技術とビッグデータを活用して、新しい価値をお客様に提供して喜んでいただく取り組みのことである。

「顧客体験価値を向上させて、企業優位性を確保する」などと書いてあったが、要するに喜んでいただいて選んでいただける企業になり続けること、がゴールである。

その取り組みとして、ビジネスモデル、商品、サービス、オプションなどを変革して実現する。

事例としては、テスラが分かりやすいだろう。

テスラの電気自動車に乗っている人の運転技術や操作履歴などから適切な自動車保険を提案してくれるサービスを開始している。

世間的なDXとは何か?

一方で、私が「世間的」と言っているDXとは何か。

それは、単純にDXサービスと言われるITサービスの導入をするだけで終わってしまっていることである。

もう一度言う。

DXサービスと言っている「ただの」ITサービスを導入して終わりなのだ。

重要なので、もう一度。

ただのITサービスを入れてDXできたと勘違いしているのだ。

世の中にどれだけのDXサービスが存在するか。

そして、その多くはただのITサービスだ。

「これから見せる番組は仮面ライダーです」

と言われてサザエさんを見せられているのと等しい。

ゴールは左なのに右と言われたら、どうだろう?

いつまで経ってもゴールできない。

これが今のDX界隈である。

ノーコード、ローコード、RPA、クラウドサービス、IoT、AI。

全部ITである。

クラウドサービスに至っては、サーバーをクラウドにしただけで言えちゃうのだから、とんでもない。

サーバーをオンプレからクラウドに変えただけ。

もっと分かりやすく言うと、箱を変えただけ。

なのに、「クラウド」って聞くと、最先端のように聞こえるから不思議だ。

レンタルサーバーだったら、レンタルサービス?

オンプレだったら、オンプレサービス?

本当に意味不明である。

これがITだ。

これがDXだ。

情けない。

DXはITサービスを入れて終わりではない

DXサービスと言っても中身はただのITである。

そんなものいくら入れようが、DXなんてできるはずがない。

10個入れようが、100個入れようが、何にもならない。

効率化できました!と自慢げに言っている記事もあるが、それはIT化の事例であって、DX化の事例ではない。

効率化はIT化の領分である。

DXは「変革」「変容」を要求する。

テスラを見てみたら分かる。

元々はバッテリー企業だ。

それがEV車の事業をして、自動車保険のサービスをしている。

AmazonもDXの事例として出される。

本のECから小売店のECになった。

今はアレクサもクラウドサーバーも宇宙事業も薬局も手掛ける。

効率化なんてここにあるのか?

ないのだ。

事業が拡大したり変容したりしていると考えることはできても、効率化なんて1ミリも入らない。

効率化ができてDXできたと喜ぶのは日本人くらいだ。

まとめ

DXは業務の変容である、と言っている専門家もいるくらいなので、そりゃ間違えたり勘違いしたりする人も多いだろう。

企業そのものや組織文化、ビジネスモデルや商品、サービスなどを変革することがDXである。

変容とは、幼虫からサナギへ、サナギから成虫へ全く違った形になることである。

トランスフォーマーという映画を観れば分かりやすい。

飛行機からロボット

車からロボット

動物からロボット

このように全く想像もできない形に変容することである。

業務プロセスなんて、フォークをスプーンに持ち替えたレベルだ。

これは効率化であるのだ。

DXとは全然言えない。

むしろIT化のことである、と言える。

そうだ。

つまり、私は世間的なDXとは「IT化」のことである、と言いたいのだ。

IT化をいくらしてもDX化はできない。

これは当たり前である。

自明の理である。

今こそ本来的なDXを目指し、対応すべき時であるのだ。

 

本稿が少しでも皆様のお役に立てれば幸いである。

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いつもシェアをしていただき、ありがとうございます。

また次回のコラムでお会いしましょう。

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