COLUMN コラム

2025.04.04
中小企業支援に情熱を注ぐ加門社長の原点~「人間のクズ」と呼ばれた少年の成長の軌跡~

中小企業支援に情熱を注ぐ加門社長の原点 ~「人間のクズ」と呼ばれた少年の成長の軌跡~

宿題を人任せにする問題児だった少年が、不登校経験と恩師との出会いを経て成長。現在は中小企業のIT支援に情熱を注ぐ経営者として、弱者に寄り添う経営を実践する姿を追った。

「宿題は全部人に任せていました」。そう笑いながら話してくださる加門社長。

今では中小企業のIT支援に情熱を注ぐ経営者ですが、子どもの頃の自分を思い返すと「今からは想像もできないくらい、ダメなやつだった」と首を振ります。

小学生時代の恩師との心温まる出会い、そして10代で経験した不登校。さらに中学時代、時に厳しく、でも深い愛情を持って導いてくれた塾の先生。人との出会いと様々な経験を重ねていくなかで、「弱い立場の人に寄り添いたい」という思いが、少しずつ芽生えてきたそうです。

かつて宿題を人任せにしていた少年は、どのようにして中小企業支援を志すようになったのか、加門社長の歩みをお聞きしました。

目次

不登校経験と恩師の教えが導いた、中小企業支援への道

――子どもの頃はどんなお子さんでしたか?

今の自分からは想像できないくらい、本当にクズ野郎でしたね(笑)。例えば宿題は全部人に任せていました。「俺と遊びたかったら、代わりに宿題をやってくれ」って。本当に何もできない子どもだったんですよ。

しかも人のせいにすることも多くて。母は「この子は、将来どうなるんだろう」って心配していたみたいです。

―加門社長が大切にされている経営理念は、どんな経験から生まれたものなのでしょうか?

私の経営理念の核となる「弱い立場の人々に寄り添い、支援する」という考えには、二つのできごとが影響しています。

一つは小学校時代の恩師との出会い、もう一つは私自身が経験した不登校です。

この二つの経験があったからこそ、誰もが公平にITサービスを利用できる社会を作りたいという思いが生まれ、現在の事業内容である中小企業向けITサポートへとつながっているように思います。

――その小学校時代の恩師から、特に心に残っている言葉はありますか?

小学校4年生の時の担任の先生なんですが、先生は、いじめをする人は実は弱者なんだと教えてくれました。強者のように見えるけど、本当は弱いんだと。

そして、いじめを見つけた時に何をするのか、それが本当の人間の行動なんだと。格闘技を習っていて体力的な自信があれば直接止めることもできる。でも、誰もがそうした力を持っていない。やめろよと言えなかったとしても、大人を頼ることもできる。そうやって戦っていかないといけないんだ、ということを話してくれたんです。

当たり前ですが、これは綺麗事です。

いざその場に面したら行動できないかもしれない。

でも、重要なのは少年時代の私の心に強く印象に残った言葉が今も影響しているということなんです。

――ご自身の不登校経験から、何か新しく見えてきたものはありましたか?

その後、中学に入ってすぐに体調を崩して不登校になったのですが、その経験も弱い立場の人に寄り添いたい、というきっかけになりました。

自分が不登校になった時、両親は「学校に行かなくていい」と言ってくれたんです。

これは僕にとって大きな救いでした。

何度も「明日こそは学校に行く」と宣言するのですが、その度に父親から「人生は長いのだからゆっくりすればいい」と言ってくれました。

翌日案の定、登校時間に具合が悪くなって学校に行けなくても、父親は「うん」と頷いて終わりです。

この安心感は救いでした。

面白いんですが、登校時間と下校時間にすごく体調が悪くなるんです。

それ以外は活動できるのに、その時間帯に家に居ると身動きできなくなるほど体調が悪くなるんです。

母親とは兵庫県にある公園や博物館、美術館、科学館などを回ったり北海道旅行に二人で行ったりしていました。

2年半にもわたる不登校時代でしたが、1度も「学校に行け」といった言葉は言われたことがありません。

でも、世の中の子どもたちは不登校になると両親から責められることが多い。

大人は仕事が嫌なら転職できるのに、子どもにはその選択肢がありません。その不公平さにすごく疑問を感じました。

――その経験が現在の経営方針にも影響を与えているのですね。

間違いなくありますね。今、私たちがやっているITサービス「楽デジ」の提供も、本質的には弱い立場にある中小企業を支援したいという思いがベースです。

今、日本のIT業界の現状に強い危機感を持っていますが、それはDXという言葉だけが先行して、実質的な価値提供ができていないからです。

たとえばITサービスを導入しても使いこなせなければ、かえって仕事の邪魔になります。年配の人が若い人に「これどうやって使うんだっけ」と聞く状況では、導入しない方が良かったということになりかねません。

こうした企業がITサービスを導入してしまうのは、「簡単にDXできます」というセールストークに騙されてしまうことも原因の1つです。そんなに簡単にできるなら日本中でDXが巻き起こり、今頃日本は世界経済のトップに返り咲いていることでしょう。

業務効率を謳うサービスも多いですが、業務効率の向上効果は本当に微々たるものです。

エンジニアが本気を出せば業務効率は8割、9割は改善できるにも関わらず、効果の薄いサービスで中小企業からお金を巻き上げている現状は、あまりにも正義に反しますよね。

そう考えるようになったのは、小学生の頃から培われてきた価値観のおかげだと思います。

衝撃的な一言が導いた「素直さ」という強み

――他にも忘れられない出会いはありますか?

中学時代に出会った塾の先生からも、大きな影響を受けました。

宿題を友達にさせるほど私は勉強することが嫌いでした。

だから、塾に通う予定もなかったんです。

一生勉強するつもりはなかったんですが、実は中学3年生の時に、父親の失業という事態に直面したんです。それまでは父親の仕事を継げばいいかな、とぼんやり考えていたんですが、そうはいかなくなって。

焦った私は足りない頭で一生懸命考えて考えて考えました。

「自分の体験を活かして教師になろう」「教師になって不登校で苦しんでいる子どもたちや保護者の味方になろう」と思い至ったんです。教師になるにはどうしたらいいか分からなくて、小学4年生の恩師に話を聞きに行って大学進学を志すことになりました。大学進学には勉強が必要です。一生やるつもりがなかったのですが、「もう勉強するしかない」と半分諦め半分覚悟を決めました。

今思えば、人生で一番賢い選択でしたね。

 

当時の私は「俺ほど優しい子どもはいない」「俺は立派な人間だ」と本気で思っていたんです。

周囲の人に可愛がっていただいたので、余計に天狗になっていたのかもしれません。

でもその私に向かって、塾の先生は「あなた、人間のクズね」と言い放ちました。

あまりにも衝撃的で、今でも鮮明に覚えています。

――それは衝撃的ですね。その言葉を聞いて、どうされましたか?

真っ先に母親に相談しました。「お母さん、俺、人間のクズって言われたんだけど」って。すると母から返ってきたのは「そうよ、あなたは人間のクズよ」という言葉で。

まさか母からも同じ言葉が返ってくるとは思っていませんでしたね(笑)

――普通なら反発心が起きそうですが、怒りはありませんでしたか?

不思議と全くなかったんです。あまりにも衝撃が大きすぎて。

そして母に「じゃあ、人間のクズから卒業するにはどうしたらいいの?」って聞いたら、「塾の先生の言うことは全部イエスと言いなさい。先生が何かしろと言ったら、その2倍は頑張りなさい」と言われました。

――素直にその言葉に従ったのですか?

はい。2倍じゃ足りないと思って、3倍やるつもりで頑張りました。

当時は衝撃的でしたが、今となっては先生に本当に感謝しています。そこまで言ってくれることって、本当に貴重だと思うので。今の時代、自分の子どもにでさえ、そこまで言える人はいないんじゃないですかね。

――その経験から、加門社長が得られたものは何だったのでしょう?

「素直さ」という自分の良さに気づけたことですね。

私は人よりスタートラインがずっと後ろで、できないことの方が多いタイプです。よく母からも「3年遅れてやってくる」と言われるくらいです。たとえば自転車も人より3年遅れて乗り始めました。このように私は本当に何でもかんでも人より遅れて習得するのですが、母の言葉をきっかけに「この人に食らいついていこう」と決意しました。その結果、小学校1年生から中学校3年生まで勉強をしたことがない私が勉強することを楽しいと思えるようになったんです。人より時間はかかりましたがいろいろなことができるようになり、「自分にもできる」ということが自信に繋がったんです。

教えていただいている時に素直にやってみる、というのは非常に重要だと思います。せっかく教えていただいているのに、「それは違うと思う」って勝手に判断すると、もう教えていただけなくなります。

だから言われたことは、まず素直にやってみる。

素直に人の助言を聞き入れられることは、私の強みだと気づきました。

受験勉強で得た「なんでもできる」という確信

――高校時代はどのように過ごされましたか?

14年間勉強をしたことがない子どもが1年間勉強したので、燃え尽きました。

進学した学校は京都の学校で、家から片道2時間半の場所にありまして、毎日5時間もかけて登下校していました。だから余計に塾に通う力がなかったんです。まだ自律神経も乱れていて、毎日登下校するだけでも精一杯でした。教師になりたい気持ちはあったんですが、ともかく心身ともに辛い毎日で考えられませんでした。

――そこから、受験勉強に取り組まれたのですね。

高校3年生になって受験勉強のシーズンになると、さすがに塾に通う決意をしました。

そうしたら、塾の先生から「二度と裏切るなよ」と釘を刺されました。先生からしてみれば高校入学後も来ると思っていた生徒が全く来なくなったので、裏切られたように感じたのだと思います。信用を裏切ってしまったと深く反省しました。信用を取り戻すためにも、とにかく勉強しました。前は3倍を目指していましたが、今回は4倍以上の努力をしようと考えて取り組みました。結局は1年浪人したのですが、その時は12時間くらい塾に缶詰めでしたね。

ただ、塾の先生には一度も褒めてもらえなくて。「こんな簡単な問題も解けないの」って怒られてばかり。模試で県内1位になった時でさえ「それで満足してたらダメだ」って言われました。とても厳しく指導してくださったんです。他の人は褒められているのに、僕だけは褒めてもらえない。だから、余計に褒めて欲しくて懸命に努力しました。

大学合格後に母から聞いた話ですが、母には「誰よりも勉強したし、誰よりも真剣だった。誰よりも成長した。こんな生徒は今まで1人も見たことがない」と褒めてくださっていたようです。大学合格後に直接言って欲しかったですね。

――がむしゃらに頑張られていたんですね。

人生で一番努力した時期と言えるかもしれませんね。人よりも遅れてスタートしたからこそ、誰よりも努力しないと勝てないと分かっていたので、人が2やるなら自分は8やろうと考えて挑戦していました。あの時の経験があるからこそ、「あれくらいの熱量で取り組めば、なんでもできる」という自信になっています。

今、経営者として色々な課題に直面しますが、「あの時のような覚悟があれば乗り越えられる」と思えるんです。厳しかった分、確かな財産になりましたね。

数字が教えてくれた経営の本質

――経営者として転機となるできごとはありましたか?

社長に就任した後に経理担当者が退職したことが最初の転機ですね。私は立候補して社長になったとはいえ、何も知らない・何も分からない人間でした。だから会社の数字は全て経理担当者に任せきりでした。私はただ報告を受けるだけ。その人が大丈夫と言えば大丈夫と思っていたんです。今考えると、恐怖です。でも、その方が退職されて、自分で経理を見るようになって初めて気づくことがたくさんあり、経営に対する考え方が少しずつ変わり始めたんです。

――数字と向き合うようになって、どのように考え方が変わりましたか?

すごく当たり前のことを言います。

今は赤字なのか黒字なのかという単純な話から、何に投資すべきか、社員の生活を守るために会社をどう維持していくのか。数字を見ないと分からないことであり、判断できないことばかりです。社員の意見を取り入れて経営していくことが大事だと口では言っていましたが、社員の幸せとは何かを具体的に考えるようになったのがこの頃からです。これまで見ていなかった数字を通して、会社の未来を考えないといけないと思うようになりました。大きな転換点だったと思います。

至極当たり前のことです。でも、できていなかった。本当に恥ずかしいことだと思います。

また、

――今はどのような思いで経営に取り組まれているのですか?

多くの先輩方と知り合い、その方々の考え方や意見、行動を見ている内に自分もまた経営者としてあの高みに至らないといけないと考えるようになりました。元々社会を変えたいと考えて経営をしています。子どもたちがよりよい未来を歩めるように、私たち大人が責任を持って社会をより良い方向に導いていかないといけないと思います。日本は先進国ではありません。すでに後進国です。貨幣価値は1970年代と同じレベル。戦争状態だったロシアよりも貨幣価値が下です。このままでは立ち行かない。我が国は崩壊してしまいます。もしそうなってしまったら、次世代に顔向けできません。だからこそ、私たちは成長し続けないといけません。大人になったから成長しなくてもよいわけではなく、大人になったからこそより成長を続ける必要があるのだと気づかせていただきました。今後ますます私自身のアップデートもそうですが、皆人もまた成長し続けて社会のために貢献できる会社を目指していきます。それが不登校を経験し、多くの人との出会いで成長させていただいた私の使命だと考えています。

おわりに

子どもの頃は「何もできない」と自覚していた少年が、今では日本のIT業界の未来を見据える経営者となりました。その原動力となったのは、厳しくも温かい言葉で導いてくれた恩師たち、そして不登校という経験から得た「弱い立場の人に寄り添いたい」という強い想い。

「誰かに言われたことは、まずやってみる」。その素直さを武器に、加門社長は今日も中小企業の未来を支えるため、新たな挑戦を続けています。

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