COLUMN コラム
個人レベルでも現状維持は衰退であると言われるが、その話は企業であっても同様である。
特に企業は個人よりも変化や成長を求められる傾向にある。
なぜか?
それは社会情勢や市場、お客様のニーズや課題、技術的な変革などに対応していく必要があるからだ。
企業は年間20%を目安に変化をしていく必要があると言われている。
5年経てば実質100%変化していることになる(本当に100%かどうかは話は別だが)。
だが、この変化において足を引っ張る要因がある。
その要因はいくつかある。
たとえば
- 資金的な要因
- 時間的な要因
- 場所的な要因
- 事業モデル
などがある。
そこで今回は、企業が成長しようとした時に阻害する要因として「人」に着目してみようと思う。
代表格は「保守派」
一番考えやすい人とは、保守的な人のことである。
保守的とはどういうことかというと、今の業務に何か変化を加えたくないと考えている人のことである。
業務を追加されて大変な目に遭いたくない、と思っているかもしれない。
保守派の人の特徴は、変化がある度に声を大きくして反対してくることだ。
声が大きい分、会社全体に影響が出やすい。
この手の人は、年配者や勤続年数が長い人、そして役職者であるケースが多いように思う。
立場が下の人からすれば厄介極まりない。
何も言えないのだから、「そうですね」と同意するしかない。
下手に反対したら査定に影響が出てしまうかもしれないし、あることないこと言いふらされてしまうかもしれない。
これまで色んな会社のプロジェクトに参加してきたが、立場が上の人が言っていることを表面的には合意しつつ陰では反対している下の人を何人も見てきた。
結局、合意している以上、上の人の意見が「正」となってしまって、企業の成長が阻害されてしまう。
この状況を放置すると、従業員の不満足に繋がっていく。
声が大きい人はいいだろう。
だが、そういった人ばかりではない。
むしろ立場が下の人の方が多い。
本当は思ってもいないことを合意させられるのはかなり苦痛である。
では、なぜ保守派の人は成長を拒むのか?
現状維持を求めるからだ。
新しい技術や取り組みを導入して失敗してしまうことを恐れる。
短絡的な思考で現状維持をして長期的な利益を考えない。
結果、企業や事業の成長を鈍化させライバルに敗北してしまう要因を作りかねない。
これは日本の失敗を許さない風潮も原因であるように思うが、そんなことを理由に言い訳できない。
成長のためにどう行動するか大事である。
思いがけない伏兵にご用心
となると、保守派が一番悪いみたいな意見で終わりかねないが、実はもう1人ご紹介したい人がいる。
下手をすると、保守派の人よりも質が悪いかもしれない人だ。
それは、「知ったかぶりな人」である。
そんな人いないよ
って思うかもしれない。
だが、意外にいるのだ。
講演会や研修、勉強会や展示会にセミナーなどに参加して勉強している人に多い。
この手の人は、なんちゃっての知識で専門分野の人の意見を反対してくる。
だったら、「御社の課題は貴方が全部解決しているはずですが、なぜまだ解決なさっていないのですか?」と聞きたいくらいだ。
この手の人は確かに変化に積極的な人を抑制することもある。
失敗するリスクを認識させ、避けることができたミスを行わないようにする重要な立場でもある。
だが、その意見が全部正しいとは限らない。
むしろ間違っていることの方が多い。
もし正しいなら、今頃その課題は解決しているはずだ。
それにそんなに知識があるなら副業なり独立なりしているはずだ。
なぜそれを生業にしていないのか?
これが答えだ。
大した知識がないのに学んだ気になっているだけである。
この「知ったか」の意見は意外にも参考にされることが多いし、頼りにされることも多い。
だが、この意見が本当に正しいかどうかは別問題であることを重々承知しておくべきだ。
専門職でさえも注意が必要
そして、質が悪いことにこの知ったかに専門職の人も入ることがあることである。
たとえば、デザインであればデザイナー、システムに関してはエンジニアなどだ。
エンジニアを例にしよう。
エンジニアにとってAIは、大したことのないものだった。
仕事を奪われる脅威もなかった。
生成AIが誕生した後も懐疑的なエンジニアが多かった。
では、今はどうだろうか?
ここで分かれる。
- 今もAIは脅威ではないと考えるグループ
- 今後脅威になるだろうが、当分の間は脅威ではないと考えるグループ
- 脅威になりつつあると考え、AIの活用を検討しているグループ
- 脅威と認識してAIを活用しているグループ
この4つに分かれるだろう。
人によって違うだろうが、1番目を選ぶエンジニアは意外に多い。
すでにアメリカで2Dデザイナーが解雇された事例があるのに、自分たちが無関係であると考えているのは驚く。
今後エンジニアに求めるものは技術ではなく、コミュニケーション力であると語ったCEOもいるくらいだ。
このように専門職でさえもAIに対して意見にバラツキが発生する。
専門職の人だからと安心するのは危険なのだ。
人は4つに分けられる
以上のように見ていくと、「人」を考えた時、4つに分けることができる。
4つというと、アマサイを想像するだろう。
が、ここではその4つではない。
- 積極的な人
- 無関心な人
- 保守的な人
- 知ったか
の4つである。
この中で一番厄介なのは、「知ったか」である。
頼られることが多いし、意見を受け入れられやすい。
だが、考えてみて欲しい。
「その人の意見が全部正しいなら、今頃御社の課題は全部解決しています。」
解決していない?
じゃあ、その人の意見は正しくないはずである。
つまり何が言いたいのかというと、意見というのは多角的に集めて判断するのがよいということである。
1人の人にだけ意見を求めても正しいかどうか不明である。
社内だけで求めても限界がある。
社外の専門家の意見を素直に聞いてみるのが大事である。
もちろん、妄信するのは絶対にNGだ。
だいたいDXとITを理解していない輩が多いIT業界において、妄信してしまうことほど危険なことはない。
話は逸れるが、生成AIのことを「自我を持ったAI」と説明するAI専門家がいた。
こんないい加減なことを言い放つ専門家もいるので要注意だ。
「じゃあ、お前はどうなんだ?」と言われそうだ。
当然ながら、私の言うことも「本当に?」という視点で見聞きして欲しい。
私もプロであるが、すべてが正しいと思っていない。
だから、お客様によりよいサービスをお届けできるように、私も常にアップデートを心掛けている。
最後に
さて、今回は企業の成長を阻害する要因として「人」にフォーカスをあてて、考察してみた。
企業は毎年成長していく必要がある。
IPOした企業であれば当たり前のことであるが、中小企業はどうも成長意欲が乏しいように思う。
だが、毎年80万人も人口が減少している今、私たちは成長していかなければ生き残っていけない時代に生きていることを強く自覚すべきである。
成長しようと考えた時、様々な要因でその成長を阻害しようとしてくるだろう。
その中で最も大きいのが「人」という存在である。
どうしても社内の人を信用しがちだ。
だが、一般的な従業員の意見が本当に正しいかどうかは怪しいし、むしろ正しいと思うことは危険ではないだろうか。
だからこそ、意見は広く集めて自らの意思で投資していくのが大事だと考える。
弊社はパソコン業務を8割9割削減することができる専門家である。
DXサービスを取り扱っている企業やDX専門家からすれば、真っ先に否定する対象となる。
だが、私は中小企業こそ業務を徹底的に効率化することが大事であると信じている。
このように私は確信を持ってお伝えすることができるが、この意見もまた疑ってかかる必要がある。
本当に業務を8割減らすことができるのか
本当にDXはIT化のことを言っているのか
本当に採用活動を止める方がいいのか
などだ。
これらの意見は私の意見である。
断じて専門家だからと信じ切ってはいけない。
私の意見も含めて世の中で発信されている情報や意見を妄信せず多角的に情報を集め、本当に企業として成長するための投資は何か?を見極めていく必要があるのだ。
今回のコラムが何か気づきや学びになれば、シェアをしていただけると嬉しい。
また次回のコラムでお会いしましょう。