COLUMN コラム

2025.08.06
会社を成長させるために必要なこと【中編】

会社を成長させるために必要なこと【中編】

経営者の時間確保は企業成長の鍵。 採用難の今、アウトソーシングに活路を見出す企業も多いが、落とし穴も。業務棚卸やセキュリティ、そして「人」への依存という課題。真の解決策とは? 本質に迫る、成長企業必見の時間創造術!

会社を成長させるためには経営者の時間確保が重要である。

経営者が忙しくフロントに立ち続けると、経営判断を行うことが難しいし、チャンスを獲得することも難しい。

IPOをした後に経営者に求められる仕事は、管理ではなく、チャンスの創出と株主への継続的なアプローチであると仰っている連続起業家もいるくらいだ。

つまり、経営者は本来、会社業務を行う立場ではない。

経営者の仕事は、会社を継続発展させるために情報を収集し判断を下し、指示命令を行うことだ。

そして、よりよい方向性に進むためにチャンスを作り続ける責任と義務がある。

しかし、もし社長がフロントに立ち続けると、どうだろうか?

このようなことができないのだ。

もしできても、なかなか十分ではないだろう。

そこで、前回はこの状態を回避するための方法として、古来より常識と思われてきた「採用」という手法について見てきた。

人口減少により採用はますます難しくなってきているのが現状であり、優秀な人材は300人に1人とも500人に1人とも言われている中で、優秀な人材の確保は中小企業にとって不可能に近いとも言える(もちろん、不可能に近いだけで不可能ではない)。

そこで、今回は採用に頼らない方法として、近年成長している企業が行っている時間削減術について見ていきたい。

成長企業が選択した時間削減術

ゼロイチを突破し、イチジュウも突破すると、経営者は忙しさを極める。

ただでさえ様々な業務を一身に背負う中小企業の経営者である。

その業務量は本当に多い。

10から100にする過程で、経営者はその身に背負った重みを降ろしていかなければならない。

この過程で従業員の選択をするのは、もう愚かな選択である。

社会保険料に賃金に賞与と多額のキャッシュが吹き飛ぶだけではなく、解雇も難しいというリスクも背負う。

これらコストやリスクは企業を圧迫し、成長を阻害する。

そこで最近の経営者は人の採用を最小限にすることを検討している。

その筆頭が「業務の外出し」である。

アウトソーシングと言ってもいい。

とにかく、自分たちで業務を実行するのではなく、自分たち以外の協力者に業務を実行してもらうということである。

アルバイトやパートタイマーのような非正規社員のことではない。

外部組織に依頼する、ということである。

そこで注目されているのが2つある。

1つは、クラウドワーカーである。

もう1つは、BPOと呼ばれる事業を行っている企業である。

前者は、ポータルサイトに登録している個人事業主やフリーランスに依頼する。

後者は、企業に依頼して業務を任せる。

このような違いがあるが、結局は業務を外部の人にお願いすることには変わりない。

BPOについては割愛し、ここではクラウドワーカーについて少し説明しよう。

クラウドワーカーの活用とは

ポータルサイトに登録している企業と個人をマッチングさせて、業務の受発注を行うことである。

ポータルサイトは複数ある。

たとえば

  • ランサーズ
  • クラウドワークス
  • ママワークス
  • ココナラ

といったサイトがクラウドソーシング系ポータルサイトと呼ばれている。

副業を探している人や本業の空き時間を活用したい人が登録している。

多種多様な仕事を発注することができる上に、費用発生が固定ではないため、今多くの新鋭気鋭の企業に注目されている。

たとえばコピペするという仕事を任せるとする。

10時間くらいかかる作業だとしても、その仕事の報酬を支払うだけでやってくれる。

継続して雇用し続ける必要性がないことがメリットである。

アウトソーシングの落とし穴に注意せよ

棚卸は必要不可欠である

さて、とはいっても、である。

アウトソーシングを行う際に注意しないといけないことがある。

それは業務の棚卸である。

もう何でもかんでも必須だ。

AIに依頼する時でさえ必要なのに、人に依頼する時にも必要になる。

これは人材採用をした場合も同じで、アウトソーシングをする際も同様です。

これが不要だと思っている人が結構多いが、世の中そんなに甘くない。

せめて

  • 依頼したい仕事内容は何か?
  • どういう流れで行っているか?
  • 何に気を付ける必要があるか?
  • 成果物のフォーマットは何か?

といったことくらいは知りたいものだ。

こういったことをしないで、「とりあえずお願いします」では何もできない。

なので、何を依頼したいのかといった棚卸をする必要がある。

もしできないのであれば、依頼すべきではない。

もしやったことがないことを依頼する場合は、自分がやってみることをオススメする。

まず自分でやってみた上で、どういう結果が欲しいのかを把握しよう。

その上で依頼すれば、よりスムーズになるだろう。

結局プロではない

しかし、まだ落とし穴がある。

それは私たち側の問題ではなく、受注する側の問題である。

これはBPOにしてもクラウドワーカーにしても同じことだ。

受注する側は、その業務のプロではない可能性が高い。

ポータルサイトへの登録に必ずしもプロである必要がないし、BPOも業務の代行をするだけなので特別にプロである必要がない。

「経理業務特化です」と謳っているBPO業者であれば、ある程度の専門性はあるだろう。

しかし、それがあなたの業種にも特化しているわけではない。

もしあなたが製造業で経理業務を依頼したいなら、「製造業の経理業務に特化したBPO」という触れ込みがあれば、安心できるかもしれない。

だが、それではBPO業者も食っていけない。

だから、広く浅く実行するし、尖がるとしても「経理業務」といった業務単位で尖がることが多い。

 

何が言いたいかというと、アウトソーシングは専門性を確保できていないため、人材教育を行う必要があるということである。

あなたの会社ルールをしっかり教える必要があるし、業種業態への理解がない場合は、その辺りも教える必要がある、ということだ。

 

そして、何より人によって能力値に差がある。

優秀な人材は少ない。

優秀でもあなたと相性が合わないケースもある。

また、業種業態によっては合わない人もいる。

このように依頼すれば万事解決ではなく、人材採用と同じように試してみて、能力や相性の確認が必要になるのだ。

セキュリティ的にアウトである可能性も

まだ問題がある。

それはセキュリティ面である。

正直業務を外部の人間に依頼する際に、セキュリティ上の問題が発生する。

どこで仕事をするのかを判断することができないからだ。

自宅と言ってスタバでやっているかもしれない。

イオンモールで仕事をしているかもしれない。

仕事をしている場所を管理することは難しい。

また、BPOも必ずしも日本国内で行われているわけではない。

マイナンバーカードの登録が中国に発注されていたとしているが、あれもまたBPOである。

日本企業が受注して、それを中国のBPO企業に発注しただけだ。

別に不思議なことではない。

よくある。

誰が実行するかのチェック機構を我々は持たない。

ちなみに、フリーランスや個人事業主ならスタバでもいいから日本人がやってくれる、というのも間違いだ。

先ほどのマイナンバーカードの例のように受注するのは本人だとしても、それを別の人に依頼している可能性もある。

そのチェック機構があればいいが、そうでない場合は確認する術を持たない状態でチェックすることは難しいだろう。

 

という風に考えていくと、セキュリティ上問題のない業務を発注するしかない。

何でもかんでも依頼することができるわけではないのが現実である。

結局人に依存している

さらに、問題がある。

それは、結局人に依存してしまっていることである。

人材採用が難しくなってきている理由として、労働者不足、つまりは人口減少があると伝えた。

では、ここで問題である。

我が国の人口は毎年80万人ずつ消えている中で、クラウドワーカーやBPOを活用できる未来は今後も継続できるだろうか?

答えは簡単だ。

 

ノーである。

 

なぜか?

業務を行うのもまた人であるからだ。

では、今後どうなるだろうか?

物価高もあるし受注できる人口にも限界が出てくる。

となれば、当然単価の向上が見込まれるし、優秀な人材はどんどん囲い込まれて、人材確保が難しくなっていくだろう。

つまり、人材採用と同じ現象が起きてしまうのだ。

となると、当然BPO企業も人材確保が難しくなり、単価が上がっていくだろう。

もし安いBPOがあれば、それは安い労働力を使っているからであって、海外に発注している可能性があるかもしれない。

まとめると・・・

ここまで述べてきたことをまとめてみよう。

まとめると以下の5つになる。

  • 依頼する時に棚卸をしないと、満足できる結果が得られない
  • 受注側はプロではない
  • 優秀で相性の合う人材を確保するために試行錯誤する必要がある
  • セキュリティ問題があるので、あまり多くの仕事を任せられない
  • 人ありきのビジネスモデルのままなので、将来的に難しくなることが予想される

1番上はまぁ、当たり前のことなので問題視すべきではないだろう。

だが、2番目以降は問題視してよい内容だ。

結局のところ、満足いく結果を得られるまで経営者の時間は奪われ続けることになるだろう。

そして、「人ありき」であるため、ゆくゆくは破綻するビジネスモデルである。

よって、このビジネスモデルからの脱却をいかに早く実行するかが私たちに求められていることである。

最後に

今回のコラムはどうだっただろうか。

クラウドワーカーやBPOの活用を、完全否定するつもりはない。

クラウドワーカーを徹底的に活用することによって成功を収めている企業もあるし、従業員数1名+クラウドワーカーで何十億円も稼いでいる企業もある。

このような事例があるので、完全に否定するつもりはない。

ただすべての企業が再現できるかどうかや今後の情勢を加味した時に、なかなか難しいことになるのではないかと考えている。

日本企業の全てがクラウドワーカーを活用しようとした場合に、実現できるかどうかで考えた時に不可能であると判断できる。

それにセキュリティ問題を解決できない以上、お客様の情報を預かる企業として無責任な行動を行うことはできない。

社会に貢献し、社会をよりよくしたいと考えている私たちが、お客様の情報をいい加減に扱うわけにはいかない。

このように考えていくと、クラウドワーカーやBPOの活用は制限的に実施すべきと結論付けてしまうのだ。

そもそも人ありきのビジネスモデルから脱却できていないし、経営者の時間確保するのにもリスクが大きい。

よって、クラウドワーカーやBPOの活用が経営者の時間確保における解決策とは全面的に言えない。

 

では、クラウドワーカーも人材採用も難しい中で、どうすれば経営者の時間を確保できるのか?

次回は、いよいよ本質的な解決策について考察していこうと思う。

 

今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。

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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。

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