COLUMN コラム
前編で「採用頼みはもう限界」、中編で「アウトソースも【人ありき】の罠がある」と伝えた。
後編では、ついに「人に依存しない成長モデル」を提案する。
前編と中編で問題視した根底にあるのが「人」である。
人がいなくなっている中で、人に依存することが間違いであると伝えた。
ということは、だ。
人に依存しない形になればよい、ということである。
では、人に依存しないモデルとは何を指すのだろうか?
目次
人に依存しない成長モデルとは?
非常に簡単に考えてみよう。
人がそこまで時間をかけずに大きな成果を得るとしたら、何があるだろうか?
このように聞くと、多くの人の頭に浮かべる単語がある。
AIだ。
だが、考えてみて欲しい。
それは1つにしか過ぎないし、私たち人類はこれまでも時間短縮を行ってきた。
たとえば手紙。
手紙を書いて、飛脚に運んでもらって、ようやく届く時代があった。
それが自動車やバイクの誕生により高速化し、今ではメールやチャットツールで瞬時に送信できるようになった。
このように技術によって私たちは便利さを獲得してきている。
AIだけではないのだ。
たとえば工場に導入されているロボットも、その1つだ。
ロボットの導入により格段に生産性が上がり、必要となる従業員数も低下した。
今の生産数を確保するために必要な人数と場所は膨大になるだろうが、ロボットによって省力化できたのだ。
このように「時間短縮=AI」ではないという事実をしっかり頭に入れておくべきである。
そうでないと、選択肢が狭めることになってしまう。
要注意である。
では、一般的な企業において何をどのようにしたらいいのだろうか?
一般的な企業においてはIT化?
一般的な企業をまずは定義づけしよう。
オフィス業務を行っている企業というのはどうだろうか?
事務的な仕事を実行する必要があるということである。
まぁ、ほぼ全部なのかもしれない。
さて、そんな一般的な企業でロボットを導入して人間の代わりに業務をしてもらう、なんていう日はまだ来ない。
いずれ来るだろうが、今はまだ来ない。
ロックマンや鉄腕アトムの時代はまだまだ当分来ないだろう。
では、何を以ってして人にかかる時間を削減すればよいのか?
それこそがIT化である。
DX化との違いについては、すでに語っている。
IT化とDX化は全然違うことを目的としていて、IT化は生産性の向上や情報の資産化を目的としており、DX化はIT化で得られた情報を活用して顧客に新しい体験価値を提供することで選んでもらえる企業になる取り組みのことである。
全く違う。
もし違いを詳しく知りたい方は「IT化とDX化。その違いについて」というコラムで語っているので、読んでみて欲しい。
さて、IT化という言葉をよく耳にしただろう。
読む気をなくしただろうか?
だが、安心してくれたまえ。
あなたは日本のIT事情を知らない。
まずは、なぜ私がIT化であると述べたのか、その背景を詳しく述べていこう。
日本はIT超絶後進国
他のコラムにも書いたかもしれない。
だが、改めてここでもお伝えしたい。
日本はものづくりにおいて世界有数の国である。
ロボット技術もすごいし、PS2は当時軍事利用ができるレベルだったし、ノートパソコンと言えば日本と言われていた。
何より車がすごかった。
さて、それら素晴らしい技術を扱うのは一体誰だろうか?
日本人ではない。
では、誰だろうか?
答えは簡単だ。
諸外国の人たちである。
なぜこのような状態になっているのか?
簡単だ。
日本人はパソコンが使えない。
だから作れるけど、使えない人が多すぎて役に立たないのだ。
ミシュラン三ツ星レストランのキッチンを、料理をしたことが全くない人に与えても意味がないのと同じだ。
そもそも使えないのだから、意味がないのだ。
今度は、企業に目を向けてみよう。
帝国データバンクの調査では、たった17%しかDX化をしていないとなっている。
残りの83%はDX化に興味がない状況だそうだ。
この調査ではDX化に着目しているが、日本におけるDX化はほぼIT化と同義なので、IT化を進めていない企業もほぼ同じくらい存在すると考えることができる(もちろん私見なので間違っている可能性は否めないが)。
つまり日本は、IT化を進めていない企業がいっぱいで、働く人もパソコンをそもそも使えない人が多い、ということである。
IT投資は最小限でよい
「じゃあ、IT化しないでOKです」とはならない。
もう時代が許さない。
IT化をしないということは、洗濯板で洗濯をしているのと同じである。
他の人は洗濯機を使っているのに、洗濯板で今も一生懸命時間をかけて洗っている。
こんな状態なのだ。
これでは世界経済で競争力が落ちていき、いずれ日本は崩壊してしまう。
だからこそ、ITが必要である。
このように言うことは簡単であるが、原点に立ち返ってみよう。
「中小企業を成長させるためには、経営者の時間確保が必要である」という前提に立って、ここまで見てきた。
これまでのビジネスモデルは「人ありき」であった。
だが、人に依存したビジネスモデルは早晩終わりを迎える。
だからこそ、人ではなく仕組みで時間確保を目指す必要があるのだ。
そして、その仕組みを作ることがIT化である。
このような視点からもIT化は必須となる。
だが、IT化と言われても多くのIT企業がセールスしてくる。
時には脅迫まがいなことを言ってくる企業もある。
同業者として本当に情けないが、どうすれば中小企業のIT化を進めることができるか?
いろいろサービスを導入する必要があるだろうか?
実はIT投資は最小限に済ませる必要がある。
お金をかけてもいいことはない。
最小限の労力・費用で実施し、最大の効果を発揮する必要がある。
そこでオススメしたいのが3つである。
- Lark
- Microsoft365
- Google Workspace
どれもオールインワンのITサービスである。
これらの中から1つ選んで徹底的な活用をすればよい。
不足している部分があれば、追加すればよい。
たとえば会計ソフトや業種特化のサービスなどである。
基本的にオールインワンのITサービスで片付く。
ちなみに後述するが、より自由度の高い効率化や自動化を実施したいならMicrosoft365かGoogle Workspaceを選択するとよいだろう。
Larkは最近誕生したオールインワンサービスで無料でも使える。
サービス提供者が中国企業なので、その辺の考慮がある方は控えた方がいいだろう。
コストを抑えたい場合はよいかもしれない。
入れて終わりではない
サービスについて説明したが、これらサービスの中から1つ選んで、導入したとしてもIT化が終了したということにはならない。
お忘れだろうか?
日本人はパソコンが使えないのだ。
だからこそ、パソコンを使えるようになる必要がある。
したがって教育を実施することを強くオススメする。
IT化にリソースが必要不可欠
とはいえ、そんな時間も労力もないという企業もあるだろう。
IT化しようとしても、時間的・労力的・金銭的余裕が必要となる。
金銭的な余裕はまぁ、オールインワンに乗り換えるだけなので、そこまで気にする必要はないだろう。
だが、時間的な部分と労力的な部分のリソースが不足するだろう。
なぜか?
今行っている業務と並行でやらないといけないからだ。
そういった場合は、効率化を実行するとよい。
効率化によっては時間を一気に短縮することができる。
分かるだろうか?
- 10時間業務が10分になる
- 3時間業務が10分になる
- 10日業務が10分になる
といったことを実現したら、あなたの時間的な余白が生まれるだろう。
時間的な余白があれば、余分に力を発揮する余裕が生まれる。
つまり、労力的な余白も生まれるのだ。
このように効率化を実施することでIT化を実施する下準備が生まれる。
さらに効率化が進む
しかも、IT化を実施した後も効率化を徹底することによって、まるでオフィスに見えないロボットを導入したかのようにスムーズに仕事が完結していく。
イメージして欲しい。
会社について椅子に座って、指先一本で作業が全て終わり、午後から超絶重要な業務に集中する。
18時になったらパソコンを閉じて家に帰り、家族との温かい時間を過ごす。
そんな毎日を送ることができるかもしれない。
これが効率化のパワーなのだ。
最適解は「IT化×効率化」の二段構え
さて、ここまで3回にわたり述べてきた。
総まとめをしたい。
- 人材採用はオワコン
- クラウドワーカーはいずれ終わる
- IT化による仕組み化を実施することが大事
- IT化はオールインワンサービスを導入する
- 基本的にIT投資は実施しない
- IT化は時間に余裕がないと無理
- 時間的余裕を作るのは、効率化の仕事
- 効率化を極めると、見えないロボットを導入したのと同じ結果を得ることができる
- 効率化しまくった未来は、超重要業務に集中でき、自分時間も確保できる
といったことをこれまで3回にわたり述べてきた。
経営者の時間確保が必要である。
その時間確保はいかに業務を早く終わらせるかである。
その方法こそがIT化であり、効率化である。
中小企業のIT化アクションプラン
最後にアクションプランを提示しよう。
具体的なアクションプランとしては3つである。
- 業務の棚卸をする
- オールインワンサービスを導入する
- 効率化を実施する
業務の棚卸をして誰にでも理解してもらえる状況を作ろう。
その上で、オールインワンサービスを導入し、リソース確保に動いていく。
リソースを確保できるようになると、より重要な業務に集中できるようになる。
つまり、以下のようなサイクルを回すことができるようになる。
- 仕組化:業務を棚卸して仕組みを整える
- 効率化:整えられた仕組みをIT技術を使って効率化、最速化する
- 再投資:生まれた余白で「重要施策」に集中し、成長エンジンを回す
このサイクルを回し始めると、一気に会社は人を増やさなくても10倍の成長を実現できるようになる。
これが「IT化×効率化」の二段構えの破壊力である。
もしやってみたいが、不安であるということなら、我々に任せてもらえばサポート可能だ。
最後に
今回のコラムはどうだっただろうか。
正直、IT化を行う予定のない企業が多すぎる。
非常に驚きを感じる。
トレンドに右往左往して、適切なIT化を知らない。
だから失敗する。
AIにしか興味がないから、余計に他の情報が見えず騙される。
経営者として本当にあるまじき行為である。
しっかり地に足のついたIT化を実施すべきだし、その前に業務の効率化を実施して余白を作るべきである。
と言っても、日本人経営者は興味がないんだろうなと思うとがっかりだ。
だが、考えてみて欲しい。
経営者にとって最も重要なのは、時間である。
時間を確保することができれば、何でもできる。
レバレッジをかけることができる。
- 営業すること
- 学ぶこと
- 選択すること
- 創ること
- 守ること
ありとあらゆるを実現できる。
時間があることで会社の成長に全力を投下できる。
未来を形作る成長速度を加速させる。
これが「人に依存しない成長モデル」であり、私が後編にしてたどり着いたゴールである。
さて、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。
最新情報はスタンドエフエムで投稿している。
IT関連の話題を別角度から見てみたい
ITニュースを簡単に知りたい
IT化やDX化の話題を学びたい
自分の会社が効率化ができるか知りたい
自分の時間を大事にしたい
といった方は是非スタンドエフエムを覗いて欲しい。
それではまた次回のコラムでお会いしましょう。