COLUMN コラム
新札が発行された。
1万円札は渋沢栄一
5千円札は津田梅子
千円札は北里柴三郎
この顔ぶれを世界はどのように見ているのか。
実は新札の顔は日本におけるイノベーションを推進した人物ばかりが並んでいる。
だから、アメリカでは「日本ってジョブズとか企業家をお札するなんて変わってるね」と評価されている。
確かにスティーブ・ジョブズやアンディ・ジャシー、ティム・クックなどがアメリカの紙幣に載っていたら、「なんで?」って思うだろう。
これと同じことが起きているのだ。
では、なぜ日本札はイノベーターの顔ぶれなのか?
それは日本国自体が、イノベーションを起こしたいと考えているからに他ならないのではないか。
だが、残念なことに日本においてイノベーションは起きない。
イノベーションとは何か
イノベーションとは、1911年にヨーゼフ・シュンペーター氏が提唱したもので、簡単に言うと遠くの知と知の掛け合わせのことである。
このように言うと、とても簡単なことのように聞こえる。
何か新しい知識・技術・情報を合体、融合、統合させて、何か新しいものを生み出せばよいように聞こえるからだ。
だが、ここで注意するのは、新しい価値を生み出すだけではなく、社会的に大きな変化を起こすことがイノベーションであるということである。
ただの掛け算ではイノベーションとは言えない。
それはただのアイデアを形にしただけに過ぎないのだ。
最も成功したイノベーションの事例と言えば、「iPhone」である。
何がすごかったか。
携帯電話とウォークマン(iPod)とインターネットを全部1つにまとめたのだ。
これが世界的に革新的だった。
「そう!それ!そういうのが欲しかった!」
全員がそう思ったのだ。
当時すでにスマートフォンは存在したが、携帯電話と大して変わらない形だった。
それをiPhoneは一気に塗り替えた。
以降、全てのスマートフォンはiPhoneを元にした。
今もこれは続いている。
これがイノベーションである。
日本でイノベーションが盛んだった時期とは
これが明治である。
お札に登場する人物たちが活躍した時期だ。
この頃の日本は世界に追いつくために、最先端の知識を学びに行き、学んだことを国内に持って帰ってきて日本の発展に貢献した。
よく歴史の強化を読むと、進んでいる西洋文化を取り入れようとしたとされる。
だが、取り入れたのは「知」であり、日本にそのまま取り入れたのではなく、日本独自の形に発展させている。
たとえば自動織機。
元々は産業革命が起きたイギリスから得た知である。
しかし、豊田佐吉氏が開発した豊田G型自動織機は、逆に世界がその技術を参考にした。
造船技術もそうだ。
ただ取り入れただけでは、日本の成長を支えることはできない。
取り入れた知を自分たちの技術や知識などと混ぜ合わせて進化させていったのだ。
だからこそ明治時代は、イノベーションが盛んだったと言われる。
日本でイノベーションが起きない理由
明治時代は世界でも有数のイノベーション大国であった日本が、今ではイノベーションの「イ」の字もない国になった。
これは何故か。
完全な持論になるが、その答えは3つある。
- 国が足を引っ張っている
- 謙虚さがない
- 愛国心がない
1はよいとして、2と3はイノベーションと関係なさそうに見える。
しかし、実は2と3こそ大きな理由だと考えている。
順に説明する。
国が足を引っ張っている
すごく分かりやすい理由だ。
国による援助がない、ということだ。
だから、企業も動きにくい。
たとえばアメリカは、研究機関や大学に資金を与えるので、そうした研究機関は十分に研究できる環境があり、そこで開発された技術を企業が活用できる仕組みが出来上がっている。
つまり、研究機関や大学への投資活動を渋っている日本では、イノベーションは起きにくいのだ。
どなたか知らないが、どこかの議員が「二位じゃダメなんですか?」と言っていたが、このような人が政治家をやっていける時点でイノベーションは起きない。
また、国防も問題である。
インターネットがなぜ生まれたのか。
ドローンがなぜ生まれたのか。
実は全て国防である。
日本は国防がないので、国を守るべく新しい技術の開発に取り組む努力ができない。
だからこそ、新しい技術が生まれず、いつも遅れを取ってしまう。
こうした国の体制が整っていないことがイノベーションの妨げになっているのだ。
謙虚さがない
日本人は謙虚だ、と言われるが、本当にそうだろうか?
世界とビジネスをする時、私たち日本人は世界に日本語を強要した。
日本語を話せない人たちとはビジネスをしません、と言い放った。
そのツケを今払っている。
本当に謙虚であれば、現地の言葉を学ぶだろうし、共通語のように使われている英語でビジネスをしようとするだろう。
明治時代の私たちは学ぶ環境がなかったのに、それでも頑張って英語でコミュニケーションを図っていた。
この謙虚さが今の私たちにはない。
日本の学校教育のたまもので、失敗を恐れる人種になり下がった。
だから、挑戦することを嫌い、英語は分からないから日本語を話せない人とはビジネスができない。
これではイノベーションが起きるはずない。
遠くの知がある世界とアクセスできないのだ。
近くの知は所詮ただのアイデアだ。
近くの知ばかり求めていては、イノベーションを起こせるはずがない。
韓国や台湾がなぜ今世界企業の仲間入りをしているのか。
それは日本と違って、英語でビジネスをしているからである。
それが当たり前になっている。
明治時代のイノベーターのように謙虚さと挑戦する心を取り戻すべきである。
愛国心がない
もし謙虚さと挑戦心を持つ日本人がいたとしても、そういった人は日本に戻ってこない。
何故か。
単純だ。
愛国心がないからだ。
日本なんてどうでもいいと思っている。
だから、海外で活躍できるようになったら、日本に戻ってこないのだ。
教育の敗北である。
いくらイノベーションが大事と大声で言っても無駄だ。
日本に魅力を感じてもいないし、愛着もない人がなぜ日本に戻って、自分のリソースを分けないといけないのか。
逆の立場なら思うはずだ。
世界中を飛び回ってビジネスができるのなら、わざわざ日本に戻って、日本のために努力しますか?
多くの人は「NO」と回答するだろう。
これが一番の問題である。
すごく悲しい。
先ほど教育の敗北であると書いたが、同時に親の怠慢でもある。
親が日本のいいところをちゃんと伝えない。
逆に世界を羨ましいと思っている発現が子どもに届けば、子どもはどう思うか。
日本なんて、どうでもいいように思うはずだ。
そもそもイノベーションを起こしたいのであれば、国に対する愛国心を持てるようにすべきである。
世界的に見て、愛国心のない国民がいるのは日本だけである。
まとめ~イノベーションは日本で望めない~
これまで述べてきた通り、多くの課題があって日本ではイノベーションが起きにくい状況にある。
資金的援助がないことや国防がないことが原因で国自体が足を引っ張っている現状もある。
だが、一番は愛国心の欠如と謙虚さの不足である。
どうしても殿様商売をしてしまう。
もう殿様商売を辞めて、明治時代の先人を見習う時が来たと思う。
とここまで書いてきて、じゃあ、お前はどうなんだ?と思う方も多いだろう。
正直に言う。
メッチャ棚に上げている。
持論を述べているだけで、私も英語はできないし、英語で話されるとパニックになる。
本当に耳が痛いなぁって思いながら、書いている。
なので、私も今回のコラムを教訓にしたい。
ちなみに、愛国心はちゃんとある。