COLUMN コラム
IT化やDX化において、ITサービスの導入さえすれば解決できると思っている方が多すぎる。
そんなに簡単なものならば、どの企業も簡単に成功しているはずだ。
IT化やDX化の道のりは、長く険しい。
一朝一夕で完結できるものではない。
中長期計画を進めるべきものなのだ。
だが、たとえ中長期計画を立てたとしても失敗する。
その理由にたった1つのことをやっていないからである。
そのたった1つとは、「業務のグループ分け」を徹底することだ。
今回はその辺りを伝えようと思う。
目次
IT化の前にやるべきこととは?
なぜIT化が失敗するのか?
ただ導入しただけでは失敗する。
その原因は複数ある。
たとえば
- ITリテラシーが低いから
- 業務との相性が悪かったから
- ITに業務を合わせられなかったから
- 反発が強かったから
などが挙げられるが、これらはそもそも論が多い。
今回はこういった「そもそも論」を超えたところを掘り下げる。
サイズを測らないオーダースーツは着れるか?
よく考えてみて欲しい。
もしあなたがオーダースーツを注文しようとして、あなたの体型を伝えることもなく最適な商品が手元に届くだろうか?
これと同じことがIT化界隈でも起きている。
あなたの会社の業務内容や流れを把握することもなく、とりあえずよさそうだからとITサービスの導入を決める傾向が強い。
そうすると、「こんなはずじゃなかったのに」という後悔が出てくる。
では、どのようにしたらこの状態を回避できるだろうか?
それこそが「業務のグループ分け」である。
業務のグループ分けがIT化を見分けるポイント
業務を棚卸することが大事である、とコラムで伝え続けてきた。
何かにつけては棚卸しようと言っているので、「またか」と思う読者も多いだろう。
だが、今回は更に踏み込んでいく。
それがグループ分けである。
このグループ分けをして整理することで、会社業務の状況を把握することができる。
これによりIT化すべき部分が明確になり、サービス導入における成功確率が上がるのだ。
では、このグループとはどういったものか具体的に説明していこう。
グループは4つに分かれる。
便宜上、ABCDとしよう。
業務を仕分ける4グループ
先にグループについて概要を伝えよう。
- A:IT化で効率が上がるグループ
- B:IT化で効率が下がるグループ
- C:IT化できたら効率が上がるグループ
- D:IT化できたとしても効率が下がるグループ
さて、それでは、それぞれどういったグループかを説明しよう。
Aグループは、IT化で効率が上がるグループだ。
たとえば経費精算など明らかにアナログからIT化すれば、業務効率がUPすると判断できるものがAグループに所属する。
このグループに所属する業務は積極的にIT化すべきだ。
Bグループは、IT化で効率が下がるグループだ。
Aグループとは逆に効率が下がってしまうグループで、数としてはほとんど存在しない。
Aグループに所属してIT化してみた結果、効率が下がってしまった場合はBグループに配属する。
業種業態やサービス内容によって異なってくるので、どの業務がBグループに所属するのかは言えない。
また、慣れの問題もあるので、ちゃんと見極めが必要である。
Cグループは、IT化できたら効率が上がるグループだ。
何らかの障壁・問題があってIT化を断念しているが、もしIT化できたとしたら効率が上がると予想される業務がCグループに入る。
恐らくCグループが最も多いだろう。
Cグループに所属する業務をいかにAグループに持って行けるかがポイントとなる。
Dグループは、IT化できたとしても効率が下がるグループだ。
国や地方自治体などルールメイカーと言われる組織が定めたルールに従うしかない業務が、Dグループに入る。
たとえば補助金や助成金、税申告などの規制やルールなどに従う必要があり、何ら交渉の余地がない業務である。
これらの業務は専用のIT化されたツールやサービスを利用する以外にIT化することはできない。
もし仮にできたとしても、非常に効率が悪い。
ここまで説明したのを図にすると以下のようになるだろうか。
IT化できない | IT化できる | |
効率UP | Cグループ | Aグループ |
効率DOWN | Dグループ | Bグループ |
何かと頑張らない方向に走りがち
ここで注意したいのは、何かにつけてCとDに入れがちである、ということだ。
CとDに入れておけば、IT化をしなくてもいい。
頑張らなくてもいい。
だから、何でもかんでもCとDに入れる。
だが、それは正しくない。
そこでどういう業務がCとDに入るのかをお伝えしよう。
Dグループはほぼない
Dは本当にない。
ルールメイカーと言えば、国や地方自治体などである。
ここに一般企業は含まれない。
大手であっても取引先であっても企業である以上は、ルールメイカーではない。
1ミリでも交渉の余地があるものは、Dグループに入らない。
そのため、Dグループに入る業務は、国を相手にする業務だと思っておけばいい。
国とのやり取りで発生する業務がDグループに所属する。
となると、その数はどうだろうか?
多い?
少ない?
多いはずがない。
なので、Dグループの数は少ないのだ。
また、Dグループに所属する業務は専用のITサービスが存在する。
そのITサービスの活用をすることになるだろうし、活用しない場合は専門家の活用になるだろう。
Cグループは、思い込みの可能性が高い
そして、Cグループだが、IT化できたら効率がUPするということが分かっているのに、何かしらの理由をつけて断念するグループがCグループだ。
この言い方でもうお分かりだろう。
断念するな、と言っているのだ。
大企業だろうが取引先だろうが言わなければ分からない。
交渉してみないと分からない。
何かしら動いてみないと、本当にダメなのかどうか分からない。
どうすれば解決できるのかを「How思考」で考えることが大事である。
どうだろうか?
やれそうだろうか?
これでできる人はあまりいない。
何故かというと、ついつい思い込みで断定してしまうからである。
たとえば
- あのお客さんはFAXしか受け付けていない
- あの人は高齢者だからパソコンが使えない
- あの人はスマートフォンを使えないので、対応できない
といったようなように断定してしまうのだ。
果たして本当にそうだろうか?
本当に無理だろうか?
思い込みではないか?
人は思い込んでしまうと、思考が停止してしまう。
どうせ無理だと思ってしまう。
そうなると、どうやって解決したらいいかを一切考えられない。
しかし、たとえばスマートフォンを使えないと思い込んでいたが、教えたら使えるようになるかもしれない。
そうなると、どうだろうか?
思い込んでいた障壁が突破できるものになるかもしれない。
その理由が全く関係のない第三者が見ても納得できるものなのかどうかが重要である。
だいたいの理由は感情論になりがちだ。
特に「可哀想だから」という理由は、理由すらなっていない。
「可哀想だから」は一切理由にならない
たとえばFAXしか無理な理由は何か?
- 高齢者だから
- パソコンが使えないから
- 時間が余計に時間がかかってしまうから
「だから、可哀想だ」と、こういった論理だ。
では、聞こう。
100社あって、10社がそういう会社だとする。
今あなたが行っている業務が毎月10日かかるものだとして、もしWEB化したら10分で終わるとしたとしたら、どうだろうか?
それでも、可哀想か?
可哀想なのは、あなただ。
この10社のせいで10日も頑張らないといけないし、ミスがあるとクレームになる。
その対応で心身ともに疲れ果ててしまうわけだ。
しかも、可哀想だと思っている相手は本当は惰性でやっているだけで、パソコンを使えるかもしれない。
ただ聞かなかったから大変な思いをしているだけかもしれない。
そんなアホな話はないだろう。
だが、今もこんな思い込みをしている企業が多いのだ。
グループ分けをしよう
ほとんどの業務はAかCだ。
Cに該当している業務は、思い込みではないか、どうやったら解決できるかを検討しよう。
とにかく解決しようと動く。
最初から諦めない。
どうしても人は楽をしたいと思う。
それは私も同じだ。
だが、それでは改善できない。
だからこそ、疑う心が大事だ。
- 本当に無理なのか?
- 本当にIT化できないのか?
- 思い込みではないか?
- どうやったら改善できるか?
- 試してみたか?
こうした取り組みの中でCグループに入っている業務がAグループに移行することができるのだ。
もしAグループに入ることができたら、すぐさまIT化に向けて動き出そう。
そうすることで、より多くの業務をIT化して効率UPを目指すことができる。
最後に
今回のコラムはどうだっただろうか。
最後に言いたいことがある。
それは、可哀想精神についてだ。
日本人はとにかく可哀想と言いがちだ。
だが、もしかしたらその考えのせいで、成長の機会を奪っているかもしれない。
もしそうなら、本当に可哀想なのは成長の機会を奪ってしまっていることではないだろうか?
また、もし解決策のために動き出した時にビジネスに発展するかもしれない。
そう考えたら、すべてを諦めるのではなく、真摯に向き合うことがお客様に向き合うことになるのではないだろうか?
このように考えて改めてCグループに入った業務を見直していただきたい。
そこで、3つのアクションプランを提示したい。
- 業務の棚卸をしてグループ分けをする
- CグループをAグループに移行させる
- Aグループの業務をIT化する
こうした取り組みを行うことで、「業務の見える化+IT化+成長」という方程式が成り立つ。
IT化の好循環を感じることができるようになるので、是非挑戦してみて欲しい。
さて、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。
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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。