COLUMN コラム

2025.12.17
生成AI時代に効率化を語る前に問うべきこと

生成AI時代に効率化を語る前に問うべきこと

生成AIで「楽になる」は幻想?本当の効率化の条件とは

「生成AIを導入すれば、仕事が劇的に楽になる」

巷ではそんな声が飛び交っている。

しかし、本当にそうなるかは、あなたの使い方次第である。

本稿では、効率化の本質を問い直したうえで、生成AI時代にこそ必要な覚悟と思考を語りたい。

「早くなる=効率化」ではない

まず、言葉の定義を揃えたい。

効率化とは、「誰がやっても・いつでも・何度でも、同じ品質で同じ結果が出るように仕組み化すること」だ。

「この方法なら誰でも5分」が効率化である。

つまり、「俺なら5分」は効率化ではない。

属人芸を磨くのは自由だが、組織にとっての価値は薄い。

むしろリスクだ。

その人がいなくなった瞬間、業務が遅くなってしまっては意味がないのだ。

新人でもプロでも関係なく、同じ品質の結果を得ることができるようになるのが大事なのだ。

このように言うと、

「うちの業務は特殊だから仕組み化できない」

ということを耳にする。

何度聞いたか分からないくらいよく耳にする。

だが、そういった業務を1つ1つ分解していくと、必ず仕組み化することができるのだ。

特別なのは業務ではなく、無駄と属人なのだ。

「愚痴」を設計図に変える

よく勘違いしてしまうのは、ITツールやDXサービスの導入である。

これをやっても失敗しか未来がない。

では、どこから手をつけるか。

一番簡単なのは、愚痴の可視化である。

私はこれを「自分専用ドラえもんメソッド」と呼んでいる。

日常の作業に向かって、遠慮なく愚痴をぶつけよう。

  • この確認、なぜ毎回二重なんだ?

  • そのファイル名、誰にも分からないだろう?

  • 同じ文言を毎回写経させる意味は?

  • 会議体が多すぎないか?決まる場所はどこだ?

愚痴は設計図の原石だ。

なぜ存在するのか/誰のためか/どこにリスクがあるかを問い直すと、「捨てる」「まとめる」「自動化する」の選択肢が見えてくる。

この質問が効率化の種になるのだ。

人は、現状維持バイアスが強い。

昨日と同じ生活をしたいと考えてしまうのだ。

だからこそ、ドラえもんに業務の不満や不安、不足などを言ってみることで、どこに問題があるか分かるようになるのだ。

「コスト」ではなく「損失」で考える

効率化投資を渋る判断は多い。

だが、本当に怖いのは機会損失だ。

  • 10日かけていた月次処理が10分になると、年間120日→2時間。

  • 時給換算の人件費が下がる

  • 処理しないことが脳を休ませる

人は毎日判断している。

その判断の数を減らすことができるか。

より価値の高いことに回すことができるかがポイントである。

この点を一切無視する経営者が多い。

そういった経営者は

とにかくアナログで業務を回して、首が回らなくなったら人を採用したらいい

という風に考えている。

だが、それではコストがかかっていく一方である。

売上はそのままで、利益率は圧迫される。

これが健全な経営状態と言えるだろうか。

生成AI“万能説”の落とし穴

生成AIは強力だ。

生成AIで業務効率化といった広告をよく目にするし、そういった言葉に踊らされてセミナーに参加する人のなんと多いことか。

だが、生成AIは業務効率を上げるというよりも、生産性を向上させると言った方が適切だろう。

改めて業務効率化の定義を思い出そう。

生成AIを使えば、誰でも・いつでも・何度でも同じ結果が出るのか?

というものだ。

では、生成AIはどうか?

多くのケースでNOだ。
生成AIの出力が正しいか、効果的か、評価・補正するための前提知識が必要になる。

私はエンジニアだから、AIが吐いたコードの良し悪しを判定できる。

だが、前提のない人が同じレベルで裁けるかといえば難しい。

文章だって同じだ。

だから私はライティングを学び直している。

AIを活かすにも、人間側の筋力がいる。

結論として、生成AI=業務効率化ではない。

少なくとも、「導入すれば誰でも同品質」という世界ではない。

定義をすり替える商法に気をつけるべきだ。

前提知識が必要で、その知識を持っているからこそ生成AIを活用することで、生産性の向上を実現できるのだ。

効率化は「目的」ではない

効率化は手段であって、目的ではない。

目的は価値の創出・品質の安定・時間の自由だ。

この目的を見失ってしまい、効率化を目的として効率化を図ってしまうのは本末転倒である。

何のために効率化が必要なのだろうか?

まずはこの目的意識から始めて欲しい。

その上で、ドラえもんに愚痴ってみよう。

不平不満がなくても10個愚痴を出してみよう。

そうすると、業務の非効率性や属人性が見えてくるはずだ。

何にでもAIというのは間違いである。

それはただの商法である。

詐欺に騙されることなく、しっかり何が必要であるかを見極めるためにも、効率化の種を見つけ出そう。

    最後に

    今回のコラムはどうだっただろうか。

    読者の皆様にとって、今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。

    最新情報はスタンドエフエムで投稿している。

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    といった方は是非スタンドエフエムを覗いて欲しい。

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    それでは、また次回のコラムでお会いしよう。

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