COLUMN コラム
このコラムを書いているのは2025年11月7日。
2026年以降にアップされるが、移民問題はその頃も今と同じくホットな話題だろう。
多くの人が関心を寄せている移民問題であるが、単純に反対やら賛成やらと断定できない問題である。
また、IT企業の社長としても伝えることがあるので、今回は移民問題を取り上げてみようと思う。
目次
諸外国が言う「移民」には反対すべき
実は「移民」という言葉には2つの意味合いが含まれていると知っているだろうか?
1つは、諸外国が言う「移民」である。
移民受入率がどうのこうのって騒いでいるが、これのことだ。
もう1つは、日本政府が語っている労働力としての「移民」である。
この2つは似ているようで全く異なっており、前者であれば全く日本は受け入れるべきではないと言える。
そもそも国の成り立ちや文化文明、歴史が違い過ぎる。
欧米諸国は、一部を除き陸続きである。
そのため、民族の移動がしやすい。
それこそ中国の万里の長城ではないが、そういったゲートを設けないと抑制できない。
日本だとイメージしにくいだろう。
たとえば、東京にアクセスしてくる千葉、埼玉、神奈川の人みたいなイメージだ。
そのアクセスは制限しようと思えば制限できるだろうが、なかなか難しいのが現状である。
また、諸外国は移民によって栄えた歴史がある。成功体験がある。
そういった国々の常識を掲げて、移民を受け入れるべきだと主張されても困るのだ。
一方で日本はどうだろうか?
島国である。
そのため、民族の移動が起こりにくいのだ。
日本は諸外国と違って、我々から先進国に出向いていって、現地の進んだ技術・学問・文化を持ち帰って発展させることで、自国経済を発展させてきた歴史がある。
移民によって成長してきたわけではないのだ。
こうしたことから単純に「受入率」だけを見て、受け入れるべきであるという考えは甚だ乱暴である。
各国の成り立ちや歴史、文化、文明を無視した押しつけであり、尊重という精神が見られない。
そのため、諸外国が言う「移民」に関しては、日本は一切受け入れる必要性がないと断定することができる。
「労働力」としての「移民」は必要か?
では、次に問題になるのが、労働力としての「移民」である。
労働力としての移民こそが、簡単に反対や賛成をしてはいけない理由になるのだ。
この理由を詳細に伝えていこう。
日本人は今日本にどれだけいるのか?
多くの人が全く興味を示さない課題の1つで、最も恐怖すべき課題が人口の減少である。
特に移民反対論者は、この課題を無視する傾向にある。
だが、一切無視することはできない。
では、日本人口は今どうなっているのだろうか?
2024年段階で日本人口は1億2000万人ほどと言われている。
2055年になると、1億人を下回り9000万人になると言われている。
たった30年で3000万人も日本から消えるとされている。
毎年100万人ほど人口減少が起きる計算である。
100万人は宮崎県、山形県、富山県、秋田県、香川県と同じくらいの人口数である。
これらの都道府県が毎年滅亡するレベルで減少していくことになる。
もう少しリアルな数字を見ていこう。
総務省が出している「住民基本台帳」をベースとしたデータがある。
住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和7年1月1日現在)
こちらの資料を見ると、どれくらいの人口が毎年減少しているかを把握することができる。

一部ではあるが、令和2年からのものをスクリーンショットしたので、ここに提示する。
令和4年は約62万人
令和5年は約80万人
令和6年は約86万人
令和7年は約90万人
となっている。
徐々に減少数が拡大していっているのが分かる。
さらに、第一生命経済研究所のレポート(出生数減少はまだ止まらない~2025年出生数は65万人程度か。早くも低位推計割れが視野に~)では、2024年の出生数70万人を下回るペースであることが示唆されている。
日本人口の減少が引き起こす危機
このようなレポートを読むだけで、日本人だけに頼った労働力は、今後激減することが予想できる。
ということは、日本人口の減少が引き起こす危機は何だろうか?
インフラがどうのとか、いろいろ小難しいことを語ろうと思えば語ることができるが、ここでは簡単な事象について伝える。
- サービス品質が低下する
- サービス提供速度が低下する
- サービス提供価格が向上する
人がいない。
作り手がいない。
そうすると、当然品質や提供スピードは低下する。
さらに労働力が不足するので、労働力の確保のために人件費が高騰する。
そのため、その人件費をカバーするために、提供価格を上げることになる。
アンパンの価格を50円増やしただけでSNSが大荒れした日本である。
この3つを我慢できるだろうか?
我慢できる人の方が絶対少ない。
今まで1日でできたことが10日かかる。
今まで1000円だったものが1万円になる。
許せるだろうか?
我慢できるだろうか?
絶対無理である。
日本経済の崩壊が最も深刻である
一番深刻なのは、日本経済の崩壊である。
日本は世界的に見ても人口が多く、現在11位である。
そのため、日本市場だけで経済が回る状態を維持できている。
日本国内だけで経済が成り立つ国は世界的に見ても珍しいのである。
多くの国は自国経済だけだと、滅亡の危機が訪れてしまう。
だから、世界経済に取り込まれているのだ。
これが9000万人になってしまうと、一気に17位に陥落してしまう。
そうなると、自国経済では成り立たなくなってしまい、これまで受給してきた恩恵を受けることができなくなってしまう。
その瞬間、世界経済の荒波で戦っていく必要性が出てくるのだが、我が国は国際経験が全くない。
英語も話せない人が多い。
私も話せない。
そんな我が国は、30年後に一体どのように経済を回すつもりなのか?
全く回らないことだけは確かである。
日本人口の減少をカバーし、今の状態を維持するために労働力が必要
ここまでの「まとめ」として、品質や提供速度の低下、価格向上などを許すことができない日本人が多く、また国際経験が乏しい日本がこれからも現状維持するためには、どこかしらか人口を増やす必要がある。
日本人を増やすことが一番よいことは確かではあるが、現状日本人の出生率は低下している。
そのため、外国から労働力の確保を行うことが一番簡単な解決策であると言えるのだ。
外国人を受け入れずに対処する方法について
では、最後に外国人を受け入れなくても、サービス品質や提供速度、価格をそのままにする方法について考察しよう。
その方法とは、IT(情報技術)化とオートメーション化の徹底およびデジタルスキルの教育である。
「なんだ、またか」と思われた方も多いだろう。
しかし、あえて言おう、日本人の品質が低下したために今があると。
日本人は優秀であった。
しかし、それは過去の栄光である。
資産力ある企業TOP100に日本企業の名前が載らないことはなかった。
なんだったら、TOP10に入る企業もあった。
しかし、今ではTOP100にすら入らない。
過去の栄光である。
スイスのIMDの調査によると、デジタルスキルは67か国中67位、最下位である。
バーレーン、トルコ、韓国、中国、ブラジル、アルゼンチン、モンゴルなどなど。
思い付く国は恐らく日本よりもパソコンが使える国なのだ。
それくらい日本はパソコンが苦手である。
日本はロボットがある!
製造業がある!
と大きな声で語る人はいる。
しかし、その技術を使っているのは海外であって、日本はその恩恵を受けていない。
海外企業が日本の製品を使って効率化をしても、日本はいつまで経ってもアナログでチマチマ仕事をしている。
日本は確かにすごい。
それは事実だ。
しかし、その素晴らしい技術もスキルも技能もノウハウも何もかも、日本人は使えない。
この皮肉が日本をますますダメにする。
日本は仕事ができない人を基準にしがちである。
可哀想だからと言って、そういった人に合わせようとする。
だから、業務効率はいつまでも低いままである。
10人で8時間かけて行っている業務も、1人で10分で終わるかもしれない。
毎日80時間がたった10分になる。
そんな可能性もあるのに、「可哀想」の一言で放置される。
そんな世の中では、外国人労働者も必要不可欠になるだろう。
一方で、IT化とオートメーション化を徹底することによって、少ない人数・少ない時間でより多くの成果を実現できるようになる。
そうなれば、日本人口が9000万人であろうと、今と変わらない世の中を維持することができるだろう。
外国人労働者の受け入れを反対するのであれば、効率的な社会を実現するしかないのだ。
効率的な社会の実現が何をもたらすか?
今の日本に必要なのは、制度の見直しを行うべきである。
従業員のセーフティは、企業が負うべきなのだろうか?
終身雇用も終わったし、働き方改革で多くの時間を働かせることもできない。
それなのに、企業は従業員の解雇が難しいままである。
パワーバランスは従業員の方が強いというアンバランスな状態である。
企業は夢や目標を実現するための組織体であり、そこで働く社員はその目標や夢に共感した働き手である。
企業にとって従業員は、大きな負債、コストでしかない。
優秀な人材を大切にできる環境を作るために、国が今こそ制度の見直しに着手すべきなのだ。
そして、もし企業がその活動を行うことが十分にできる環境、つまり、IT化やオートメーション化を優先した社会を実現した場合、引き起こされることは「大規模なリストラ」である。
これまで企業は「早期希望退職」を募ることでしか解雇できなかった。
しかし、制度を見直し現代風な制度にした場合、つまり、アンバランスな状況を是正した場合、日本企業もまた世界企業と同じく自らの定めた水準以下の能力値しかない従業員は、解雇できるようになるだろう。
このように考えていくと、今の日本人にとって誰も傷つかないのは外国人労働者の受入であると言えるのが、とても寂しく悲しい結末である。
最後に
今回のコラムはどうだっただろうか。
2分割にしようかと思ったが、変に分割するとよく分からなくなるので1つにまとめた。
これまで述べてきたことをまとめると、以下のようになる。
- 諸外国が言っている「移民」は無視でよい
- 日本人口が減少しているために、サービス提供品質の低下が予想され、それに我慢できない日本人が多い
- 日本経済が崩壊する可能性が高く、外国人労働者を受け入れて崩壊を止める方が簡単
- 外国人労働者を受け入れたくない場合、IT化とオートメーション化を実施する必要がある
- IT化とオートメーション化を実施するなら、日本の制度を根本的に見直す必要がある
- 日本の制度を見直すことで引き起こされるのは、大規模な解雇である
- 解雇もいやサービス品質の低下も嫌、という場合は、外国人労働者を受け入れることしかない
なんでもそうなのだが、トレードオフなのだ。
Aを選べば、BとCは選べない。
Bを選べば、AとCは選べない。
外国人労働者を受け入れないなら、サービス品質の低下などを受け入れたり日本経済の崩壊を受け入れたりする必要がある。
それを受け入れたくないけど、外国人労働者も嫌だと言うなら、ITを導入するしかない。
パソコンが苦手なので無理、解雇されるのは嫌、と言うなら、外国人労働者を受け入れるしかない。
こういう状況である。
簡単に反対、賛成と言える問題ではないのだ。
ちなみに、私は限定的な賛成である。
私は日本国の国益を優先に考えるべきであると考えている。
つまり、国益につながるなら実施すべきであるという考え方だ。
そのため、IT化やオートメーション化を実施して、大量の解雇が実施されるべきであると考えている。
そして、外国人に関しても同じで、優秀であれば外国人だろうが日本人だろうが国益のために頑張っていただきたいのだ。
つまり、優秀な外国人は日本に是非来ていただいて、先進国で唯一衰退している日本という国を盛り上げていただきたいのだ。
外国人・日本人という区別ではなく、優秀かそうでないかの区別で判断すべきである。
たとえば、スティーブ・ジョブズがSONYの社長になる、アンディー・ジャシーが日産の社長になる、と聞けばテンションが上がるはずだ。
これにも反対だ!って言うのであれば、移民反対と言ってよいと思うが、これには賛成ということであれば、優秀な外国人ならOKという限定的な賛成であると言えるだろう。
ぜひ一度、自らがどのような立場なのか冷静に判断していただきたい。
今回のコラムが、読者の皆様にとって何か気づきや学びになれば幸いである。
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それでは、また次回のコラムでお会いしよう。