COLUMN コラム
生成AIが私たちの仕事を奪うと言われている。
事実アメリカのゲーム会社で2Dデザイナーが解雇された事例が報告されている。
また、Meta社はAIを活用して業務効率性を向上させた。
今はまだ報告されていないが、効率性の向上が顕著であればあるほど事業展開に必要な人材の数は少なくてよいので、いずれ大量解雇が行われるかもしれない。
Google社でも開発におけるスピードが格段に上がったと報告されていた。
AIを作ったエンジニアがAIによって解雇される事例として、上がってくるかもしれない。
そこで、今後のAI時代において生き抜くスキルとは何かを考えてみたい。
AIにできないことができればよい
AIにできないことを身に付ければ、AI時代でも生き抜くことができる。
「そんなことができたら、苦労しない」と言われそうだ。
だが、AIにできることしかできない人材なら、安いAIの方を優遇するのは当たり前である。
同じハンガーでも1000円のハンガーと100円のハンガーで同じ機能なら、100円のものを選ぶのが普通だ。
何も1000円のものを選ぶ必要はないのだ。
では、どういったスキルを獲得すればよいのだろうか?
全部で3つある。
営業力
コミュニケーション力と書こうと思ったが、日本におけるコミュ力というと「おしゃべり」と勘違いしてしまうので、営業力とした。
ここで言う営業力とは、不要な商品やサービスを押し売りする営業のことではない。
お客様の立場に立ち、お客様が抱えている問題を真摯に聞き、その問題を解決する方法を提案するビジネスマンが保有する能力のことである
こういったビジネスマンはお客様の抱えている問題を解決できるサービスを以っていないのなら、無理に提案することはない。
むしろ、そのお客様の問題を覚えていて、それを解決できる人を探してマッチングすらしてくれる。
これは人であるからできることだ。
この能力はAIがいかに高度化しようとも獲得できない。
そして、そういったビジネスマンに共通しているのは、EQの高さだ。
目の前にいるお客様を自分の大切な人と思って対応している人が多いように思う。
データ活用力
情報を処理する力とも言ってよい。
今のビジネスは膨大な情報が溢れている。
私たちは疲れ果てている。
そんな中において情報を取捨選択する力が必要不可欠である。
特にデータサイエンティストやデータエンジニアと呼ばれる職業の人は、今後の時代においてより重要性の高い職業として多くの企業に求められるだろう。
とはいえ、そういった職業になくてもAIを活用することで得られる情報を、どのように仕事に使うかがポイントになる。
そのため、データ活用力を持つ人材と持たない人材では、重みが変わってくるのだ。
投資力
ここでいう投資とは、株やFXといった投資だけではなく自己投資も含む。
日本人はバブル時代の銀行への貯金という投資しかしてこなかった。
貯金も立派な投資であるという事実を知っている人は少ないが、これも投資活動である。
この投資活動をちゃんと他にも目を向ける時代がすでにきている。
株式投資は早い内からやっておいた方がよいと思うが、自己投資が重要である。
日本人は高校を卒業したら、成長することを辞める。
大学はアルバイトと遊びに必死で、成長する意欲を持つ学生を探す方が大変である。
しかし、世界に目を向けると日常的に成長しようという意欲を持つ人が多い。
これは何故か。
世界は能力を発揮できないと仕事を失うからである。
よりよいポジションを獲得し続けるために、常に自己研鑽を忘れないし成長し続けようとする。
日本ではパソコンが苦手でも一度入社してしまえば、余程のことがない限り解雇にはならない。
そのために怠惰であるのだ。
このような状態ではAIによって仕事を失っても文句を言えないだろう。
そうした状態にならないためにも投資活動に力を入れるべきなのだ。
好奇心
最後は能力やスキルではない。
好奇心があるかどうかが大事だと思う。
子どもは好奇心の塊である。
だから成長する。
大人になればなるほど好奇心を失っていく。
これは成長の過程である程度仕方のないものである。
しかし、成功されている人に共通するのは好奇心旺盛であることだ。
いつまでも子どものような好奇心を持っている方が非常に多い。
好奇心はAIに獲得させることはできない。
好奇心こそ人間最大の武器ではないかと考える。
私も好奇心がない方なので、これからしっかりと好奇心を育んでいこうと思う。
エンジニアの世界もAIの脅威にさらされている
私は現役のエンジニアとしても活動している。
昔から毎月のように技術の進歩がなされている、と言われているのがIT業界ではある。
しかし、最新技術のキャッチアップは5年に1度行えばよいくらいであった。
それが2000年くらいの雰囲気である。
もちろん、最先端になればなるほどこの常識は通じなくなるが、Web業界で言えばそこまで早くないのが現実だった。
この常識が通じなくなってきている。
最新技術へのキャッチアップ期間は年々早くなっているのだ。
今では2年に1度はスキルセットの見直しが必要になってきている。
そして、今生成AIの登場でこの常識が変わりつつある。
エンジニアも今後仕事を失う可能性があるのだ。
今エンジニアになりたいと思っている人たちは、エンジニアを辞めた方がいいだろう。
それくらいエンジニア業界は世知辛い。
世界的企業においてエンジニアに求めるスキルも変わってきている。
エンジニアに求めるものと言えば、専門的な技術やノウハウだと思うだろう。
違うのだ。
- コミュニケーション力
- いい人であること
といった当たり前のことなのだ。
ここでいうコミュ力は日本のコミュ力ではなく、海外基準のコミュ力であることに留意しよう。
要はEQの高さと誠実さが重要であり、技術はAIに任せればよい、という時代になったということだ。
何とも恐ろしい時代である。
まとめ~過度な恐れは不要。道具は道具に過ぎない~
高度になればなるほどできないことはなさそうなAI。
マトリックスという映画のように、いつかは人間をコントロール下においてしまいそうだ。
事実、AIにそそのかされて犯罪を犯してしまった事例がある。
大変恐ろしいことだ。
しかし、AIも道具なのだ。
悪意を持つWebサイトにアクセスすれば、罪を犯す事例は多く報告されている。
これはネット社会の闇ではなく、リアルでも起きうる。
何もAIだけが特別ではない。
私たちはAIを活用できるスキルを身に付ける必要がある。
これこそ最大のAI時代を生き抜くスキルだ。
だが、今まで述べてきたことを全て台無しにするが、日本においてはたぶん恐れていることは起きない。
パソコンがやってきた時も「パソコン時代」「パソコンができない人は解雇される」と恐れられたが、今でも「パソコンが苦手」と言える環境が日本にある。
なので、今の日本のままであれば、生成AIがどれだけ進化しようが、日本だけは無関係だろう。
これはとても悲しいことで危険なことでもあるのだが、仕方ないことでもあるのだ。