COLUMN コラム
Netflixという会社を知っているだろうか?
知らない人はいないだろう。
動画ストリーミングサービスの大手である。
私も大好きだ。
最近、この会社が面白い取り組みを発表した。
Netflixのアトラクションが楽しめる「Netflix House」というテーマパークだ(Netflix、人気コンテンツを体験できる「Netflix House」オープン)。
2025年にオープンするらしい。
今から楽しみなのだ。
だが、ここで「おや?」と思う。
これはデジタル・トランスフォーメーションの発露ではないか?
なぜこのように思ったのか、今回はこのことについてシェアしていこう。
DXとは何か?
そもそもDXとは何かを見ていきたい。
DXを簡単に言うと、デジタル技術とビッグデータを活用してビジネスモデルや商品、サービスなどを変革して顧客体験価値を向上させて、顧客に選ばれる企業になる取り組みのことである。
日本ではDXサービスという服を着たITサービスがバンバン売り出され、その導入に一生懸命だ。
ITサービスの導入=DX化と考えている専門家も多い。
事実、〇〇を導入してDX(経理DX、営業DX、バックオフィスDX、物流DX、建設DXなどなど)を実現しました、という記事が山ほど紹介されている。
読む度に「ただのIT化やん」と思う。
おっと話が逸れた。
では、テーマパークを作るのはDXなのか?
日本で言うところのDXであれば、絶対にNOだ。
確かにテーマパーク自体はアナログだ。
それを運用する組織がいくらデジタル技術を活用しようが、アナログであることには変わりない。
テーマパークのデジタル化はVRの領域である。
実際に作ったテーマパークはアナログであることには違いないのだ。
だが、あえて言おう、DXであると。
「Netflix House」はDXである
定義を思い出して欲しい。
デジタル技術とビッグデータを活用してビジネスを変革することで、顧客体験価値を向上させる取り組みなのだ。
IT技術を活用するのは前提で、その結果として顧客体験価値を向上できるサービスや商品を創出したりビジネスモデルを変革したりすることがDXなのだ。
企業の質
商品の質
ビジネスモデルの質
これらを変革するのがDXである。
こう考えた時、デジタル技術を活用して得られた顧客情報やビッグデータ、そして、あらゆる情報からテーマパークは、顧客体験価値を向上させるビジネスであると判断したと考えられるのだ。
- Netflixを見る視聴者がどういう番組をよく見ているのか
- どういうシーンに共感を覚えているのか
- どういうアイテムを欲しいと思っているのか
他にも色々あるだろう。
見る人によって物語が変わるドラマの作成を今後やっていきたいと考えているのがNetflixである。
本当に様々なデータを蓄積でき、それを活用した事業も進めることができるだろう。
だからこそ、私はテーマパークを作ること自体はDXと言えないが、その取り組みはDXの結果であると言ったのだ。
DXはITサービスの導入と無関係
ITサービスを導入したからDX化したと思っている人が多い。
しかし、それは勘違いである。
その結果、どうしたのか?が大事なのだ。
伝わらないかもしれないが、募金活動を例にしよう。
募金をする、とは言うが、募金化とは言わない。
DXも同じで、あくまでも取り組みであり行動であると考える。
デジタル技術を取り入れました!
だから、何?
という状態が今の日本なのだ。
テスラは元々バッテリー企業だ。
車の会社ではない。
太陽光発電のバッテリー企業で、クリーンエネルギーで持続可能な社会を実現したいという思いがある。
EV車はその思いを形にした事業に過ぎない。
そして、車に乗っている人の情報を取って、その人に適切な保険を提案するサービスも始めた。
では、この保険サービスは思いつきかと言うと、そうではない。
これも立派なDXであるのだ。
まとめ~日本のDXはなぜ失敗するのか?~
日本ではDXをやろうと考えている企業は少ない。
半数以上もDXをやる気がないと答えている調査報告もある。
なぜか?
それはDXのことをIT化と誤解しているからだ。
IT化すればDX化できると謳っている企業や専門家が多すぎる。
そういった人たちによれば、IT化はDX化でデジタル化がIT化である。
文字にすると伝わりにくいかもしれない。
つまり、
DX化のことを話しているが、実態はIT化のこと
IT化のことを話しているが、実態はデジタル化のこと
であるということだ。
本来のDX化のことを話している専門家は少ない。
そして、そうした人たちは、DXをゴールに定めてしまっている。
だから、失敗するのだ。
だから、DXをやる気がないと答える経営者が多いのだ。
DXはあくまでも手段なのだ。
お客様に喜んでいただける取り組みであり、何をどうしたらよいのかを情報収集して分析し、その上でお客様の体験価値を向上させる施策を実行する。
これこそがDXではないか。
私は最近このように思う。