COLUMN コラム

2025.08.22
DXの「X」は、「変化」ではなく「変容」

DXの「X」は、「変化」ではなく「変容」

DXの本質は「変化」ではなく「変容」にあります。日本企業の多くが陥っている単なるIT化との違いと、真のデジタルトランスフォーメーションについて解説いたします。

デジタル・トランスフォーメーション。

 

これがなぜIT化止まりなのか。

それはトランスフォーメーションという言葉を間違って捉えているからだ。

今回は「デジタル・トランスフォーメーション」について言及していきたい。

「変化」ではなく「変容」

まず、最初に見ていきたいのは意味合いについてである。

日本で言われているトランスフォーメーションは「変化」の意味合いが強い。

だが、トランスフォーメーションは「変化」ではなく、「変容」である。

この違いが分からないため、同じように思ってしまう。

変化は「Change」である。

変化であれば、デジタルチェンジなのだ。

 

と概念的にいくら言っても伝わらないだろう。

具体的にいくつか出してみようと思う。

 

変化とは、元のものはそのままにあるものに変わることを指す。

つまり、

日射病が熱中症になった

スチュワーデスからキャビンアテンダントになった

などもそうだし、髪形を変えることもチェンジだ。

1度だけ行ったことがあるのだが、キャバクラの女性スタッフがコロコロ変わる。

これもチェンジだ。

どちらかというと、表面的な変化と言えるだろう。

 

一方で変容とは、原形から遠く離れたものに変わることを指す。

例で挙げるなら3つある。

1つは昆虫である。

幼虫からサナギになって蝶になる。

この一連の変容は原形から遠く離れたものに変わっていっている。

これが一番わかりやすいかもしれない。

 

他にもトランスフォーマーという映画では、飛行機や車、動物がロボットに変形する。

ロボットになった後は、元の姿を思い出すもの大変だ。

それから仮面ライダーも五代雄介が仮面ライダークウガに変身する。

これもまたトランスフォーメーションである。

「業務運用のトランスフォーメーション」って何?

もうお分かりだろう。

トランスフォーメーションとは、チェンジと似て非なるものであるのだ。

 

よくDX界隈で業務オペレーションのトランスフォーメーションという言葉を見聞きする。

業務プロセスのDX

業務運用のDX

などなどもこれに含む。

 

お気づきだろうか?

意味不明なことを言っていることに。

 

業務プロセスのDXがもし実現できるとしよう。

それはもうその業務プロセス自体がなくなっている。

たとえば

  • 飛脚がバイクの普及で職業がなくなった
  • 電話交換手が電話回線の高度化により職業がなくなった
  • 街灯の火を灯す職業が電灯になったことで職業を失った

など業務プロセス自体が消えるくらいのインパクトがサービス導入であるだろうか?

実際にはどうだろうか?

DXサービス・クラウドサービスを導入して、何故か煩雑になったプロセスに我慢しながら業務を行っているのではないだろうか。

これはただのチェンジだ。

業務プロセスはそのままにAからBに変えただけ。

これでDXだなんて、ちゃんちゃらおかしい。

 

たとえば経費申請が頭で思い浮かべた瞬間、終わる。

そんな感じなら確かにDXと言えるかもしれない。

だが、ただただAからBに変わっただけで、「私たちのサービスはDXです」なんてよく言えたなと思う。

 

このように業務プロセスを変えることはDXではない。

これをただのIT化と言うのだ。

こうした勘違いをしている人がIT企業に多いから、みなさんが混乱する。

この点はプロとしての責任と義務を果たしていないIT業界に責任がある。

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。

DXは何を変容させるか?

では、DXは何を変容させるのか?

それは企業や事業、サービスや商品、風土や文化を変容させる。

業務プロセスも含むが、上記で挙げた通りプロセスのみ変えるのは変容ではない。

たとえば新しいサービスを提供するのにあたり、これまで行っていたプロセスを抜本的に変える、など全然違うものに変わることすら容認する、ということである。

この一部分を取り上げて、「チェンジ」にしか過ぎないのに「トランスフォーメーション」だと大々的にプロモーションするのは恥ずかしい。

 

少し話が逸れたので、戻す。

伝えているように、企業活動におけるあらゆる項目において顧客体験価値を向上させるために、今までの常識や既存の取り組みを度外視して取り組む姿勢こそがDXの根本であると言えるのではないだろうか。

よくDX事例として私が挙げるのはテスラである。

バッテリー会社であるテスラは提供しているバッテリー技術を活かしてEV車を作っている。

バッテリー企業がEV車に挑戦すること自体が常識を度外視しているだろう。

更に提供しているEV車用の自動車保険もスタートさせた。

この際に業務プロセスも変更があるだろう。

こうした変容も認め、顧客にテスラのファンになってもらい、他の多くのEV車メーカーよりもテスラを選んでもらうように感動を提供する。

こうした取り組みがDXである。

デジタル技術は世界最低レベルの日本

「デジタル」とついているので、こうした取り組みの根本にデジタル技術があることは言うまでもない。

だが、日本はデジタル技術レベルが世界最低レベルである。

スイスのIMDによるレポートを見ると、67か国中67位となっている。

  • カザフスタン
  • バーレーン
  • クウェート
  • ルーマニア
  • ボツワナ
  • フィリピン
  • ナイジェリア
  • ベネズエラ

これらの国よりも下である。

これがどういうことかお分かりだろうか?

クラウドサービスを導入しても満足に使えない人たちで構成されている、ということである。

つまり、DXをしたくても土台となるデジタルスキルがないから、そもそもDX以前の問題であるということなのだ。

最後に

日本におけるDXはただのIT化のことである。

これは間違いない。

変化と変容の意味も理解できていない人が多すぎる。

そのため、導入してもDXにならないことばかりだ。

 

とは言うものの、DXの前提となるデジタルスキルを持っている人がいないことが大問題である。

なので、DXを実施できる体制を構築するためにもITスキルを持つ人材を育成することから始められることを強くオススメする。

 

今回のコラムはここまで。

何か気づきや学びになれば幸いである。

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