COLUMN コラム

2025.07.28
Excelを悪者にすると、誰が儲かる?

Excelを悪者にすると、誰が儲かる?

「脱Excel」がトレンドとなる中、その真の狙いはビジネスプロモーションに隠されています。Excelの利点とその誤解を解き明かし、本当に必要なITリテラシーについて考察します。

最近、「脱Excel」をプロモーションする業者が増えてきた。

属人化、バージョン管理不能、共有できない

などなど。

あたかもExcelが時代遅れであり、諸悪の根源であるかのように語られる。

だが、あえて私は問いたい。

本当にExcelは悪なのか?

答えは、ノーである。

では、Excelを悪者にすれば、誰が儲かるんだろうか?

今回のコラムでは脱Excelの影に隠れるプロモーションについて見ていこう。

脱Excel市場を操る「売り手たち」

まず「脱Excel」で儲かる構造からみていこう。

儲かるのは誰か?

最も分かりやすいのはコンサルタントだろう。

彼らは「Excelこそが非効率の元凶である」と説く。

その解決策としてSaaS導入や業務改善ソフトの導入を提案してくる。

その提案内容の中には高額なコンサルティング費用がセットだ。

抜かりない。

流石だ。

毎月毎月、特に何か進展があるわけでもない高額コンサルに価値はあるのか?と思うが、それが商売として成り立っているのだから、ぼろい商売だ。

 

そして次に思いつくのは、ITベンダーだ。

ITベンダーも2種類あるが。

1つはシステム開発を行う開発会社だ。

もう1つはSaaS製品を提供する開発会社だ。

どちらも脱Excelをキャッチコピーに、様々なメリットを並べては開発案件の獲得や自社サービスの受注を目指す。

  • クラウドで一元管理
  • 複数人で同時編集
  • 属人化の解消

といったメリットはITリテラシーの低い企業に刺さる。

受託開発を目指す企業だと、高額なシステム開発を提示する。

SaaS製品だと月額課金のサブスクモデルでサービス提供する。

会社全体で導入すれば数十万円といった固定の収入が入る。

 

これらを合体させたのがノーコードやローコードだ。

SaaS製品なので月額課金のサブスクモデルで、ITリテラシーがないから受託開発ができて、これから先も継続しないと文化の定着ができないので高額なコンサルティングを実施する。

別に毛嫌いしているわけじゃないんだが、Excelを使って業務改善できない会社の足元を見た商売に嫌気がさすだけである。

ノーコードやローコードを使うなら、せめてExcelを使った業務改善を全社的にやれるITリテラシーを備えておく必要があるが、その前提さえも言わないで誰でも簡単にできると言っちゃうもんだから、余計に質が悪いのだ。

 

そして、更にこの流れにメディアも便乗する。

「時代はクラウドだ」、「Excelは時代遅れ」「Excel管理から卒業しよう」といった言葉が並び、どれだけ効率が上がったのかを伝える記事が多数投稿される。

とにかく見てくれる人が多ければ広告収入が入る。

Excelを悪者にすれば儲かる人がいる。

これが今の脱Excelを作り上げている。

本当にExcelが「悪」なのか?

では、本当にExcelが時代遅れで非効率を引き起こす諸悪の根源なのか?

結論から言うと、全く違う。

論点すら違うとも言える。

確かにExcel運用における問題点はあるかもしれない。

だが、1つ1つ見ていくと、その多くが基本すら知らないことが原因である。

 

たとえばバージョン管理ができないとしているが、バージョン管理なら別にファイル名を変更しなくてもできる。

履歴が残っている。

なぜファイル名をいちいち変更してバージョン管理をする悪しき習慣が未だ健在なのか理解に苦しむ。

 

こういったことは包丁を使えない人が自らの練習不足を棚に上げて、包丁という道具を馬鹿にしているのと同じことだ。

まずは基本をしっかり押さえる必要がある。

その基本を学ばずに何が脱Excelなのだろうか?

海外でもある脱Excelは日本と大きく事情が違う

日本では基本操作を学べば解決することしか言及していない。

バージョン管理しかり

重くなる問題しかり

ありとあらゆることが基本的なことばかりだ。

一方で海外ではどうなのかというと、海外でも脱Excelについて言及がある。

しかし、それは法的な理由であったりAI活用における優位性を謳っていたりする。

つまり、「業務上での優位性があるためにExcelではなく、SaaSに乗り換えてみませんか?」というオファーなのだ。

全く違う。

これであれば私も納得である。

Excelは高い柔軟性を誇る最強ツール

Excelは柔軟性が非常に高いし、プログラミングもできる。

業務プロセスを単純化し、工数を下げることも可能だ。

しかも、別途金額が発生するわけでもない。

SaaSを使うと発生する月額料金も、よく分からないコンサル料金も発生しない。

これほど便利なツールは存在しない。

問題は「誰が使っているか」である。

Excelを使えない人が使っているから問題になる。

Excelが悪いのではない。

この事実を無視してツールだけを変えても意味がない。

新しいツールを導入しようとも、結局は属人化や使いにくさが深まるだけであるのだ。

「正しく使えない」が混乱の原因

Excelを悪者にして得をするのは、ツールを販売する側の人である。

一方で、苦労するのは現場の人間であり、出費を追うのは導入企業側である。

 

私は別にExcelが最強であり完全無欠であると言うつもりは全く微塵もない。

お客様によってはオススメしないこともあるし、ノーコードやローコードでの開発をすることもある。

場合によっては受託開発をすることもある。

だが、それは「道具の違い」を理解した上で、お客様の状態から適切に判断しているのだ。

一辺倒に押し付けているわけではない。

最適解として選んでいるのだ。

 

ただ見た目が新しいから、クラウドだから、SaaSだから、流行だから、といったよく分からない理由で選ぶと手痛い失敗が待っているのだ。

ツールを変える前に、道具を操る術を磨け

業務改善やDXを推進することは、Excelを止めることと思っている人が多い。

しかし、そうではない。

Excelをフル活用したワークマンがいる。

Excelではないがスプレッドシートをフル活用してDXを図っている企業もある。

表計算ツールを使っているとDXができないというのは、全くの誤解である。

印象操作だ。

 

まずは「何が課題か」「どうすれば改善されるか」を検討しよう。

その答えがExcelかもしれないし、別のツールかもしれない。

ツールはあくまでも手段だ。

ツールを変えたら即座に実現するわけではない。

大谷翔平選手が使っている道具を使ったとしても大谷翔平選手のようになれない。

Excelを使うか否かが問題ではなく、考えないまま乗り換えてしまうことが一番の問題である。

そして、道具を使うためには適切なトレーニングが必要である。

 

もうここからはお分かりだろう。

Excelを学べ。

まずはそこから始まる。

最後に

今回のコラムはどうだっただろうか。

今回のコラムが何か気づきや学びになれば幸いである。

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それではまた次回のコラムでお会いしましょう。

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