COLUMN コラム
日本企業の体質と日本国のセーフティが邪魔をする
これまで2つ紹介した。
最後は企業の体質と国民性である。
IT導入が失敗する理由として、ITリテラシーの低さが最も影響を与えている。
しかし、最大の原因は何か?と問われたら、企業の体質と国民性であると答えることができる。
それぞれ別のものだが、密接に関わっているので1つにまとめた。
日本企業は従業員に投資しない
日本企業は世界標準で見ると、人材への教育に時間もコストも労力もかけていない。
「日本生産性本部: 「日本企業は他国と比べて人材に投資しない!」警鐘を鳴らす」を見ても、圧倒的な差がある。
日本は人を大事にすると言う割に、全然人材投資をしていない。
これでは、口先だけだと言われても仕方ない。
日本はかなり遅れを取っている。
その差はますます広がっていくだろう。
パソコンが苦手な人が社内にいるせいでIT投資が無駄になると嘆く前に、しっかりと社内教育体制を整えてIT投資を無駄にしない対策を行うべきである。
また、人材への投資活動が会社自体を底上げする効果を持つということも理解すべきだ。
話は変わるが、学校が何故あるのだろうか?
それは子どもの教育を行うことで、国力を向上させることができるからだ。
優秀な子どもが育てば、その分国も豊かになる。
だから、国は教育に力を入れるのだ。
企業はどうだろうか?
組織を運営するという点においては同じである。
であるならば、組織を強固にするには教育が絶対不可欠なのだ。
その教育への投資を怠ってしまっているから、今の日本があるのではないだろうか?
企業にのみ責任あるわけではない
だが、企業側にのみ責任があるのだろうか?
もし全く何も覚える気もない人が相手だったら、どうだろうか?
期待もできないし、その人への投資は止めるだろう。
当たり前だ。
教えても成長しないのだ。
教育しようと思っても覚える気がないのだ。
何をしても響かない人に一生懸命時間を使うことほど無駄なことはない。
何が言いたいのかと言うと、教育対象である従業員側にも責任があるのではないか?ということである。
危機感を持っていない人は学習しない。
AIが仕事を奪うかもしれない、と言われて危機感を持つ人もいるだろう。
だが、それでAIを活用できる人材に成長しようと思う人はどれだけいるだろうか?
実際はかなり少ないはずだ。
奪われると思っていないかもしれない。
そういう時が来たら、考えようと思っているかもしれない。
色んな人がいるだろうが、そもそも学ぶ意欲がない人が大半ではないか。
だから、企業が一生懸命お金と時間をかけて教育しても学ぶ意欲がない従業員だらけなら、投資活動に意味を見出すことができなくなるのだ。
結果として、IT導入の失敗に繋がっていく。
教えても学ぼうとしない人に何を期待すればよいのだろうか?
「可哀想」が一番の敵
日本国はとにかく従業員を守ろうとする。
すごく邪魔だ。
そのせいで人材のリリースが行われず、人材が欲しいと思っている企業に人材がいかない。
そして、不要な人材を抱えている企業は解雇もできず、ずっと人件費という足かせを付けられたままである。
健全な経営活動を行うためにも、コストの再分配は適宜行うべきである。
学校でも赤点を採ったら退学させられる。
なぜ企業は赤点を採っても従業員を解雇できないのか?
これこそ日本国が伸び悩む原因ではないかと私は考える。
学ばなければ解雇もあり得る。
アップデートできなかったら解雇されるかもしれない。
そういう危機意識があれば、企業側が行う研修にも身が入るだろう。
解雇したら可哀想。
確かに可哀想だ。
だが、その人は再就職が可能かもしれない。
もし雇用し続けることで、その会社の業績は上がらず、従業員の給与も上がらなかったら、どうか?
1人の可哀想と10人の可哀想。
どちらの方がより可哀想か?
1人の可哀想はハッピーになるかもしれない。
10人の可哀想はずっと可哀想のままだ。
じゃあ、10人の可哀想を選択する?
そんなバカな話があるだろうか。
解雇は従業員にとってもチャンスでもある、ということを理解すべきだ。
自分を評価してくれない会社から脱出できるし、自分に何が不足していたか分かる。
再就職のために何か学習する機会を得ることもできるかもしれない。
解雇=この世の終わりではないのだ。
最後に
日本はとにかく高校まで一生懸命勉強して、大学からは遊んでOK!みたいな風習がある。
社会人になったら学ばなくてもよい。
誰が決めたのか。
社会人こそ学び続ける必要がある。
今の日本はこれまでの怠慢が原因ではないだろうか。
よくテレビを観ていると、「世界ではこれがスタンダードです」「だから日本もそうならないといけないのです」みたいな言葉をよく聞く。
ならば、と思う。
解雇は全然可哀想じゃないし、学び続ける必要は絶対あるし、何なら大学は卒業自体難しいのが当たり前だろうし、年功序列とか廃止でよいだろう。
日本国が何とかしてくれないなら、評価制度とセットで教育体制を整えて企業は戦っていくしかないだろう。
前回に引き続き長くなってしまったが、今回のコラムが何か気づきや学びになった方はシェアをしていただけると嬉しい。
また次回のコラムでお会いしましょう。